閑話 ある少年の感想
ちょい長めになっています
あれがオレの主が欲しがってたアキヤ・スバルとシェイル・ステラか。
その2人と接触したオレこと梅木 健吾。
この名前でお察しの通り、5年前にここにやって来た異世界転移者だ。
普通に通学路を歩いて帰っていたら、一瞬ぐにゃりと視界が曲がった。
そして気が付いたら、目の前に広がるのは果てしない草原、という状況。
腰ほどの背丈もある草が、風に揺れている。
空は前に居た都会のとは違う。
どこまでも青い空。
オレの知ってる所にこんな場所はなかった。
と、な、る、と。
オレはワクワクしてきた。
最近友人に薦められたラノベにはまっていたオレは、1つの導き出した。
異世界キターーー!!
これってどう考えても異世界だろっ。
だってステータスとかないかなーって考えてたら、出てきた!
青い半透明の板!
これがオレのステータスか。
名前:ウメキ ケンゴ(梅木 健吾)
年齢:14歳
HP:1000/1000
MP:2000/2000
スキル:〈言語習得〉〈魔法剣〉〈剣創造〉
習得魔法:なし
スキル少なっ。
まぁでも強そうだな。
魔法剣とかカッコ良さそうだぜ。
HPとMPは……多いか少ないかわからないな。
でも異世界人っていったら強いの代名詞なんじゃねぇか?
オレは多い方だと思う!
で、魔法!
ザ、ファンタジーだな。
オレでも使えるかな?
物は試しだ。
では早速。
『ファイアーボール!』
うん、何も出ねぇな。
言い方変えたらどうだ?
『フレイムボール!火の弾!火弾!炎よ、我が手に!全てを焼き尽くす業火!────』
結果、虚しく叫んだだけだった。
簡単に魔法は習得できないのか……。
じゃあ確かめるのはスキルの方だな。
それぞれどんなのなんだ?
っておぉ?
何だ?何かわかるぞ!
ステータスプレートに何か文字が浮かんだきた訳じゃないけど、知っていた事を思い出したみたいに何かわかる。
んーと〈言語習得〉生活スキル?で、機能って物があって?
ほう“言語理解”と“言語定着”
知らない言語でもすぐ喋れるって事か!
スゲェな!!
〈魔法剣〉はユニークスキルで、機能が“属性付与”
おぉ!今スグ使ってみてぇ!
だが剣がねぇ!
にしても属性付与ねぇ。
剣に火とか纏わせる事ができるんだろうなぁ。
早く使いてぇ!
で、最後の〈剣創造〉は〈魔法剣〉と同じくユニークスキルで、機能は“短剣創造”!?
これは神様が言ってるな。
いるか知らんけど。
剣を創れと!
だがどうやって創るんだ?
とりあえず念じてみるか。
短剣創造ってな。
おぉ!
何かオレの手の回りが白く光始めたぞ。
LEDライトみたいな色の光だ。
白い靄みたいな感じだな──おっと靄が晴れた。
短剣ができた!
歪だけどな。
何かもうちょっとカッコイイのが欲しくなってきたぜ。
想像で何とかなるかな。
イメージは両刃で、刃は広め。
鍔は左右に広がる形で柄は握れる程度っと。
もう一度同じように短剣創造っと。
さっきとちょっと違うな。
白い靄が多い。
靄が晴れて、できてるできてる。
おっカッケェ!
これこそオレの理想のだよ。
にしても何か体が怠いな。
最初に短剣創った時から怠かったんだが、それに輪をかけて怠い。
ステータスに何か変化起きてねぇか?
ってオイ!
MP減りすぎ!
2000あったのに後200しかねぇぞ。
え?待て待て。
これどやったら増えるんだ?
ヤッベェェェ!
何だ!?
何が原因だ?
さっきのスキルか!
あのスキルで減ったのか!?
よしとりあえず落ち着け、オレ。
あのスキルを使わなければMPは減らないはずだ。
暫くあれは封印だな。
MP減らせないって事は魔法もお預けだな。
チェッ。
とりあえず今後の事を考えるか。
まず……ここどこだ?
いや、最初に考えるべきなんだろうけど。
やっぱ異世界ってことでテンションが上がってたんだろうな。
この短剣どうしよっかな。
何かアイテムボックスとかでもあれば──
《生活スキル〈空間収納〉を獲得しました》
い!?
良いんだけどなって考えてたら何か声が!
何だ!?
天の声か!?神の声か!?
いや冗談だけど。
合成された声って感じだったし、違うだろーな。
男性の声だったかな?
にしても、考えるだけでスキルゲットできるんだったら、マップみたいなスキルも獲得できねぇかな?
シーン。
やっぱ簡単には無理か。
とりあえず、ナイフを仕舞ってみっか。
スキルは意識するだけで使えんだな。
便利便利。
出すときはどうすんだ?
って、わ~ぉ。
一覧が出てきたぜ。
何が仕舞ってあるのかがスグわかる。
コレ最高!
さて、結局場所はわかんないんだが、休める場所を探したいし。
とりあえず歩くか。
方向はコレで決めよう!
失敗作の短剣を地面に立てて、倒れた方向に歩こう。
凄い原始的な方法だな、コレ。
まぁ面白いからいいけど。
そうやって歩く事3時間。
その頃には足はもう棒のようだった。
単なる中学3年生にはきつかった。
〈言語習得〉があったお陰で異世界語もペラペラ喋れて、コミュニケーション円滑にとれた。
その街で冒険者になって、宿に住んで、生計を立てて暮らしてた。
ある日、いつも通り冒険者稼業をやっていたら、1人の青年がやって来た。
ここはイザデラ領っていう所で、この領内の冒険者ギルドに神出鬼没でごくたまに顔を出すらしい。
噂によればとんでもなく強いらしい。
なのだが、それがわかんない奴や、知らない奴はいるもので、テンプレ宜しく絡まれてた。
見れば噂が本当だってことくらいわかるだろうに、と思いながらそこに介入して場を落ち着けたら、その青年に何故か気に入られてしまった。
そいつと時々パーティー組んで活動したりして、1年位過ごした。
そして、そいつから部下にならないか、という勧誘を受けた。
ハ?
と最初は固まっちまったよ。
だが、何でだろうな?
何かコイツに付いて行きたいって思ったんだよ。
まぁ、理由をつけるなら信頼かな?
一緒に活動してた時も、オレが前衛、そいつが後衛。
そいつが指令を出して、オレが動く。
そんな感じだった。
単純に背中を預けられるからなんだろうな。
そいつは、メカルト・マールと名乗った。
形式上、オレの主となったわけだが、冒険者時代の感覚が抜けなくて、今でもルトと呼んでいる。
妖精の守人っつう、ルトの小飼の組織の末席についたオレだったが、異世界人の中でもオレは強い方なんだろう。
2年程度で、トップに立った。
まあ下剋上だな。
話は少し変わるが、ルトにはお気に入りがいた。
1人の少女だった。
白髪に、赤と青のオッドアイを持つ、綺麗な少女だった。
ルトがその気になれば、一瞬で取り入れて自分の物にできるのに、何故かあいつはそうしなかった。
ただ、楽しげに眺めているだけだった。
変化は次々に起こった。
そして気が付けばさらに2年経っていた。
そして1番大きな変化、アキヤ・スバルがやって来て、ルトのお気に入り、シェイル・ステラと出会った。
オレでもわかる。
何か起きると。
ソレが無性に楽しみだった。
ルトがそういう物を求めているんだな、と共感した。
笑いが止まらなくなってくるぜ。
ルトが動く。
ルトはゲームを始めると言っていた。
自然と口角がつり上がる。
どんな結果になろうが構わない。
楽しめそうなんだからな。
あぁ、本っ当に楽しみだ!




