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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2章 はじまり
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24話 事件(小)-終幕と変化-

スバル視点です

「凄いね~シェイル。スピード解決だった」


 市場に転がってた林檎だけから謎解きしちゃったんだもの。

 もう、凄くかっこよかったよ。


「ところでさぁシェイル」

「何?」

「さっき言ってた()()って、何?」


 事件も問題も解決してのんびりしていた時、市場通りに集まっていた人の1人が、まだシェイルが綺麗にしてなかった区画を通ってしまい、足をとられて転びかけたんだ。


 危ないって思ったんだけど、そう思ったときにはシェイルがもう助けてた。

 速い。

 でもってかっこいい。


「大丈夫ですか?」


 と問いかけるシェイル。

 普通だよね。


 でもここからが違った。


「あ──」


 と怯えたような声を出して、その女性はシェイルから離れたんだ。


 何?

 え、何で?

 瞬く間に頭の中をその疑問が駆け巡ったよ。


 でも、シェイルにはその理由がわかったみたいで、すぐに離れて、こう言った。


「ごめんなさい」


 その女性は形容し難い表情でうつむいていた。


「リコさん。私は約束を違えません。だから、とは言えませんが信じてください」

「どうやって……どうやって信じろって言うのよ!」


 泣き叫ぶような女性──リコさんの声。

 2人の間に何かあったのだろう。

 僕も知らない何かが。


 シェイルもすぐには答えを出せないようで、黙って下を向いた。

 2人の関係がどうなのかは知らない。

 でも


「信用は確かに難しい事です」


 シェイルには困ってほしくない。

 そのまま言葉を続ける。


「信じて裏切りにあった際の損失は計り知れない事も多い。でも、それでは協同関係、信頼関係なんて一切築けない信じる事を忘れたら、1人になってしまうんですよ」


 僕がそうだった。

 だから知ってるんだ。


 コウキを信じて、裏切られて。

 誰も信じられなくなって、旧友との縁も切って、自分の家で1人だった。


 でも、ここでもう一度だけ、他の人を信じてみた。

 お陰で暖かい生活が送れたんだから。


「信じてってシェイルが言ってるんです。信じてもらえませんか」


 初めてあった僕が言うのもなんだけどね。


 その女性は答えを出さずに去っていた。

 その背中は迷っているように見えたな……。


「スバル……ごめんね」


 その一言だけでわかった。

 できれば話したくないって。


「いつか聞ける事を願ってるよ」

「個人的には嫌かしら、それ」

「じゃあ話題変えよっか。前から気になってたんだけど、シェイルって本当にお忍びなの?」


 店主さん達に普通にシェイルの嬢ちゃんって呼ばれてた。

 名前普通に知られてるよ?


「私の家は貴族だけど、それ以上に冒険者のような仕事人間なのよ。普通の貴族と違って、土地を治めていたり、官僚だったりじゃなくて、ギルドマスターをやっているでしょう?」

「うん」

「だから、ずっとこの街の人達に近くて、面識が深いだけよ。だから公然のお忍び」

「それお忍びになってるのかなぁ?」

「はじめてこの街に来た人に気付かれていないから立派になっているわよ」

「あぁ、成る程。そういう理由でお忍び」


 そういう風に他愛もない話をしながら、ステラ邸に向かって歩いていく。

 今日はお店にいけないって、露店のエディ婆には伝えている。

 便利だね、並列存在って。


 にしても、やっぱりこういう日常がいいな。

 ここに定住しちゃおっかな。

 それで時々修行の旅に出て……。


 そんな感じに今後の事を考えながら、オレンジ色に染まった通りを、シェイルと並んで歩いていく。


 変化は、暗闇はすぐそこまで迫っていた。

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