第166話 起死回生への一手
灰色の、煤と埃が入り混じった焦げ臭い香りが漂う世界を駆け抜ける。目標は十メートルほど先にいる、ガブリールだ。
目の前は煙だらけで何も見えない。しかし、ここで素早く確実にガブリールから鍵を奪えなければ作戦失敗だ。失敗の先に待っているのは全員の死。必ずやり遂げねばならない。
俺は咳を堪えながら、先ほどのガブリールの位置と気配だけを頼りに走る。もう、彼はすぐ目の前のはずだ。
「うっへぇ、何にも見えないよーでるわいすぅ」
「──そこだ!!」
立ち込める煙の中から聞こえたガブリールの声。目の前に現れた机に手を着き、彼目掛けて俺は足から飛び込んだ。
「わわわっ!?」
「ちっ!」
灰煙の中から繰り出した蹴り。しかし俺の足は空を掻き、ガブリールの隣の本の山を蹴り付けた。崩れ落ちる本を見て、間一髪避けていたガブリールが目を丸くする。
今避けられたのは偶然でも、俺が目測を見誤ったのでもない。ガブリールが直前に俺の攻撃を察知して躱したのだ。頭でっかちなタイプと思いきや、戦闘の素人でも無いらしい。
「うっひゃぁビックリしたあるふぁるふぁー!!」
「っこの!!」
今度はガブリールを掴みにかかる。しかし、彼は素早く飛び退いて躱した。俺は更に詰め寄って彼の体を捕らえにかかるが、これが中々すばしっこくて上手くいかない。琴音並みの素早さだ。
しかし今はガブリール一人に手こずっている場合ではない。今この瞬間にも八雲と葉月は苦しんでいるし、レオンやセファン、ジゼルもジェラルド達の対応で必死なはずだ。
「くっ……大人しく捕まれっ!!」
「やなこったーじまはりんとー」
ガブリールは笑みながら大きく跳躍した。彼の体は煙幕を突き抜けて上方にある足場の上に着地する。
氣術を使えない今の俺ではあそこまでは跳べない。煙幕が消えかける中、俺はすぐそばにある足場を支えるパイプを登った。
「うっわぁ、お猿さんみたいなことするんだねーエルトゥール君はぁーりおおーりお」
登る際中、八雲と葉月の悲鳴、そして鋼音が聞こえる。後者は恐らくレオンの刃とジェラルドの鎌がぶつかる音だ。
素早くパイプを登り切り、足場に立ったところで煙幕が消滅した。後方にはギルベルトが余裕の表情でこの状況を傍観しており、下ではレオンとジェラルドが交戦中、セファンはニトロに押さえつけられ、ジゼルはハインツと睨み合っている。琴音は床に倒れたままだ。
八雲と葉月には電流が流され続けており、装置を経由した先のザウルは寝転がったまま無言でこちらを睨みつけている。実験台に上る前に彼は鉤爪を手から外しており、立てかけられたその鋼鉄が電流の光を小刻みに反射していた。
「マズイ、このままじゃ……!」
早くガブリールから鍵を奪い取らなければ、八雲の能力は奪われ、そして俺と琴音以外はこの場で殺される。俺と琴音だって公開処刑されるのは時間の問題だ。
数メートル先で楽しそうに笑っているガブリールの方へ、勢いよく飛び出す。しかしまた、素早く飛び退いて避けられた。
「ふっふーん残念、ガブ実は頭の良さと姑息さと逃げ足の速さだけは定評があるんだよねーいまるん。エルトゥール君が何を考えてるのかも分かるよんぐららーい」
そう言ってガブリールは左手に装着していた手袋を外し、捨てた。そして白衣のポケットに手を忍ばせ、何かを取り出す──鍵だ。
「……!!」
「これが喉から手が出るほど欲しいんでしょーうるきおらす? もしガブに追いつけたら渡してあげなくもないかななかまずー」
「じゃあさっさと渡してもらおうか!」
ガブリールはケタケタと笑い声をあげて人を小馬鹿にしながら、鍵をポケットの中にしまい込んだ。俺は再び彼に飛びかかる。
恐らくこれも先ほどと同様に躱されてしまうだろう。ならば、その先を読んでそのまま突っ込む!
「うっとぉ!」
「く!」
ギリギリで回避された。俺の腕の中をガブリールがすり抜ける。
「ぐあっ!」
「くっそおぉ、離せよおぉ!!」
「あぁっ!」
下からは仲間たちの悲鳴が聞こえる。レオンはジェラルドに左腕を斬りつけられ、セファンはニコロに押さえつけられた状態でいたぶられ、ジゼルはハインツの風の氣術で近くの壁に押し付けられていた。
「いやあああぁ!」
「キュウウウー!」
八雲、葉月の悲痛な叫び声。早く、早くなんとかしなければ!
「うおぉ!」
全速力で走る。ガブリールは余裕の表情だ。また同じように突っ込めば、きっと躱されてしまう。普通に捕まえにいくだけではダメだ。
そう思い、俺は足場の手摺を思い切り蹴飛ばした。手摺がひしゃげ、足に痛みが走る。蹴った衝撃で足場全体が揺れた。
「わおぉ、八つ当たりでもしてるのかなっぱっぱ?」
揺れに驚いてガブリールが手摺を掴む。俺は、ひしゃげた手摺に手を伸ばし、触れた。
直後、手摺から手を離してガブリールへと突っ込む。
「だからぁ、無駄だって……わひゃーー!?」
俺を避けようとガブリールが後ろへ飛んだ瞬間、俺は彼に向かって金属片を投げつけた。手摺についている小さな連結部品だ。先ほどひしゃげたことにより、破損して外れたのだ。
ガブリールはギリギリで躱したが、その僅かな動作の所為で俺から逃げるのが遅れる。
俺の手がガブリールの腕を掴んだ。
「なぁーもうっ!! 捕まるかってーのいたみなす!!」
「っ!!」
左腕を掴まれたガブリールは右手の袖の中からナイフを素早くスライドさせ、それで俺を斬りつけた。彼を掴んだ腕に浅い切り傷が入る。
そこにできた一瞬の隙をついて、彼は俺の手からすり抜ける。
「くそっ……!!」
俺の腕から逃れ、ガブリールが高く跳躍しようとする。ダメだ、ここで逃すわけにはいかない。
するとその時。
──彼の左腕を苦無が掠めた。
「っ!!?」
「たあっ!!」
下方、重症の琴音が投げた、隠し持っていた苦無。その思わぬ攻撃にガブリールが怯む。
迷わず距離を詰めた俺は、彼の腕を掴んで引き寄せ、そして押し倒した。ガブリールの手からナイフが零れ落ち、勢い余って足場の下へと落下していく。
「なっ……あの黒ねーちゃん、やりやがったなっくるばす……!!」
「鍵は渡してもらうよ」
馬乗りになり、ガブリールの両手を右手で拘束しながら白衣のポケットに左手を伸ばす。中を探り、鍵を見つけた。
すぐさま腕輪の鍵穴に通す。
「っそうはさせないぞーりげん……!!」
「うっ!?」
ガブリールの不穏な言葉が鼓膜を揺らした直後、背中に鋭い痛みが走る。
彼が振り上げた足に背後を蹴られた……のでは無い。彼の靴先に忍ばされていた小型のナイフが俺の背に刺し傷を作ったのだ。
ガブリールは刃を抜くと同時にもう片方の足を振り上げ、同様にナイフを突き出して俺の背中を刺す。痛みで彼の両手を拘束していた握力が鈍り、思わずその左手を解放してしまった。
ガブリールは蹴り上げた足を戻し、そして自由になった左手で、腕輪を開錠しようとしている俺の左腕を掴む。
「ガブは姑息さにも定評があるって言ったでしょーだいみん?」
ガブリールがニヤリと笑う。その細めた瞳の奥に、どす黒い嘲りの感情が蠢いているのが感じ取れた。
──マズイ!
「ぐあああ!!」
次の瞬間、ガブリールに掴まれた左腕に激痛が走る。彼の指がゆっくりと俺の腕にめり込んでいく。ガブリールの特殊能力、壊死だ。腕の表面組織が破壊されて彼の指が中に食い込んでくる。
掴まれた部分からは血がだらだらと滴り、その赤い液体は腕を伝い、落ちてガブリールの頬を染める。左頬に付着した鮮血を舐めながら、彼は歪に口角を上げた。その表情を見てゾッとする。
「ぐ……やめろおおぉ!!」
「ぎゃん!!?」
俺は勢いよく頭を振り下げ、ガブリールの額目掛けて頭突きした。刹那、目の前に火花が散る。
不意打ちを食らって悶絶する中性的な少年の左手を振りほどき、素早く右手の腕輪を開錠した。すぐに鍵を持ち替えて左手の腕輪の鍵穴に鍵を差し込む。
「いったいなぁもおおぉっ!!!」
「うっ!」
涙目になったガブリールが足を交互に振り上げる。背中に二発、小型ナイフに肉を斬り裂かれたことによる痛みを感じる。
そしてガブリールは両足を振り下げ、その反動を利用して上体を起こし、俺の首を左手で掴んだ。
「もおぉ死んじゃえええぇ!!!」
ガブリールの左手が、俺の首を侵食し始める。皮膚を破壊し、頸動脈を断ち切ろうと力が込められた。
だがその時、鍵穴の中でカチャリと音が鳴る。
ガブリールが目を見開いた。
次の瞬間、少年の全身が燃え盛る赤い海に飲み込まれた。
「うあああああああ!!!」
腕輪から解放され、自由になった俺の掌から放たれる激しい炎。ガブリールは炎に身を焼かれながら足場の上で翻筋斗を打つ。これで彼は戦闘不能だ。
俺はすぐさま飛び退いて左腕、首の傷口を凍らせて止血した。
「ほう……これは、いけないね」
後方で、ギルベルトがそう小さく呟いたのが聞こえる。
だがそれに構わず俺は手摺に足をかけ、そしてジャンプして飛び降りた。
「はあぁっ!!」
落下しながら風の氣術を発動する。風を圧縮し、鋭利な刃となった二つの鎌鼬を八雲達の方へ発射した。
鎌鼬は八雲、そして葉月に繋がれた蛇腹の管をバッサリと切断する。途端、八雲達は電流の痛みから解放された。長い苦痛からようやく逃れた八雲と葉月は放心状態だ。
更に俺は鋭い氷柱を二十本ほど発生させ、そして装置目掛けて放つ。高速で飛んだ氷柱は装置表面の鉄板を突き破って貫通し、内部の機構を破壊してその機能を停止させた。
「八雲!!」
俺は着地し、八雲達の方へ駆け寄った。彼女達を拘束する手足、そして腹の輪を焼き切り、そのグッタリした体を抱える。
すると、すぐ後ろの台で寝ていたザウルが起き上がった。
「あー、何してくれんねや……」
「────!!」
直後、凄まじい殺気と共にナイフが飛んできた。体を捻って躱すが、頬を掠る。
通り過ぎたナイフは壁に当たって高い金属音を上げながら床に転がった。今ザウルが投げたのは、先ほどガブリールが落としたナイフだ。
「チィ……」
ゆっくりとその巨躯を起こす動作に戦慄する。
背中の傷がジリジリと痛んだ。ガブリールにつけられた刺し跡が痛むのでは無い。ザウルに昔つけられた古傷が、更に強く反応しているのだ。再び本能が逃げろ、と合図している。
「ユウ君、いけないね。大人しくしててくれないと」
ザウルに集中しようとした最中、足場の上から声が降ってきた。ギルベルトが手摺にもたれかかりながら、人差し指をこちらに向けている。
──氣術を使う気だ!
「はあぁ!!」
ギルベルトにまで参戦されてしまうと、こちらの勝機が無くなる。俺は彼より速く、炎を放出した。
四方八方に発射された火炎放射がギルベルトの立つ足場を焼く。足場を支えるパイプも焼かれて曲がり、鋼板が傾いてギルベルトはパランスを崩した。
ザウルは勢いよく飛び上がって炎を避ける。
刃同士を押し合っていたレオンとジェラルドは、迫り来る炎に驚いて互いに飛び退いた。
ニコロは肩に炎を食らい、怯んだ隙にセファンが彼を押しのけて逃げる。
ジゼルは炎を回避し、ハインツは風で炎を相殺した。
そして燃え盛る炎は実験場内を暴力的に蹂躙し、機材、机、壁、天井を焼き、溶かしていく。
「今だ!!」
逃走の合図を叫んだ。
仲間が皆、上方にある実験場の出口へと向かう。扉から続く足場が崩れているが、風で全員あそこまで巻き上げてしまえば問題無い。
問題なのは、敵を全員振り切れるかどうかだ。
「全く、何てことをしてくれたのかなっ!!」
眉根を寄せながら美丈夫がレオンに斬りかかる。レオンは腕の刃で弾き、そして牽制で斬撃を繰り出した後、すぐさま踵を返して走る。
セファンと、琴音を担いだジゼルをニコロとハインツが追う。セファンが地の氣術で岩ドリルや壁を出して追手を妨害するが、ニコロがその鋭い爪で容易く破壊した。距離がどんどん縮まる。
「させるかっ!」
俺は氷柱をニコロとハインツ目掛けて発射する。こちらの攻撃に気付いたニコロが振り向いて立ち止まり、牙と爪で氷をかち割った。ハインツが彼の取りこぼした氷柱を炎で溶かす。
「調子に乗んなや」
「!」
不吉な声と共に、相手を射殺すような殺気を感じて俺は大きく屈む。すると直後、頭の上を鉤爪が横切った。
グッタリと動かない八雲と葉月を抱えながら、風を利用してその場から即座に離れた。振り返ると、ザウルが渋い顔をしながら再び手に装着した鉤爪をだらんと垂れ下げている。
「ユウ君、観念したまえ」
傾いた足場の上でなんとか体勢を保っていたギルベルトは、そう言うと同時に氷の氣術を発動した。すると、急激に実験場内が冷気で満たされていく。床がパキパキと音を立てながら凍り始めた。
「皆、床から足を離せ!」
「えぇ!? んなこと……うわぁっ!?」
「おいおいマジかよ!!?」
「しまった……!!」
セファン、レオン、ジゼルの足が、床から伝った冷気で凍りつく。ジェラルドとニコロの足も一緒に凍っていた。ハインツだけは炎で足周りを自衛している。
そして氷結前線がこちらにも向かってくる。
「くそっ!」
ハインツを真似て、足周りに炎を出した。冷気は俺の足まで侵食してくることはできない。ザウルは大きくジャンプして実験台の上に着地し、凍りついていく床を眺めている。
いけない。皆の足を解放し、ギルベルトとザウルとハインツを牽制しながら早くここから逃げなくては──。
次の瞬間、ザウルが猛スピードで突っ込んできた。俺は間一髪で躱す。
しかしザウルはすぐさま方向転換し、鉤爪で足を狙ってきた。鋭利な銀の爪がふくらはぎを引き裂く直前、その前に分厚い氷の盾を作ってガードする。
鉤爪と氷の盾がぶつかった。強靭な鉤爪の攻撃に、盾が激しく抉られる。
だが爪が盾を引き裂く直前、俺は風の補助を得ながら素早く飛び退いた。盾が破壊され、鉤爪は大きく空を斬る。
「ユウだけに任せられっかよ!!」
レオンは叫びながら腕の刃を大振りする。そして、自身の足元を斬りつけた。床と足の接地面を刃が通る。氷を斬り裂き、彼の両足は自由を取り戻した──しかし、靴底がかなり斬り取られて減っていた。あと少しでも軌道がずれていれば、足裏の肉が無くなっていただろう。
「ふむ、君がそうなら私もそうしよう」
ジェラルドがレオンを真似て鎌を足元に振る。彼の足も解放されたが、やはり靴底がごっそり削られていた。
レオンとジェラルドは互いに構えて睨み合う。
マズイ、このままでは逃げられない。心が焦り始め、冷や汗が垂れ、心臓の鼓動が速くなる。
何とかこの状況を打開する方法を──
しかしそう考えた次の瞬間、実験場の扉を勢いよく開いて何かが飛び込んできた。
全員が一斉にそちらに視線を向ける。
「サンダー!!」
扉から大ジャンプして入ってきたのは、口に大袋を加えたサンダーだった。袋には恐らく俺達の武器が入っている。
俺は風を使い、勢いよくサンダーの元へ跳んだ。
「良くやった!!」
「ワウ!」
俺とサンダーの体が交錯する。空中で開きかけていた袋に手を突っ込み、宝剣を取り出した。八雲達を片手で抱えた状態で脇に鞘を挟み、そして宝剣を引き抜く。
「ザウル殿! ユウ君を!!」
「分かっとる!!」
ギルベルトの呼びかけに応じて、ザウルが鉤爪を突き立てながらこちらへ跳躍してくる。
だが、その三本の鋭い凶器が俺とサンダーに届くよりも、宝剣が振り下ろされる方が早い。
「らああぁ!!」
宙で大振りした宝剣から、一匹の炎の竜が出現する。竜は火の粉を大量に散らしながら、迫り来るザウルを飲み込んだ。
そして勢いをそのままに、実験場内を暴れまわる。ギルベルトが、ジェラルドが、ハインツが火竜の猛火をそれぞれ飛び退いて回避した。
俺は近くの傾いた足場に掴まり、サンダーは袋を加えたまま着地した。
縦横無尽に動き回る竜の熱風でギルベルトの冷気が吹き飛び、床の氷が溶けてセファン、ジゼル、ニコロの足が解放される。
ザウルは何とか竜の炎から逃れ、火傷を負いながらも無事に着地してこちらを鋭く睨んだ。
するとその時、ジゼルに担がれていた琴音が必死な目でこちらを見上げる。
俺はすぐに彼女の意図を察した。
「──!」
「風太丸!!」
琴音が残りの体力を振り絞って召喚した風太丸。彼はすかさず琴音、ジゼル、セファン、サンダーを背に乗せて大きな翼を広げた。
「レオン、風太丸につかまれ!!」
「うおぉ!!?」
俺は暴風を床面に巻き起こす。
暴力的な空気の流れが風太丸を中心に渦を生成する。レオンの体は風の勢いに飲まれ、そして風太丸の背の上に投げ出された。
竜巻の如く吹き荒れる暴風は、風太丸に乗る仲間と俺、八雲、葉月以外を放射状に吹き飛ばす。
そして次の瞬間、渦を巻いた気流は向きを変えて風太丸を跳ね上げる上昇気流となる。翼に力強い風を受けて一気に浮上した風太丸の背中がこちらに接近した。
片手には八雲と葉月、もう片方には宝剣を握っている俺の体を、風太丸の足が通り過ぎざまキャッチする。
「皆、しっかりつかまれ!!」
荒れ狂いながら乱舞を続けていた火竜が出口にぶち当たり、周囲を焼き溶かして穴を大きく広げた。
その穴目掛けて、仲間全員を乗せた風太丸の体が一気に上昇する────。