22話 事件(小)-問題Ⅱ-
「え~と、シェイル、何?この状況」
うわ、怖っ。
シェイルと啀み合っていた、全員がこちらを振り向いた。
怒っているのか、睨むような目付きだよ。
「スバル、先に行っておいてって言ったのに」
いやーごめんね。
「気になっちゃって」
はぁ、と軽く溜め息を吐いて、シェイルが説明してくれた。
曰く、ある少年──銀髪で、僕と同じくらいの身長の少年だろう──が八百屋で葡萄味の林檎を買った。
しかし、それを食べると、中が若干傷んでいた。
その事について少年が文句をいうと、八百屋の店主は
「今日朝一で仕入れてきたもんだ!」
と返した。
「嘘つけ」「嘘じゃねえ」と口論となり、逆上した少年が、並べてあった商品をひっくり返した
その衝撃でとんだ商品が隣と向かいの店の肉と魚に当たり、両方ともダメになってしまった。
怒った肉屋と魚屋の店主が喧嘩に参戦。
先程の悲鳴に繋がった、との事。
「どう考えてもそのガキが悪いだろ!」
「うるせえ、腐りかけの物売ってんのが悪いだろ!」
「だぁかぁらぁ、今日買い付けてきたばっかだっての!」
「こっちの魚もダメにしてくれやがって!」
「あぁ?どうせそっちも売れなかっただろうよ。ほら見ろ。目ぇ濁ってるし、鱗落ちてるし」
「ぐっ、ガキが!」
「ガキガキうるせぇ!オレはもう19だっ」
「そのわりにはチビだがな!じゃあこっちの肉はどうなんだ、言ってみろよチビ!」
「くっそが!」
わぁ、カオス。
口論のレベルが残念な方向に向かってる。
肉の良し悪しなんて僕わかんないけど……。
「でもこの魚はないかな……」
「あぁ?どういう事だスバル!」
「手前ェ!どっちの味方だ!」
「うわっ」
びっくりした。
足元に落ちてた少年の言う通り、ボロボロで、目が白く濁っている魚を拾って見てたら怒鳴られた。
エディ婆の露店の手伝いもしてたから、この店主3人組とは知り合いなんだよね。
知り合いって言うより相談役補助?
3人ともあんな勝ち気な性格してるから揉め事が絶えないんだよね。
で、シェイルがよく仲裁したり相談に乗ってたりするんだ。
「どっちの味方って言われても……僕は中立でいたいな」
というより巻き込まれたくない。
っていうかシェイル、何してるの?
地面に落ちた林檎……のような見た目をした葡萄味の果物拾ったりして。
「この林檎を鑑定してみればわかるわ」
「ん~?」
鑑定結果は……林檎 詳細略 腐敗状態。
「あ、確かにこれ腐敗状態になってる」
「あ、もう少し詳しく調べて、そこ」
後ろで「ほら見ろ。やっぱ腐ってんじゃねェか」「今朝もいだ林檎が腐るか!」という声がするけどスルーして二重鑑定っと。
「へぇ~。スキルの影響で腐ったんだ」
「そういう事よ」
「何?」
「どういう事だ?」
「どういう事って言われても、僕もイマイチわかんないよ。ただ……シェイルならわかったんじゃないの?」
「ん、そうね」
さっきまで何故か、散らばった魚やら肉やら野菜やらを拾っていたシェイルを振り返ると、肯定が帰ってきた。
「じゃあ、収穫したての林檎が腐った理由を説明していくわ。──静かに聞いていてね」
シェイル、釘を刺すのを忘れてなかった。
確かにこの4人説明の途中で騒ぎそうだもんね。




