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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第28話 騎士の依頼

すいません!昨日投稿したつもりになってました。



「う……ん……」


 ジョンは目を覚ました。

 ぼやけた視界が徐々にハッキリとしていき、思考がままならない頭が少しずつ覚醒していく。


「ええっと……」


 まだ起ききらない頭を無理に働かせ、自分に置かれた現状を確認した。

 場所は間違いなく先ほど侵入した迷いの森の内部の、神秘の泉のそば。自身が寝そべっていた場所は汚い土の上。辺りの木々が間抜けな冒険者に呆れるようにざわめいている。


「俺は……寝ていた、のか? この危険な森で……」


 続けて周囲を確認する。

 自分と同じように見知った中年ピエロと武器累々を身につけた筋肉ダルマが土に転がっていた。


「トルトとトラヴィスも寝ている……何が起こったんだ? ……ミレイは……トイレに行くとか言って……チグリスとフロネシスとかいう聖騎士もいないな……」


 置かれた状況を整理した辺りで頭もほぼほぼ覚醒をし終えていた。

 取りあえず危険が近くに無い事を確認すると腰を落とした状態で軽く背伸びをし、勢いをつけて起き上がった。


「よっ! ……と。さて、どうなってんだこりゃ。俺はどれだけ寝ていた? いない奴らはどこにいった?」


 首を鳴らしながら状況をより詳しく確認しようと周囲を見渡す。そこで背後からの物音に気がついた。

 そこに立っていたのは白銀を主体とした鎧で完全武装をした騎士と青髪の中性的な少年。先ほど出会ったばかりの二人、フロネシスとチグリスで間違いなかった。


「起きたようだな、ジョン殿」


「おお……どこに行っていたんだ? 二人とも。てか俺は何で寝ていたんだ?」


 ジョンの質問にチグリスが何やら身振り手振りでアピールする。

 己の両手をグーにし、拳を繋げて額に当てていた。


「なんだそりゃチグリス……角、か? ユニコーン?」


 ジョンの言葉にチグリスは頷いた。更にポケットから糸を通した穴の開いたコインを取り出しそれを振り子のようにしながら、空いた手をエネルギーでも送るかのように小刻みに揺らし始めた。


「……催眠術? 俺たちはユニコーンの催眠術で寝ていたってか?」


 ジョンの更なる推理にチグリスは笑顔で親指を立てた。これも正解らしい。

 更にチグリスは板とペンを取り出し、何やら書くとそれを掲げてジョンに見せる。


『神秘の泉に迫っているジョンさん達をユニコーンが正邪の判断をするために一旦眠らせたんです。僕から話しておいたんですけど、おおむね友好的です』


「てめー書くなら最初から書きやがれ」


 ジョンの半眼でのツッコミに、チグリスはまるで今気がついたかのように大げさな驚きの手振りをして見せた。

 ボケに対する突っ込みが圧倒的に足りてない中、フロキシスが再び口を開く。


「それでもし良かったら、でいいのだが君たちにも少し手伝ってほしい事がある。完結に言う。先ほどのレッドスケルトンの群れを生み出した張本人がまだこの近くにいる。我々が行おうとしている事はそいつらの捕獲、もしくは始末だ」


「あん? なんでそんな事がわかる?」


「我が騎士団の団員をレッドスケルトンに変え、私の持つ聖盾とユニコーンの命を狙うもの、恥ずかしい事だが我が騎士団の副団長に位置する者のようだ」


 そのいきなりの事実と淡々とした口調に、ジョンはやや機嫌を悪くする。


「……さっきまでの骨と戯れる楽しい楽しい命がけアトラクションが、テメーの身内の仕業だってか? それでまだ遊び足りねーから製作者様とのサイン会に俺らも来い、と」


 皮肉全開ジョンの物言いに、フロネシスは眉一つ動かさない。代わりに先ほどと変わらない事務的な口調でさらに口を開いた。


「不満なら構わん。それならば『迷いの森遊園地』は閉店だ、早々に帰るがいい。奴らを始末した報酬の二股ユニコーンの角は私とチグリス少年で山分けさせてもらう」


 突如会話に出てきた今回の目的の二股ユニコーンの角それを聞いたからにはジョンもここで引き下がるわけには行かない。ジョン自身は先ほどまで眠らされていたのだから、その際に起こった事の情報量は当然フロネシスのほうが上。ジョンは一度歯ぎしりをし、フロキシスを睨み付けた。しばしの沈黙が場を包む。


「……だが、手伝ってもらえるならばその報酬は君たちに渡そう。私にはさほど必要ない物だからな。どうだ?」


 出会って初めて見せたフロネシスの笑い顔。完全に相手のペースなのが多少気にいらなかったが、元々この男と敵対する理由もない。利害が一致するのであらば団結するのが得策だろう。


「……ああ、わかったよ。だがそれは『標的の捕縛もしくは始末』の報酬だ。『聖騎士様の身内が起こした不始末の口止め料』は、後で別料金いただくぜ?」


 本来ジョンは目先の金よりも、一つの仕事に対する責任や依頼主との信頼関係を優先する。

 つまり今回の発言は、ちゃっかりと利益を上げようとしたわけではなく、ただ単にフロネシスの口車に乗る事が気に食わなかっただけである。

 その意図もキチンと読みとったフロネシスは、渋い顔をしたジョンとは対照的にフッと笑った。


「ああ、それでいい。協力感謝する」


「とりあえずそこの寝ているオッサン共を起こすからよ、起きた事を一から説明してくれ」

すいむせん!

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