15話 初めての魔法
スバル視点です
僕がエディ婆の後ろについて、狭く暗い通路を歩くこと数分間。
数分間も歩けるほど、この店の奥行きって広かったかな?
というか暗すぎでしょ、怖いよ。
この通路、目凝らしたら、見えちゃいけない物が見えてきそう。
《生活スキル〈暗視〉を獲得しました》
?何?
合成された声みたいなのが聞こえてきた。
機械みたいじゃなかったな。
男性の声に近かったかな?
あ、待って。生活スキル〈暗視〉を獲得、て言ってた?
もしかしてスキルを獲得したってこと?
じゃあ、あの声はシェイルが言ってた〝声〟って事かな?
プラクエを確認してみると、確かに生活スキルが1つ増えてる。
〈暗視(new)〉って。
暗視って事は暗い所が見えるようになる?
そう思って周りを見渡してみると、ぼんやりと通路が見えるようになっている。
あれ?足元見ると少し下り坂になってる?
そう気付いた瞬間、視界が急に開けて光でいっぱいになった。
広!
そこには白い壁に囲まれた広い空間が広がっていた。
首が痛くなりそうな高さ。
走れそうな位広いしね。
下っていたって事は、ここは地下じゃない?
『気付いたみたいだが、ここは我の店の下の地下空間。そこを少しいじったのさ。さて、若いモンは魔法を使いたいと言っておったな。まずは原理から説明していくとするかねぇ』
えぇ~使いたいなぁ~。
『原理がわからなければ死ぬぞ。若いモンは自殺願望持ちか?』
怖っ。
違う違う。
違うに決まってるよ。
はい、ごめんなさい、おとなしく聞きます。
だから凄まないで。
はぁ、と溜め息を吐いたエディ婆が話し始める。
『まず、若いモンは魔法を見たことがあるか?』
『うん』
ついさっきね。
『では、具体的に魔法の前後の様子を言うてみぃ』
『えっと、魔法を使う人が両手を前に出して、力をグッと込めるみたいに意識を集中させてた。で、手の周辺がポワァって光って、複雑な魔法陣の形になったら、火の弾とか氷の塊が出てきたよ』
『ふむ、よく観察できているな』
魔法ってことで感動してたからね。
じっくりしっかり見てたよ。
その後、エディ婆は空中にプラクエみたいな物を出して、実演してくれた。
文字と図も使って教えてくれたから〈世界の図書館〉の機能、文書記録がしっかり発動してくれたから、忘れる事なくさくさく進めた。
まず、魔法は、体内の魔力に属性を与えて、体外に放出。
その魔力を魔法陣を介して、物体化もしくは具現化する、という風なものなんだ。
魔法陣は回路みたいなもので、電流を流せば豆電球が光るように、ある魔法陣を作ればその魔法が発動するんだ。
この世界で便利なのは、魔法陣の細かい形を覚えなくても、魔法を習得することで、ほぼ自動で魔法陣ができるようになることだね。
普通の人は、魔法が1回だけ使えるという魔法具で習得するのだけど、どうせだから覚えてみぃ、とエディ婆が言ったので使えなかった。
高価なんだって。
そりゃ僕借金中だけどさ……。
おこづかいとは言われたけどいつかは返したいな。
まぁ、僕は魔法具がなくても大丈夫。
〈世界の図書館〉がある。
しっかり覚えてますとも。
あっさり火魔法の【火砲】を習得した僕をエディ婆が呆れた顔で見てきた。
ずるじゃないもん。
……たぶん。
そろそろ頃合いかねぇ、と言ったエディ婆と一緒に今日はここまでにして店に帰った。




