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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第36話 レベル上げなる掃討戦


 

「やあみんな! 俺はジョン!この物語の主人公さ。俺達パーティーは今、バレンタイン大火山なる大秘境に船を乗り付けて島の冒険をして居るんだ!

 

 目的は俺達のアイドル道化師トルトの病気を治す為なんだ!しかし、それだけで来られる程船代は安くないんだ。船員への賃金、船代を稼ぐためにこの島に居るフレイムドッグの皮やハーピィの爪など、この島で取れる素材を山の様に取らないと行けない。

 

 だが!新しく手に入れた聖剣やミレイの暗黒剣、チグリス少……じゃなかったチー君の水の魔法剣の威力を試しながらと言う理由もあるから……うおっ!


 とりあえず同行の商人へのノルマは1日フレイムドッグ50匹を予定している!それ以下だと赤字が出るからな……アヅッ!」

 

 「だぁああああああ!クソッ!囲まれてんぞ!トルトッ!ナレーションは中止だッ!援護しろ!」

 

「いえいえ、折角聖剣を試すチャンスですから、私はここで……ほほ」

 

 小高い丘の上から透明なプレートが方々に乱れ飛ぶがジョンの援護には1個も飛んでこなかった。

 

「覚えてろォォ!トルトォ~ッ!」

 

 ジョンは不覚にも1日目の討伐数で最下位となった為、罰ゲームとしてトルト作成のしょうもないナレーションを言わされつつ2日目の掃討戦を開始していた。

 

 ちなみに

 

 1日目の掃討戦の結果は

 トルト

 フレイムドッグ27匹148,500G

 ハーピー65体312,000G

 460,500G

 

 ミレイ

 フレイムタイラント1体220,000

 フレイムドッグ12匹66,000G

 286,000G

 

 チグリス

 フレイムドッグ10匹

 55,000G

 

 ジョン

 フレイムドッグ9匹

 49,500G

 

 となり、トルト1位のジョン最下位となった。トルトの性格が大分好戦的な所に当たったのと、透明なプレートの乱舞が大当たりした。特に飛行している敵に対しての威力が凄まじく、高い位置に居るハーピーの翼を撃ち抜き、地面に叩き落としての大量ポイントとなった。ミレイは何故か山頂付近にしか居ない筈のフレイムタイラントと遭遇・撃破していた。3時間にわたる大激戦であったが目に見える怪我はなかった。が、代わりに暗黒剣が焦げていた。

 

 因みにフレイムドッグは1匹5,500G、ハーピーは1体4,800G、フレイムタイラントは1体220,000Gで買い上げがある。不死鳥は嘴のみしか実体がなく、嘴も2,000,000G程の市場価格なので、バレンタイン船に乗ると言う諺もある。

 

 

 

「ああ!もう!囲まれてるって言ってるだろー!誰か助けろ!」

 

「チー君は泣き言も言わずにもくもくと狩ってますよ、ほら、頑張って」

 

 トルトは敵を見もせずに透明なプレートをしゅるしゅる飛ばしていく。飛んだ先からバタバタとハーピーが落ちてきて絶命する。フレイムドッグももはやトルトを狙いもしない。

 

「チグリス少年は元々喋られねーだろっ!イデェ!アチィ!」

 

 ジョンはケツを噛まれた上に、顔を火球が掠めていく。

 

「……!……!……!!」

 

 チグリス少年は言葉として伝わる事はないが、力を込めた吐息を吐きながら水を纏った鉄の長剣で襲い掛かるフレイムドッグを1匹づつ仕留めていく。既に足元には2本の刃零れした鉄の長剣が転がっていた。剣が痛んだら持ち替えて戦うほどの激戦を繰り広げている。

 

「グゥオオオオオオ!」

《オウェエエエエエイ熱ィイイイ!》

 

 何故かまた居るフレイムタイラントはミレイと剣劇を演じている。挟まれている暗黒剣の悲鳴が山の木霊となって響き渡る。

 

 フレイムタイラントの打ち下ろしの右正拳突きに対してミレイは飛び上がってかわし、頭上を飛び越える、その際にフレイムタイラントの右腕・頭・背中を斬りつける。しかし、炎を少し削って火花を散らすだけではフレイムタイラントにはダメージはない。フレイムタイラントは振り向き様にバックブローをぶちかましたが、逆に暗黒剣によるカウンターを合わせられ、手の甲にえぐれたような傷を残した。

 

(やるな……)と言っている訳ではないが、言っている様な気がするフレイムタイラントの目線をミレイと泣き顔の暗黒剣が睨み返し、無言のまま斬り付ける。

 

 

(ここなら水魔法が……役に立つ!持てるユニコーンの角は5本……!不死鳥迄……届くか……!) 

 

 チグリスは四つ足のフレイムドッグの目線まで頭を下げて大股に足を開いて回転する様に地面すれすれの長剣を薙ぎ払って行く。右左右……1回転!地面を起点とする低軌道の伸びる斬撃にフレイムドッグは次々と手足を斬り落とされて行く。

   

「なるほど、手足を斬れば逃がさずに済む、チー君賢い」

 

 ミレイが笑いながら呟く。

 

 昨日の3人の不調は此処にあった。取り囲んで唸り声で牽制しつつ襲ってくるフレイムドッグの連携は、1匹に手を出せば背後から攻撃され、手傷を負わせても次々と入れ替わって来るので、倒そうとするならば一撃で殺さねばならないのだ。

 

 ジョンは焦りに焦ってフレイムドッグの吐き出した火球を聖剣で弾き返して自打球を食らったり、焦って仕留めようと大振りの攻撃を繰り返し、背中にフレイムドッグの攻撃を受けまくったのだ。結局道半ばで船送りとなり、半日程火傷に効くアロエールの樹液に漬け込まれていた。

 


結局2日目もジョンは最下位となった。

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