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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第9話 不備のある部下


 

 ゴーレム見学ツアーを開始しておよそ3時間。確かに広陵遺跡の内部には鈍器の類は多くあった。が────


「おや、これはどうでしょうかジョンさん」


「お、トルト、またみつけたか……しかしこのショートメイスはちょいと軽すぎるな。これならミレイの持つ暗黒剣の鞘で攻撃したほうが効きそうだ」


「ジョン、これは?」


「ミレイ、お前だったら使うか? その錆びすぎて取っ手が折れそうなハンマー。多分一回振ったら折れるぞ」


「ジョンさん、アレなんてどうでしょうか。きっと一撃で倒せますわ」


「アレは武器じゃなくて倒れた柱だ。全員で協力しても持てねーよヘリミア。使いたきゃそれこそゴブリンキングでも数体連れてこい」


 この古びた遺跡で見つかる物はとてもではないが使え無さそうな物が多く、更に『自分達で扱え、4m程の鉄巨人に効きそうな物』と言うと中々見つからなかった。


「しかし、そもそも手ごろな鈍器が見つかった所で皆さん扱えるのですか? 私はとてもじゃないですけど重いものは振り回せませんよ?」


 探しながらもトルトは突如頭に過ぎった疑問を投げかける。それに対し、ジョンもまた探しながら返事を返した。


「そこは俺とミレイで何とかするさ。俺は力なら並のヤツには負けねーし、暗黒剣毎日殴ってるミレイの腕力も相当だ。だが、使い慣れていない得物には違いねーな。戦闘になったらなんか援護はしてくれよ」


 ジョンがそう答えた所でミレイの方から再び声が上がる。


「ジョン、いいの見つけた」


 一同がその方向に顔を向けると、ミレイの手には先端に鎖がついている棒が握られている。そしてその鎖の先には大人の頭程ある、トゲ付き鉄球が結ばれていた。


「お、モーニングスターか。良さそうじゃねーか、この調子でもう1つくらいは武器を見つけて……」


 ジョンが言葉を言い終わる前にミレイは拾ったばかりのモーニングスターをジョンに押し付けるように差し出す。


「ん」


 その様子にジョンはやや困惑し口を開いた。


「なんだミレイ、お前が使うんじゃねーのか? せっかく見つけたのに」 


「私はやっぱりコレで戦う。だからジョンが使って」


 ミレイはそう言って視線を落としながら鞘付きの暗黒剣を抱くように握り締める。

 その様子に、3人はみな目を見合わせた。


◇ ◇ ◇ ◇


「さあって『ゴーレム見学ツアー』メインイベントまできましたね皆さん」


 鈍器物色も含め、遺跡探索開始から6時間強。4人はゴーレムがいるという部屋の前までたどり着いた。

 

 その大きな扉の前でトルトが背伸びをしながら声を上げる。

 

 それに続いてジョンが口を開いた。


「じゃあ作戦最終確認だ。俺とミレイが前衛でゴーレムを攪乱しながら動き回り、モーニングスターと鞘付き暗黒剣で隙を見て攻撃。トルトはさっき拾ったメイスなりその辺の石なり投げつけて可能な限りのフォロー。ヘリミアは入り口付近で待機して、俺たちの内の誰かがマジでヤバそうだったら魔力振り絞って助けてくれ。戦ってみないとわからんが、手に負えないと俺が判断したら合図と共に全員撤退。みんな鉱物の塊(ゴーレム)よりは早く走れるだろ」


「ん」

「わかりました」

「了解しましたわ」


 ジョンの言葉に各々が承諾の返事を返す。それらに満足したジョンは軽く笑みを浮かべると目の前の扉を思いっきり蹴り開けた。


「たのもー!」


 開く扉の奥に、それはいた。古びた黄土色の4m強の金属の巨体。間違いなくそれが妖精が見てきたゴーレムだろう。

 

 ────それが、3体。


「ヘリミアさん? 妖精(あなたのぶか)の調査報告、ちょっと不備があったんじゃないでしょうか?」


 蹴りのポーズのままジョンは、顔をひきつらせながら皮肉交じりにヘリミアに問い掛ける。


「あらまあ」


 それをみてヘリミアは右手で口を軽く押えながらやや大げさに驚いて見せた。

 

 ────次の瞬間、中央のゴーレムの目が白く光った。そして音を立てその巨体が動き出す。


「だああぁクソッ! 来るぞッ!!」


「動き出したのは中央の1体だけみたいですね! まずはそれを何とかしましょう!と言うか何とかして下さい!」


 やけ気味にモーニングスターを構えるジョンに、冷静に状況を分析し判断するトルト。

 

 そんな2人の横を通り抜けるようにミレイがゴーレムに向かって走り出す。


 真っ直ぐに向かってくるミレイに対して、ゴーレムは金属の剛腕を振り下ろした。

 

 ミレイはそれを左に跳んで躱すと同時に、ゴーレムの肩に乗り移り、暗黒剣を鞘ごとゴーレムの頭に叩きつける。

 ミレイの腕力は相当な物ではあり、暗黒剣を納める鞘も並以上の強度は誇る。

 

 しかしその一撃は、金属がぶつかり合う大きな音こそすれど全身金属のゴーレムには殆ど傷がつかなかった。


「うおおおおぉッ!」


 一歩遅れてジョンがゴーレムに襲いかかる。

 大振りのモーニングスターを両手持ちし、走りながら全身を回転させ鉄球に遠心力を乗せる。


「おりゃあああぁッ!!」


 そしてその渾身の一撃をゴーレムの足に叩きつけた! この一撃には流石のゴーレムにもダメージがあったようでその巨体が大きく揺れる。それと同時にミレイは肩から飛び降りた。

 飛び降りた先はちょうど鉄球の一撃を喰らい、大きなヒビが入ったゴーレムの足の前。ミレイはそのヒビ目がけて再び暗黒剣を振るう。

 その一撃によりゴーレムの足は破壊され、巨体は大きな土煙を上げながら音を立てて倒れた。


「やったか!?」


 ジョンは叫んだ。

 が、その次の瞬間、土煙の中からゴーレムの剛腕がジョン目がけて襲い掛かる。


「うわっ?!」


 ジョンはそれを間一髪回避に成功する。が、それと同時についモーニングスターを手放してしまった。


(しまった!)


 その時、ミレイは既に動いていた。倒れたゴーレムの頭まで駆け寄り、その頭を暗黒剣でガンガン叩く。

 当然、先ほどと同様ほぼ無傷なゴーレムの頭には暗黒剣の鞘では大した傷はつけられない。

 が、ミレイの狙いはそこではなかった。


 頭を叩き続けるミレイに向かって、ゴーレムは剛腕を今度はミレイの方へ振り回す。

 ミレイはそれをギリギリで回避──いや、ギリギリになるような(・・・・・・)タイミングで(・・・・・・)跳んで回避した。

 結果、ゴーレムの剛腕は自らの頭にヒットし、粉々に打ち砕いた。


 跳んだ先はジョンの隣。「ヒュウっ!」とジョンはミレイに向かって口笛を鳴らす。

 次の瞬間、残りのゴーレム2体の目が白く光った。それを視界に捉え、ジョンは大声で叫ぶ。


「意外といけるな! さあ第2ラウンドだ」


林´∀`)σ)∀`)クラエ!

※会社でこの不備やらかしたら下手すると首。これ豆知識です。


投稿時間が早いよう!と素敵なメッセージがありましたので来週からは18:00に投稿します♥てへ!

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