第34話 いざ行かん
少し更新が不安定になっております、すいません!
「えらい目にあったぜ……!」
「別に大した事じゃ無いじゃないですか」
「お腹壊した時に祈りのポーズになる理由がわかったぜ……」
「大袈裟ですよ、ほら、行きましょう」
協会で半日祈りのポーズを取らされたジョンは無表情なトルトに迎えられて、『馬の横顔亭』へと向かう。店は平常通りの賑わいを見せており、カウンターには森で拾ったチグリス少年と暗黒剣の使い手ミレイが並んで座っていた。
「よぉ、チグリス少年。考えてくれたか?」
『考えるまでもなく』
とその場で一文を書き足した木の黒板には
『行きます。是非とも私を万能薬を求める旅に連れていってください』
と書かれていた。実に丁寧な癖字だ。
「じゃあ、怪我で満足に動けないトラヴィスを置いてチグリス少年が正式にパーティー入りだな!」
「チグリス君、宜しくですよ」
「よろしく」
『宜しくお願いします!』
「取り敢えず二股ユニコーンの角は4つ全部冒険者組合に預けてきましたので、いよいよ最難関の不死鳥の嘴を取りに行きましょうか」
「不死鳥か……まぁ覚悟はしていたが、かなりの難関だよな。ユニコーンの様に話が通じない上に、多分肉弾戦も通じるような相手じゃないよな?」
『不死鳥は文字通り不死です。ですが、倒せない相手ではありません。氷や水で活性を下げれば戦えない訳ではないと●■親/父●は言ってました。倒しても唯一の実体のある嘴を残して再生するそうです』
親父の部分がかなり乱れている。よっぽど激しい親子喧嘩だったんだな。まぁ息子に呪い掛けるくらいだからな。
「そういやチグリスの親父さんは学者さんだったな。あとチグリスはユニコーンの角があれば水の魔法使えるんだったか?」
『使えます。が、戦闘で使える程のものはありません。長い詠唱を犠牲にしてバケツで水ぶっかける程度です。不死鳥相手なら文字通り焼け石に水です』
「でも、当初の戦力より大分マシになりましたね。ミレイさんの暗黒剣にジョンさんの聖剣、そしてチグリス君の水魔法、不死鳥に対してはかなりの増強じゃないですかね?」
「トルトはどうなんだ?」
「私はほら、ピエロですから。そもそも戦闘要員でもないですし」
「透明なプレートと短剣以外は投げられないのか?毒の短剣とか。そもそもも何もめっちゃ戦闘してるじゃないか」
「呪い短剣ならありますけど……。そもそもも何ももそもそも、私戦闘してませんからね?透明なプレートはトランプマジックに使うものですし、短剣もジャグリングの道具ですし、たまたまジャグリングした短剣やトランプマジックの道具が観客に突き刺さっただけですからね?」
「なるほど、そんな路線か。うーん。話が通じん」
考えてみればミレイも話が通じないし、トルトもコレだし、トラヴィスも話を聞く気がないし、チグリス少年は物理的に会話出来ないし……。まともに話ができたのはヘリミア位か?いや、あいつもトルト以外の話をまともに聞いた覚えがないな……くそー、まともなエドガーが懐かしいぜ!
「ジョンさん、どこ見てます?」
「ああ、すまん。魂が飛んでた」
ミレイは話をする気がないのかカウンターの下で見つけた虫を捕まえて遊んでいる。汚いからやめなさい。
『ジャグリングの道具を買い揃えません?鉄球とか大鉈とか』
「重いのは持てません」
『爆弾は?』
「ジャグリング中にどのタイミングで爆発させるんですか?」
『観客に再接近した時』
「それただのテロリストですよ」
ミレイは隙をついて虫を隣の客の料理に忍び込ませる。やめなさいそれ営業妨害だから。
……よし、見なかった事にして会議に混ざろう。
「口に油を含んで火を吹くのはどうだ?」
「それも少し違います。ピエロは火を吹きませんし、そもそも燃えてる不死鳥に炎もどうかしてます」
「じゃあトルトは不死鳥戦で群がるハーピーの掃討をお願いしようかね。空の上の敵は正直相手しづらいし……」
「まぁそれなら」
『透明なプレートは沢山買っていてくださいね。不死鳥が居る山ですからハーピーも100体や200体どころじゃないですからね?』
チグリス少年は字を書くのが早いな。
「プレート高いんですよね。まぁ懐が暖かいので良いんですけど」
あー、隣の客料理全部食ってら、御愁傷様。ん?よく見たらゴロツキじゃねえか。まぁトラヴィスと蝉食ってたみたいだから大丈夫だろ。心配して損した。
「じゃあ、取り敢えずトルトは透明なプレートを沢山仕入れる事。不死鳥はバレンタイン大火山かな?なら船で移動だ。本来なら猫の手も借りたいが、トラヴィスは置いていく。出発は明日の昼に港の方に集合だ。チグリス少年には2,000G小遣いをやろう」
今日はここで解散となった。




