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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2章 はじまり
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20話 事件(小)-発生-

シェイル視点です

 スバルに領主の事をいくつか話した次の日。

 その日も変わらずおばあちゃんの店に行くことになった。


 まるで何もなかったのかのようね。

 でも、変化は必ず出てくるでしょうね。

 もうスバルに常識はあらかた教えたわ。

 ある程度身を守る術も。


 スバルの今後を考え始めなければいけない時期になってきたわね。

 スバルのいるこの状態が、日常のように感じていたから、居なくなった後が検討もつかないわね。


 スバルの事だから、冒険者として生計を立てながらスローライフ。時々剣技を極めに旅に出る、というのが1番考えられそうね。


 本人は自覚無いけれど、この世界でも並ぶ者が極僅かにしか居ない、武の持ち主である父様の鍛練についていけているスバルの力は紛れもなく本物よ。

 その位の力があれば、余裕で暮らしていけるわ。


 今後と言えば、マール公からの書類も要検討案件ね。

 内容は予想通り、技術支援の依頼だったわ。


 今までは、私が作った魔道具を、父様を通してギルドに卸していたけど、そろそろ機械類とかにも着手していきたいわね。

 確かにあれらを作るならここではなく、ラート領の方が良いものね。

 スバルが今後を決めたら私も移住しようかしら。


 最優先で作るのは、車両系で自動車とトラック、後キックボードとスケートボードも良いかもしれないわね。


 家電系だと炊飯器、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫。

 豆電球は既に作ってるから、LEDライトも作りたいわね。


 IC系だとパソコン、タブレット、スマホ。

 とりあえずこれくらいは3、4年の内に作っておきたいわね。


 他には武器ね。

 火薬は後5年以内に再現する必要があったわよね。

 となると、重火器の類の生産も考えなきゃね。


 戦いを一変させるから、大量生産は不可ね。

 渡す人も厳選しなきゃ。


 移住した後の領主の動向も考える必要があるわね。

 というより私を囲い込みたいのに、他領への移住の選択肢を提示するって、どういうことかしら?

 彼なら、あの案件を握り潰すことも可能なのに。

 まぁ何かしらの考えがあるのでしょう。


 それから──。


「シェイル?どこに向かってるの?」


 へ?

 あ、考え事をしながら歩いていたからか、検討違いの方向に歩いていたわ。


 ここは……市場通りに近い住宅地かしら?

 広場に出てから向かった方がおばあちゃんの店に近いわね。

 スバルにそれを伝えて歩き出す。


 とその時、まさに向かおうとしていた広場から、女性の高い声が響いた。

 おばあちゃんの露店の方っ。


「向こうから悲鳴?ってシェイル?」


 おーい、と呼び掛けるスバルに「先におばあちゃんの店にいっておいて」と言い、走り出す。


 ここから広場まで距離にして500m。

 でも、家が入り組んでいてまっすぐ進めないわね。

 遠回りしていたら時間がかかるわ。


 広場までの直線距離の中にある家々を見る。

 これくらいだったら魔術なしでいけるかしら。


 軽く助走をし、戦闘スキル〈弓道〉の機能である“韋駄天”で身体強化した足で石畳を蹴る。

 そのまま一番近い3階建ての建物の壁に足をつき、斜め向かいの家の屋根に降り、走って次の建物の壁に跳ぶ。

 窓のヘリ、家と家の間の塀を足場に広場に向かう。


 魔眼を使って広場の上空の鳥を探し、視覚を共有する。

 おばあちゃんの露店は……直接の被害は無さそうね。

 悲鳴の主は……人だかりができているから、その中の誰かでしょうね。


 真ん中にいるのは、八百屋、肉屋、魚屋の店主?

 豪勢な顔ぶれね。

 この3人は市場通りで1番有名な人達だもの。


 あ、もう1人銀髪の少年がいるわね。

 誰かしら?

 見覚えはあるのだけど……。

 鑑定した方が早いわね。


 視覚共有を解いて、機能“全豹の瞳”で千里眼を開く。

 重ねて鑑定をして──。


 頭を抱えたくなるわね、この結果。

 面倒なことにしかならなさそう!


 そう心の中で叫びながら、広場に向かって跳んだ。

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