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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第32話 決着


 

 「ぐっ……!ぐわぁぁあ!」

 

 フロネシスは右手に持ったメイスでラストクアの右手を潰し、聖剣を奪う。

 

「おい、グリマルドとやら!聖剣は奪ったぞ!依頼人を見殺しにして七星聖遺物2つ持ちの俺と戦うか、契約を破棄するか選べ!」

 

 ジョンと対峙していたグリマルドが苦虫を噛み潰した様な顔で憤慨する。

 

「フロネシス……聖騎士団長か! まさか人間がこれ程までに聖盾を使いこなしているとはな……。わかった、認めよう」

 

「だが、此方としても魔族としての意地がある。今回は出直す事とするが、依頼人の命だけは助けてやって欲しい」

 

「……構わん。どうせ、お前と戦うってのは最終手段だ。聖剣と聖盾をもってしても勝率は五分あるかないかだろう。それに、ジョン殿は良いとして、後ろの3人は確実に死ぬ事になるだろうからな」

 

 フロネシスの後方には身体の何ヵ所かをダークユニコーンに串刺しにされて尚戦っているトラヴィスと、チグリスを守るようにダークユニコーンの前に立ちはだかっているトルトの姿があった。しかし、こちらの勝負が膠着している事もあって、トルト達へのトドメは刺されていなかった。

 

(やっぱ3人でダークユニコーンを抑えるのは無理があったか……! しかし、ギリギリ間に合ったな!)

 

「わかった。ラストクアはお前にくれてやる。但し、聖盾が欲しければまた、俺に交渉に来い」

 

「……わかった。と言う事だがラストクア、交渉を破棄してくれるか?」 

 

 ラストクアは無言で頷く。

 

「交渉成立だ。一先ず聖剣と聖盾は預けておいてやろう。仕切り直しだ」

 

 グリマルドが指を鳴らすと、ダークユニコーンは戦闘を止めてそれぞれグリマルドとラストクアの元にやって来た。ラストクアは血を吐きつつも片手で器用に馬によじ登った。

 

「お前の命を救うためとはいえ、契約不履行は契約不履行だ。詫びとしてダークユニコーンはくれてやる。何処にでも行け」

 

 ラストクアは片手でダークユニコーンにしがみつきながら無言で遠くに消えていった。

 

「ほー、ダークユニコーンって足跡もつけずに足音もしないで走れるんだな。こりゃ追跡は無理そうだな」

 

 ジョンの内心は綱渡りを終えて全員が無事と言う状況に安堵していた。そこに再び緊張をもたらす一撃が加えられる。 

 

「ジョン、口止めの報酬だ!受け取れ」

 

 ラストクアはグリマルドに見せ付けるように鞘に収まった聖剣をぶん投げた。グリマルドはその様子をちらりと見た後にダークユニコーンと共に去っていった。

 

「一応国宝だからバレないように使えよ。俺はこの一大事を報告するために国へ帰る。また何処かで会おう……、あと、ユニコーンの所に居る小娘には、『今日の事はユニコーンの見せた幻覚だった』と伝えて今日の事は話さない方がいい」

 

「何故だ?」

 

「追々解るかもしれないが、それがミレイ(・・・)のためになるだろうからな。彼女がもう少し感情を抑えられるようになってから、伝えると良い。くわしくはそこのチグリス少年が知ってる」

 

 チグリスは頷く。

 

「じゃあな」

 

 フロネシスは森の反対側に停めた馬の所に行くのだろう、森の中に消えていった。 

 

「と言う訳だ。脅威は去った。みんな無事……とはいかないか、トラヴィス。ユニコーンの湖まで歩けるか?」

 

 トラヴィスがいつものようにポージングを決めようとするのをトルトとチグリスが抑えた。

 

「多分無理ですから3人で担いでいきましょう」

 

「今回の殊勲賞だし、仕方ないな!」  

 


 結構重傷気味なトラヴィスを担いで神秘の湖まで戻った。

 

「賊は討てたようだな」

 

解決(・・)はしましたぜ。で、ユニコーンさんはナニをしてるんで?」

 

「処女の膝で昼寝だ」

 

「はぁ、」

 

「ともかく二股の角が欲しいのだったな。そこの木陰に5本位置いてあるから持ってけ」

 

「5本も!?」

 

「どうせ毎日生えてくる」

 

「それから、普通の角も5本置いといた。いざとなったらチグリスに使わせるといい」      

  

「ん?チグリスは連れてかないぞ?」

 

「チグリスに万能薬を作ってやるのだろう?夢の中でお前が言っていたぞ」

 

「ああ、そっか。夢の中見たとか言ってたな。まぁ、覚えてないが俺の言いそうな事だ」

 

『コンゴトモヨロシク!』 

 

「ミレイは寝てるのか?」

 

「私が膝から退けば起きるだろう」

 

 ユニコーンがゆっくりと起き上がって人間のように腰を伸ばす。

 

「あと、3時間くらい戦っててくれたらもっと眠れたんだがな」

 

「冗談! 3時間どころか3分でも伸びてたら全員死んでるぜ」

 

「ダークユニコーン2体か、レッドスケルトンの群れと合わせて向かわれたら我もどうなっていたかわからないな。その辺は感謝する」

 

「そりゃどうも」

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ 

 

「……おはよう」

 

 ミレイが起き上がる。

 

「おはようミレイ、長いおしっこは終わったか?」

「おはようございますミレイさん」

『おはよう(^-^)v』

「筋……に……k」

 

「あ、そう言えばトラヴィスが重傷なんだが、怪我治したりとか出来ないか?」

 

「神秘の湖に浸けておけば多少は早く治ると思うが、2週間は掛かるだろう」

 

「マジか、トラヴィス置いていって良い?」

 

「あとで……合流……す……」  


「じゃあ治ったら『馬の横面亭』で待ってろよ」

 

「出来たら『短剣』引き取っ(カタカタ)て……無理ですかそうですよね」

 

「またね」

 

『さっき格好良かったです』  

 

 

 俺達は二股ユニコーンの角を5本、ユニコーンの角を5本、そして図らずともお隣ソフィア公国の国宝「七星聖遺物の聖剣」を手に入れて街へと戻る事になった。

 

二股ユニコーンの角編……完

 

林´∀`)σ)∀`)二股ユニコーンの角は成長途中で先端が割れて2本になったユニコーンの角だよ!枝毛みたいなモノだね!決して淫らな方の二股じゃないよ!  

 

 


  

     

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