23話 事件(小)-解決-
シェイル視点です
「さっきスバルが鑑定して言っていたように、この林檎はスキルの影響で腐敗したものよ。原因のスキルはユニークスキル〈蝕王〉機能は生物、無生物に関わらず全てを腐敗させる“腐敗の王”と、全てを廃退へと導く“廃退の道導”」
「うわぁ、えげつない能力」
「そんなスキル俺ぁ持ってねぇぞ」
「オレもだな」
スキルの不所持を訴える八百屋の店主と少年。
彼等の言い分は最もね。
そう考えながら林檎を4つに切る。
うさぎさんを作っても良かったけど、今回はその為に切ってるのではないのよね。
「そうね、このスキルの所持者はそれを自覚していないもの」
「あ、いたいた。喧嘩少年が所持者なんだね」
「スバル……。一応ステータスは個人情報だからね……。できればこういう時は許可をとってね」
「あ、そうなんだ。ごめんね」
戦闘の時とか、冤罪の時とか、切羽詰まった時は仕方ないけど。
「オレが〈蝕王〉っていうユニークスキルの所持者……。えーだってスキルの影響で、あ~う~いや~、え、そうなのか──」
少年はもう気付いたようね。
四等分した林檎の1欠片を5人に見せる。
「このように、林檎は確かに新鮮よ。で、この林檎を彼に持たせると──」
予想通り、黄色かった果肉が茶色くなったわね。
「うわ~」
手に腐りかけの林檎を持った少年が、呻き声をあげる。
やっぱり完全に予想外だったようね。
「いや……何かその……うん、スマン」
八百屋の店主に頭を下げる少年。
あっさり謝られたことが予想外だったのか、目をぱちくりさせてるわね。
「あぁ、別に理由がわかったのなら構わんが、スキルの取得は自動音声でわかるだろう?」
毒気が抜けたのか、こちらもあっさり許したわね。
これでもう問題はないでしょう。
「彼は〈鑑定〉のスキル持ちではないわ。だからこの手のユニークスキルが最初期からあれば、自覚がないのも納得できるわ」
「「この手のスキル?」」
スバルと少年の声が綺麗にかぶったわね。
あ、と顔を見合わせる2人に説明する。
「ユニークスキルは元々多種多様の例外スキルを寄せ集めた群なの。だから、2つの大きな系統に分けることができるわ。1つが無系統。もう1つが属性系統」
「属性系統?」
「えぇ。普通のユニークスキルは、そのほとんどが無系統に属するわ。でも時折、MPを消費せずに属性の力を操れるユニークスキルがあるわ。それが属性系統」
「魔法みたいな力が無限に使えるのか!スゲェなソレ!」
銀髪の少年が興奮しているわね。
でもこれはとてつもなく危険なスキルよ。
「その分制御がとても難しいわ。属性系統のユニークスキルを聞かないのは、その力で殆どの人が自滅してしまうからなのよ」
「マージーか~」
「ねぇシェイル、僕腐敗とか蝕なんて属性、知らないよ」
「そうね、一般的には知られてないわ。属性には、初級属性、中級属性、上級属性、最上位属性の4つがあるわ。それぞれ初級魔法、中級魔法、上級魔法、魔術の属性となっているの」
「魔術?」
「あ、そこはあまり気にしなくていいわ」
いけない、いけない。
魔術の存在はあまり不特定多数の人には知ってほしくない、秘匿すべき物の1つなのよね。
気を付けなきゃ。
「初級属性は、一般に広く知れ渡っている、火、土、風、水、雷、氷、木、重、毒、芸、空間、光、闇、心、無の15属性の事を言うわ。で、毒の最上位属性は、廃退よ」
「となると〈蝕王〉は毒属性になるんだね」
「おぉ~。属性が複雑すぎてこんがらがった……」
「本人がイマイチ理解してないね」
「まぁあまり使わないで欲しいという事がわかってくれればいいわ」
ちょっと心配だけどね。
さて、これで万事解決かしら?
「あ、待て、これどうするんだ?」
未解決のものがあったわね。
これ、つまり散らばった野菜や肉や魚について。
ん~。
この力はあまり使いたくないのだけど……まぁ今回は特別ね。
「そこは私に任せて」
私が使えるのは魔術だけど、魔法と同じ属性も使えるわ。
最上位属性は全ての属性の上位互換なのだから。
今回使うのは木の上級属性、生命。
生命を作ることはできないけど、それの状態を良くする、という事はできるのよね。
売り物だからもう死んでるんじゃ、という突っ込みは受け付けませーん。
元生命でも支障はないみたいなのよね。
「これで問題ないわよね」
これで本当に万事解決ね。




