13話 シェイルの種族
シェイル視点です
『じゃあいってらっしゃい』
そう言って私はスバルの背を押して店の奥へと促す。
『?シェイルはいかないの?』
『えぇ、私は魔法を使えないから』
スバルが、そういえば習得魔法が習得不可になってた、と納得してるわね。
『見たのね』
何をと言わなくても伝わるでしょう。
事実慌ててるもの。
『別に見られたのは気付いていたわよ』
『気付いていたのかぁ』
やっぱりばれちゃうなぁ、とスバルの顔が言ってるわね。
『さぁとりあえず、魔法を学びたいんでしょう』
そう言って奥に行くスバルを見送る。
おばあちゃんがちらりとこちらを見て、店番を頼むと視線を送ってきた。
もちろん任せて。
カウンターの近くに合った本を手に取り、椅子に座る。
店の奥にはおばあちゃんお手製の魔法訓練場があるわ。
そこに私が特殊な結界を張っていて、周囲に魔力の動きが伝わらないの。
魔法を使っていることも伝わらない。
魔法が暴走しても伝わらないから、秘密の特訓にはもってこいね。
スバルが魔法を使いたいと言い出したときは困ったわ。
普通の異世界人は自分の力を確認したいと思うわ。
こちらの事情でそれを押さえつけるのは申し訳ないわ。
でも、普通の人の10倍のMP。
変動し続けるHP。
複数のユニークスキル。
最初期からの王級職。
そして、私ですらわからないあの称号と加護。
こんな異世界人を普通の貴族は放っておかないわ。
ここの領主もそう。
決して逃がそうとなんてしないわ。
どうにかして隠さなければいけない。
そこで思いついたのがここ、ノアンティクなのよね。
魔法を使っても見つからない。
周囲にも影響はでないわ。
おばあちゃんは魔法のスペシャリストだから師事するには最高の人でもあるわね。
私が魔法を教えることができないのは、少しもどかしいわね。
仕方のないことなのだけど。
私の身体は魔法を使い、習得することができない。
転生する際に、魂の設定を書き換えられたから、とでも言うべきかしら。
人の魂は人の魂のまま、動物の魂なら動物の魂のまま、魔物の魂なら魔物の魂のまま転生する。
つまり、転生したら魔物になっていた、という事はないのよ。
でも、魂の設定、つまり、ステータスを書き換えられたら別。
種族が変わってしまうこともあるわ。
私は転生の時に神々との契約によって、人族ではなくなってしまったわ。
この世界には多分、2人といない種族、天神族にね。
天人族という、天使の化身である種族は極僅かにいるわ。
その天人族を使役するのが、神の化身である天神族。
私は神様になったのも同然かしら?
神というのは、世界の創造主である最高神を頂点に、要の神、属性の神、土地の神、先進の神、という風に、それぞれ役目を与えられ存在してるわ。
私は先進の神。
ティリエでの技術を制限付きでミーチェ・ガーデン、この世界に伝える役目の神。
全ての技術を伝えたら、世界のバランスが崩れてしまうから、制限がついているらしいわ。
その辺りはまだ研究中なのよね。
詳しくは知らないわ。
神の私は、ミーチェ・ガーデンの礎であるシステムの、魔法の補助が使えない。
システムの設計上、神を補助できないんじゃないかしら。
補助がないから、魔法も習得できないし、使えない。
当然教えることもできないわ。
まぁその代わり、それを補う方法はあるのだけど……。
っと、ドアベルの音。
珍しいわね、お客さんなんて。
閑古鳥が鳴いてそうな店なのに。
……おばあちゃんにコラッて怒られた気がしたわ。
ごめんなさい、つい正直に言っちゃったわ。
次の瞬間、私の身体が凍りついてしまったように呆然としてしまったのは、否めないでしょうね。
嘘、ありえない。
そんな言葉しか出てこないわ。
しっかり見張っていたはずなのに。
見張ってるのが私の瞳じゃないから、誤魔化された?
イザデラの領主、メカルト・マールが、悪意の塊がそこにいた。




