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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第15話 新しい仲間


「そ、そうか。さて、此処にいたら俺まで呪われちまうからな。帰ろうぜ」


 半笑いのジョンが振り返って入り口側にスタスタと進んで行く様にするも鷲掴みされている脚はスカスカと宙を蹴る。 

 

「ジョンさん、もしかしてもう呪われてませんか?」

 

 トルトの一言。

 

「ははは、ナイスジョーク!」

 

 ジョン会心のサムズアップ!

 

「ははは、ナイスジョーク!」

 

 それに対してのトラヴィスのサムズアップ!おっとぉ、ウインクまでついているぅ。

 

「ん?」

「ん?」

 

 ジョンとトラヴィスが互いに首を傾げ合い、状況が分かってないかの様に振る舞う。 

 

「と言うかお前誰だ?」  

 

「私はトラヴィス・サザーランドだ。呪いの武器使いトラヴィスとも言う。今日から是非ともお嬢さんのパーティーに入れて欲しいと思っている!」

 

「あ、え?嫌ですぜ?」

 

「うふふふ、ジョンも呪われて私達みんな呪いのパーティーにならない?♥」

 

 普段は無口で暗黒剣をボコボコにしているミレイが何やら危ない感じにニヤついている。 

 

「はいいい?っておい!ミレイ!人格変わりすぎじゃね!?」 

 

呪われた物(可愛いもの)には目が無くって……うふふふふ♥」

 

「あの、もしかして私もハメられてます?」

 

「トルトも呪われてます。うふふ……♥」

 

「えーと、上腕二等菌だったか?」

 

「そうだ、トラヴィスだ」

 

「……ちょっとミレイと此処で待っとれ」

 

「うむ」

「うふふふふ♥」

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「トルト、あれなんだ?」

 

「こっちが知りたいですよ。そもそもミレイさんはジョンさんが連れてきたんじゃないですか」

 

「トルト、ミレイと仲良かっただろ、何か聞いてなかったのか?」

 

「可愛いのが好きとは言ってましたがあれが呪われたモノ(可愛いもの)だとは思わないじゃないですか」

 

「くあっ、どうするトルト……」

 

「そう言われましても……呪いを解くしかないですね」

 

「呪いは何処に行けば解けるんだ?」

 

「教会?」

 

「取り敢えず聞いてくるか……」

 

「おい!ミレイ!トラヴィス……さん!先に酒場で待ってろ!」

 

「うむ」

「うふふふふ♥」

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 ジョンとトルトは教会にたどり着くと、適当な神父を見つけて呪いの解き方を教えてくれと話し掛ける。

 

「呪いですか……もしかして厄払い堂の武器防具じゃないですか?小汚ない感じの小屋です」

 

「そう、それだ!」

 

「あー、もしかしてミレイちゃんのお友達?」

 

「へ?知ってるのか」

 

 神父はあちゃーと言った顔でこっちを見ている。

 

「噂を御存じないんですね」

 

「暗黒剣に呪われていて、殴って大人しくさせてるとかそんな噂じゃなくて?」

 

「ああ、知らないようでしたら此方でお話しさせて貰います」

 

「はい」

 

 懺悔小屋の様な場所に通される。俺は懺悔する事はないぞ。

 

「単刀直入に言いますと彼女は呪われてます。尋常なレベルの呪いではありません。そして、あの厄払い堂ですが、恐らく、都市に出来たダンジョンが如く呪いの武具が無尽蔵に沸いてきます。


そして、普通の人には崩れた廃墟にしか見えませんが、ミレイちゃんが居る時だけは入れるのです。ミレイちゃんは呪われてそこの客引きみたいになってます。時々街の外から来る人は酒場で彼女のビキニアーマー目当てに声を掛けたりして、大抵呪われて此処に来ます。街の人は皆それを知ってるから、幼なじみのゴロツキ達しか話し掛けません」

 

「あのゴロツキさん達はミレイさんの知り合いだから酒場を出る時に絡んできたんですね」

 

「……恐らく、ミレイちゃんと酒場を出ていくと言う事は大体そう言う事ですから、あなた方を止めようとしたのかも知れません」

 

「俺達はミレイに騙されたのか?」

 

「いえ、彼女は純粋に自分の好きな物を人に勧めてるくらいの感覚だと思います。ただ、それが他の人には少し迷惑なだけで……。まぁ、多分そう言う呪いを受けているのかもしれません。近頃はそれに気付いたのか、無口になって塞ぎ込んでしまいましたので心配もしていましたが……やはりこうなってしまうのですね」

 

「あー、趣味の本押し付けてくる人居ますよね。例えば男の人とおとk(」

 

「ミレイの呪いは解けないのか?」

 

「そもそも、彼女の呪いはこの街の起源に起因すると言われていますので、多分難しいと思われます。そもそも、通常の呪いを解くための触媒すら、使いきってしまって有りませんので、そんなに大きいものはとても……」

 

「この街の起源?」

 

「英雄イクスアルディアのお話しはご存知ですか?」

 

「知っている……が、話して貰おうか」

 

「はい、英雄ジョン・イクスアルディアは武王軍と言う軍を率いて魔族や異種族と戦いました。そして、長い戦争の果てにこの大陸の魔族や異種族を別の大陸に追いやりました。そして、この大陸を統一して治めました。故に1,000年前の魔族の呪いが未だ解けずにイクスアルディアの生家に集まってくると言われています。それが、厄払い堂の正体です」

 

「あ……」

 

 トルトは隣に座っているジョンの変化を察知し、話を区切るべく神父に話しかけた。 

 

「ジョン・ジョガー・ジョーシャンクさん?大丈夫ですか?……すいません。彼、呪われ過ぎて気分が悪いみたいなので、この辺で失礼します」

 

 トルトは顔色の悪くなったジョンを抱き抱えながら教会を後にする。

 

「……そう言えば、最後に。通常の呪いはどうやったら解けますか?」

 

「触媒として、清らかな物が必要だね。ユニコーンやキリンの角とか、聖なる感じがする物を持ってきたら、君達くらいの呪いは解けるよ。まぁ、半年もしたら解呪アイテムは入荷はされるんだけどね」


「ありがとうございました」

 

◇ ◇ ◇ ◇ 

 

「これで、次に進む場所が決まりましたね」

 

「俺の……せいなのか?ミレイが呪われてるのは……?」

 

「ジョンさんのそれは妄言。だから関係ありません。私達に出来るのは取り敢えずこの短剣の呪いを解く事です。良いですか?」

 

「ああ、そうだな」

 

「見た感じ呪いの品はそう多くない様に感じました。だから沢山呪いを解く事によってミレイさんも呪いが解けるかもしれませんよ!ほら、自分で立って!」

 

「ああ、すまん」

 

「良いんです。役得でしたから」

 

「……俺は男だ」

 

「それで良いんですよ。元気出して!」         

 

 何てこったい。トルトに慰められる時が来るとはな。俺達はミレイの待つ酒場へと向かう。

                               

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