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イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~  作者: 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 & 魔王さん
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第1話 探し物はなんですか?


 

 似た者同士は惹かれ合う。そして似た者同士が3人も集まれば、どっからともなく物語はやって来る。そのようにして俺達は出会い、物語に巻き込まれていった。

 

「はぁー……」

 

 フード付きのローブを着た怪しい集団、大声で歌を唄う鋼鉄の装備に身を包んだ戦士団、仕事を終えたドワーフの団体さん、本当にそれで冒険出来るのかと世の中の突っ込みを一身に受けるビキニアーマーのお姉さん。程よく怪しく程よく騒がしく、それなりに賑わう酒場。『馬の横顔亭』にてこの物語の幕は開かれる。

 

 その『馬の横顔亭』のカウンター席で、ひたすら溜め息を放つピエロの格好をした中年男性に、騎士風のサーコートを纏った中性的な女性が話し掛ける。

 

「おい、オッサン。さっきから何だその溜め息は、ピエロは人を笑わせてナンボじゃないのか?ピエロが飲んだくれてたらキャラ崩壊も良いところじゃないか?」

 

「ああ、仰る通り。ピエロは人を笑わせてナンボなんですがね、どうにも人を笑わせることが出来ないのですよ」

 

「じゃあピエロなんて辞めたら良いじゃないか」

 

「そうですね……。私、辞めていいんですかね?」

 

「何か事情があるのか?」

 

「いやぁ、私、病気なんですよ。奇融病(きゆうびょう)って知ってますか?」

 

「あー、何か性格がコロコロ変わるって奴か?」

 

「それです。私と言うか、今の私はあまり人を笑わせられるタイプの私じゃないんですよね。説明がしにくいんですけれども……人格は同じなんですが性格が変わるんで、仕事を休まざるを得ない時期があるんですよね。ハァー……」

 

 ピエロの格好をしたオッサンがこの世の終わりの様な溜め息を放つ。安物の酒とスルメ臭い息だった。

 

「オッサン、じゃあ冒険者(なんでもや)でもやってみたらどうだ?今張り出されてる依頼書なんてオッサンには丁度良いんじゃないか?」

 

「依頼書?」

 

「あの張り紙だよ。オッサン、飲んだくれとしての経験は薄いのか?」

 

「ああ、冒険者組合(アドベンチャーギルド)の張り紙ですか。あんな物見ていたら変な人に絡まれますから、あまり見た事はありませんよ」

 

「今まさにその変な人に絡まれてんだよ。良いから見てみろよ、オッサンが欲しそうな物があるぞ?」

 

 ピエロの格好をしたオッサンとサーコートを纏った中性的な女性は身体を160°後方に捻って、カウンター席の反対側、壁際に並ぶ依頼書を張り付ける掲示板を眺める。  

 

「えー、思い出の品を捜索中、首甲(くびよろい)。発見者には50,000G。これですか?この人は何を探してるんですかねぇ」

 

「それじゃない、右の端だよ」

 

「えー、万病を治す薬の材料探し……。発見者には500,000G。於て広陵遺跡にてキノコ探し……ですか。確かに見付かったらいい儲けですね」

 

「違う違うそこじゃない、」

 

「 探し猫、発見者には2,000G、特徴は雌の三毛猫で名前は……」

 

「違う違う、見て欲しいのは“万病を治す薬”の部分だ」

 

「あー、もしかして私の奇融病(きゆうびょう)を治すって事ですか?」

 

「そうだ、万病を治す薬とやらを分けて貰って、さっさと治したらピエロの仕事も捗るんじゃないか?」

 

「そうですね……、確かに。でも、広陵遺跡を探し回れる程若くないと言うか……。魔物とか出るんですよね?」

 

「まぁ、冒険に必要な物はヒト切れのパンと短剣で済むんだ。あとはココだよオッサン」

 

 サーコートの女性は良い笑顔の拳でピエロのオッサンの胸を小突く。

 

「もし行くんなら俺達のパーティーに入らないか?依頼書には危ないから3人組推奨と書かれているんでな」

 

「まぁ、役に立てないとは思いますが、それで良いなら良いですけれど」

 

「そうか、ありがとう。今日はずっと3人目を探してたんだ。俺の名はジョン・ジョガー・ジョーシャンク、まぁジョンと呼んでくれ。あと、見てくれは女だが男だと思ってくれ」

 

「私の名前はトルト・メタモルファンです。役に立つ事は手品とか短剣投げですかね。見ての通り、ピエロです。りんごの皮剥きのテクは神業と言われてはいますよ」

 

「じゃあ俺の相棒を紹介するよ」

 

 ジョンは席を立って、カウンター席の反対側の端に居るだろう相棒の所に向かいつつ、 声を掛ける。

 

「おーい、ミレイ。3人目見付かったぞ……ってあー」

 

ガンガンガン……!

 

 ジョンとトルトの目線の先には、人目も憚らずに、無表情で抜き身の剣を素手で殴り付けるミレイと呼ばれた女性が居た。昨今、本気で冒険する気の無い人達に流行りのビキニアーマーを着けている。流れるような金髪に、露出の多い黒い鎧が映える。

 

「たまに居ますよね。彼氏と剣の区別がつかない位酔っぱらう人」

 

「あー、うん。でもあれはあれで区別は付いてるよ。彼氏も居ない…と言ってた気がする。ただ、オッサンと同じ……病気?みたいなもんだ」

 

「わかります。剣を殴りたくなる病気ですよね」

 

「いや、そうじゃない。ミレイはあの剣に呪われてるんだ。あの物理攻撃は剣の魔力に抵抗(レジスト)してると思ってくれ」

 

 そう言いながらジョンはミレイと呼ばれた少女を引き擦って『馬の横顔亭』を出て行く。引き擦られながらも無表情で剣と格闘していたのだが、周囲の方々はまるでいつもの事と言った感じで、退店の様子を気に掛けなかった。『馬の横顔亭』飲んだくれの猛者達はこの程度の変わり者ならば無条件で受け入れてくれる懐の深さがある。

 

「もし、俺達とパーティー組んでもいいなら、外で待ってる。良かったら来てくれ」 

 

 陰気臭い溜め息で酒場に悩んでますオーラを放つ中年男性が、ビキニアーマーの女性と中性系俺っ娘の誘いを断れるだろうか。(反語)そもそも手持ち無沙汰で飲んだくれていたトルトは断る理由がなかった。トルトは見えない誰かに手を引かれるように『馬の横顔亭』を後にした。


 

後書き

「第1話を担当しました林と申します。宜しくお願いします。」

 

※この話で覚える事

『馬の横顔亭…主人公達のホーム酒場』 

「ジョン…サーコートを着ている中性的な女性。本人は男と言っている」

「トルト…ピエロ」

「ミレイ…ビキニアーマー暗黒剣」   

筆者挨拶「 斎藤秋 & 弧滓 歩之雄 & 林集一 」

 

 

 斎藤秋より筆者挨拶

 

林集一さんにお誘い頂き今回のリレー小説に参加いたしました。

JRPG風中世ファンタジーとでも言うのでしょうか? そのような話にはあまり馴染みがないので場違いなような気がしますが、リレーされた文章を繋ぐことによって頑張っていきたいと思います。

どちらかというとむさ苦しいおっさん達が戦う中世ファンタジーが好きなので、隙あらばそちらに流れを持って行こうとしますが、しっかりと編集されていて極端な話にはならないので安心してください。

例えば、私の中のジョンのイメージはひげ面の胡散臭いおっさんだったのですが、俺っ娘剣士になりました。

どちらかというと王道からは外れた物語ですが、そこそこ面白い話になっていると思うので電車の中での暇つぶしにでも読んでみて下さい。

 

 弧滓 歩之雄より筆者挨拶

 

 林集一様のお誘いによりリレー小説初参加させて頂きました!

 リレー小説は不慣れなもので至らぬところも多々あると思いますという名分の元好き勝手やって行こうとおもいます! 笑 

 小説の方もこの先どうなるのか全っ然わかりませんが、私と他お二人の個性が上手くマッチしている作品になっていると思います!

 ファンタジー好きな方、かるーい気持ちで楽しんで行って貰えると嬉しいです!

 林集一様、斎藤秋様、お二人のファンの方、温かい目で見てやってくれると助かります! 笑

 

 

 林集一より筆者挨拶

 

 はいさい!林集一でございます。

 

 リレー小説がやりたい。その思いを割烹に上げましたら弧滓 歩之雄さんよりまさかの返信がありました。その形に加えまして斎藤秋さんに出したオファーにもお返事が頂けましたので、3人での執筆をスタートする事に致しました。

 

 物語の大雑把な構成は斎藤秋さんの「十王」の世界観より、キャラクター原案の半分も斎藤秋さんより頂きまして世界が回っております。活き活きとしたキャラクターの戦闘や日常の脈動の原稿は弧滓 歩之雄さんより頂いております。それから、諸事訂正修正の手助けをと言う形でも作品を支えて頂いております。私はその作品のバランスの調整や、リレーバトンの受け渡し等で作品を支えさせて貰っています。私林集一、斎藤秋さん、弧滓 歩之雄さん、3人の力が合わさった素晴らしい「イクスアルディア戦記~俺とピエロと暗黒剣~(仮)」の世界を、物語の終わりまでお付き合い頂ければ幸いで御座います。

 

 また、リレー小説と言う特殊な環境を楽しみつつも、我々1人1人は小説家になろうの筆者ですので、餌<感想>に餓えておりますし、また多くの方々に読んでいただきたい欲望<ポイント><レヴュー>も無い訳ではありません。もし宜しければご支援下さい。

 

 なろう1のリレー小説に俺(達)はなる!テヘッ。

 

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