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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第48話 やぁ地上。とってもフワフワな気分。

 尚を怒り怒鳴り散らす不死王の叫びをBGMに、ジョンたち一同は地下墓地を疾風のごとく走り抜け離脱に成功した。


「で、出た! 地上だ……!」


 息を切らせながらも、自身を照らす日の光に安堵するジョン。

 その場で振りかえり、とりあえずは仲間の安否を確認する。

 トルト、ミレイ、トラヴィス、チグリス。自分と同じく息を切らせたいつもの四人がキチンとそこにはいた。

 パンドラは先ほどの戦いで人間としての身体を維持できなくなったのか短剣の姿でしっかりとトルトに握られている事も確認する。


「全員いるな、奴は、不死王は追っては来ていないか!?」


「……来ていないみたいですね、王とは言え日の光に基本的には弱いアンデッドだから日が落ちるまでは出てこれない、のですかね?」


 ジョンの疑問にトルトが答える。


「でもアイツ、今は生身」


「うむ! 先ほど拳で語り合った! 奴は今確かな肉体を持っている! まだまだ細いが筋はある肉だったぞ!」


 しかしその願望にミレイとトラヴィスが正確な事実を告げる。

 そう、先ほど多量の万能薬を不死王に浴びせた事で不死王は今アンデッドでは無くなっている。

 それでも追ってこないのは何故か、今ここでこの場を後にして良いものなのか、ジョンは判断しかねた。

 そしてそこで聞いた事のない声が聞こえる。


「その疑問、ボクがお答えしましょうカ?」


 声の方へその場の全員が一斉に振り向く。気配もなく現れたその男、背はやや低くパーティの中でも小さ目なミレイやチグリスと同程度だろう。黒や紫などの暗い色を主体としながらもトルトのようにピエロのような恰好をし、顔にはやはり不気味なメイクを施している。

 それに対しジョン、トルト、チグリスの三人は反射的に身構える。


「実は不死王サマまだ完全じゃないんですヨ、先ほどの万能薬デ、予定の目覚めより一年早くなっちゃったものデねぇ」


 そんなこちらの様子を特に気にする事もなく、相手はやれやれと手を上げ愚痴るように話を続ける。

 その不気味な相手にジョンたちはまずは耳を傾ける。相手が攻撃を仕掛けてくるようならばすぐに対処できるように準備をしながら。


「それデ心もふわふわな状態デ、きっと今の自分が日の光浴びても大丈夫な事わかってなイみたいなンですよネ、ほら、すぐ近くに居たのに貴女の事もわかっていなかったデしょう? ミレイさん」


 突然出てきたミレイの名前に三人はミレイの方へ目を向ける。

 冷や汗を垂らし沈黙したままのミレイ。それを守るかのようにトラヴィスが相手とミレイの間に立ちふさがった。


「9年振りだな闇の道化師。相変わらず身体の線は細いし性格も食えん奴だ。食う所ないぞお前」


 トラヴィスの口から出てきた『闇の道化師』という言葉にジョンとトルトがハッとする。

 ミレイが呪われた物が可愛くみえるようになったという事件、ミレイが不死王の嫁になる呪いをかけられたというその出来事の際に現れた、不死の魔物、通称『闇の道化師』


「君ハ……誰だったかナ? よく覚えていないナ。でも口ぶりから不死王サマの花嫁探しの時、この町ニいた人間かナ?」


「この美しき肉体を覚えていないとは愚かな奴よ。俺はお前を四度斃した男、トラヴィス・サザーランドだ。この名とこの肉体美、今度こそ覚えておけ」


「トラヴィス、でもアイツ斃してもすぐ別の所から現れたでしょ」


 闇の道化師を睨み付けながら両腕に力を込め筋肉を膨らませ威嚇──いや、美しさのアピールかもしれない──するトラヴィスとその時の事実を冷静に話すミレイ。


「ウーン、ごめんネ? ボク、死んじゃうと記憶が結構なくなっちゃうンだ、そうか、四度も君に殺されていタかあ……」


 ポリポリと頭を掻く闇の道化師を見ながら、一向に進まない話にジョンが割って入った。


「それで不死王の手先のお前が何の用だ? 不死王がくるまでこの場で俺たちを足止めしようってか?」


 ジョンのその言葉に闇の道化師はわざとらしくぶんぶん手を振って否定した。


「まさカ! 僕あんまり強くなイんだよ? ほら、そこの呪いの武器だらけノ人に四回も殺されタらしいし」


 闇の道化師は、そこで一度話を区切ったかと思うとジョンたち一同を一通り眺め、再び口を開いた。


「ましてや君たちオールスターもいい所じゃナいか、聖剣にユニコーンの角の魔法使い、暴食の暗黒剣に憤怒の短剣、聖と邪の武具がここまデそろってちゃあボクなんてまた直ぐに死んじゃうヨ」


 『憤怒の短剣』という言葉を耳にトルトが冷や汗を垂らしながらチラリと短剣と化したパンドラの方を見る。

 ジョンもそれは気になったが優先すべきところではないと思い、強い口調で相手に再び言葉を投げかけた。


「だから何の用だと聞いているんだ」


 苛立つジョンに闇の道化師は頭をポリポリと掻いて言葉を続けた。


「じゃあまずハ正しい自己紹介かラしておこうかな? ボクは魔王サマ四天王の一人『闇人形』アンサマー・ロレット。君たちのコト、ヘリミアやグリマルドからも少し聞いてるヨ? そして君たちに依頼をしたいんダ、不死王サマの再封印ヲ」



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