1話 転移
新章となります。引き続き、お楽しみください。
スバル視点となっております。
僕、アキヤ・スバルは、転移者、ということらしい。
らしい、というのは、まだ実感がわかないのだ。
当主さん──ヴィクターさん──に、滞在の許可をもらった僕は、その後すぐに客室に案内された。
その客室、なんと居間2つ、寝室1つ、使用人を通す部屋1つ、荷物部屋1つ。計5部屋。
つまり、物凄く広い。しかも、貴族の家だから当然かもしれないが、とても豪華。
きらびやかって訳ではないのだけど、見た感じがさ、高級そうって思うものばかり目につくんだから。
ほら、壺とか、絵とか、カーテンとか。あ、この絨毯も。
何が言いたいかっていうと、僕には全部分不相応だっていうこと。
通されてすぐに、部屋を変えさせてって頼んだんだんだけどね、これでも一番小さい客室だって、笑顔のシェイルに却下されたんだよね。
……あの笑顔、すごく綺麗なのに怖かったんだよね……。
寝室に近い方の居間でくつろいでいると、着替えたシェイルがやって来た。
本人は着替えなくてもいいんじゃないかって言ってたけど、メイド長さんにダメですって言われてた。
あっ、メイド長さんの名前忘れた。
もうメイド長さんでいいか。
昔から人の名前覚えるの苦手だったからなぁ。
何度か会話した人の名前とかなら覚えられるのに……。
ステラ邸の人たちの強さは、当主さん<シェイル<メイド長さん<奥さん──アリスさん──てな感じなのかな。
で、着替えてきたシェイルなんだけど、一言で言うと天使。
うん、天使以外に言いようがないと思うな。
もうすごく可愛い。
……ロリコンとかじゃないからね。
ほら、前世の年齢足したらシェイルの方が年上だからさ。
シェイルの何が天使って言わしめているかっていうと、まず服かな。
パステルカラーの、水色のドレスで、白いフリルがバランスよくついてる。
後、容姿。
天使のイメージの象徴とも言える、金髪に青い瞳。
シェイルの髪と瞳の色が変わってる……んだよね?
白い髪は、透明感のある金髪に。
赤と青のオッドアイは、青色の双眸に。
……変わってるんだよね。
最初、シェイルだってわかったけど。
あれれ?シェイルだよね?
何故?というかどうやって?
じーと見ながら考えているとシェイルがクスリと笑った。
『この髪と瞳は魔法薬で変えているの』
『え、顔に出てた?』
それとも心読んだ?あと魔法薬って?
思わず顔に手をあてながらそんなことを考えてしまう。
『どうやって?と顔に出てたわ』
『うわ~、そうか。そうなのか~』
思ったより自分の顔は思考を簡単に現してしまうらしい。
『ちなみに魔法薬というのは、魔法で精製した薬の事よ』
『……ねぇ、ホントに心読んでない?』
『読まなくてもわかるわ』
『……読めるんだね』
『否定はしないわ』
怖っ。
ホントに心読めたりするんだ。
そんな僕をおいて、シェイルはポスンと向かいの椅子に座る。
『じゃあ、髪と瞳の色を変えた理由も含めて、この世界について少し説明していくわね』
『うん、よろしく』
『先ず、この世界について。大きく括っていけば世界は4つあるわ。この世界、ミーチェ・ガーデン。地球のある世界、ティリエ。神の住む世界、デュイ。精霊の住む世界、セーン・エスプ』
まぁ、普通の人はこういうことは知らないわ。と言うシェイル。
ん~とね、つまり僕は……
『スバルは、ティリエからミーチェ・ガーデンに転移してきた、という事になるわね』
っていう事になるんだね。
『今回は転移の事は簡単にするわね。先ず、転移という現象には2種類あるわ。1つが、世界と世界が偶然繋がったときに引きずり込まれる場合。そしてもう1つが、神によって世界を渡らされる場合』
僕の場合はどうなるんだろう。
神様には会ってないからな……。
あのサイトはよくあるもので、偶然繋がったとか。
う~ん、わかんないや。
あれ?シェイルがこっち見てる。
どうかしたの?
『ステータスが一部変だから、神による転移でしょうね』
『そうなの?』
『神によるものは、1種の契約だから、その際に大きな力を得ることになるのよ』
あれれ?それじゃ僕は神様に会ったのかな?
『神に関する記憶がないのは、神に会ったという情報を秘匿するための記憶操作でしょうね。実際私も忘れていることがあるような気がするのよね』
『本当に心読んでないよね?』
すごい精度だよ?




