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「ルーン、大丈夫か?ケガはないか?」

「ええ、大丈夫よ」


アルはルーンの前までやってきて膝をつきます


「誰だ!こんな酷いことをしたのは!」

「まって、私は平気、何ともないわ」


凄い剣幕で追求しようとする王子を魔女は慌てて止めました


「しかし・・・」

「本当に大丈夫だから」


そう言ってルーンが顔を上げると、アルは驚きました

「ルーン・・・フードが・・・」

「あ!」


ルーンが慌ててフードを被りなおそうとする手をアルは止めました


「やっと、顔を見ることが出来た」

「あまり見ないで、恥ずかしいわ」

「恥ずかしがる必要はないよ。とても綺麗だ。私が探していた娘は君だった」

「私が?」

「そうさ、池で君を見たとき一目惚れした。しかしいくら探しても見つからなくて諦めていた。でも、心の優しい君と共に過ごすうちに君に惹かれ、いつしか顔を見たことのないはずの君を愛するようになっていた。占っても見つからないはずだよ、探していたのは君だったんだから。私はなんて幸せ者なのだろう、一目惚れした相手と愛した相手が同一人物だったんだ」


そう嬉しそうに微笑んで、二人は少しの間見つめあっていました


「良かったら私と踊ってくれませんか?」

「えっと、私下手よ?」

「大丈夫、私がリードするから」

「では、喜んで」


恥ずかしそうに微笑み返事をし、騒動のせいで静まっていた会場も、今では二人のダンスに見入っています


「結構上手じゃないか」

「そう?男性と踊ったのは初めてよ」

「誰と踊ったの?」

「お婆様とお母様」

「そうか、君の始めての相手になれて光栄だ」


そういって二人は笑いあいました、ダンスが終わり、パーティーも終わりに差し掛かった時です


「ルーン」

「なに?」

「私の傍から離れるなよ」


アルフレッドの言葉に何かを察知し、覚悟を決めました


「ええ」


二人は前に進み出ると、王子が声を上げます


「皆、聞いてくれ。私は彼女を妃に迎えることにした。城下町では色々と変な噂が流れていたと思うが、あれは誤解だ!恥ずかしがりやで、あまり人と話したことがなかったのを良く思わないものがいたのだろう。しかし!彼女は素晴らしい人である。これからは私の妃として共に歩いていこうと思う、よって皆も仲良くして欲しい。よろしく頼む!」


それを聞いた民衆がざわつき始めました


「なに、どういうこと?」

「王子は騙されているんじゃないのか?」

「そんなこといきなり言われても信じられないわ」

「でも、王子は本気みたいだぞ?」

「魔女に操られているんじゃないかしら?」


口々にあること無いこと噂を始める。それをみた王様が声を荒げます


「ならんならん!私はそのような魔女を妃にするなど絶対に許さんぞ!」

「しかし、父上!私は期日までに愛する女性を見つけました。約束は約束です」

「他の女ならいざ知らず、そんな得体の知れない魔女を妃にするなどあってはならない! 他国との関係もあるのだぞ!何故わからぬ」

「確かに巷では悪い噂が飛び交っていますが彼女には身に覚えの無いこと、それを一国の王が噂だけで彼女を決め付けるなどあってはならないことではないでしょうか!」

「なにを・・・・ぐっ・・」


ドサッ 急に王の様子がおかしくなり、その場に崩れ落ちてしまいました


「キャーッ」


騒然となる会場、兵士たちは急いで駆け寄りました


「父上、どうされたのですか!?」

「う・・ううぅ・・・」


医師たちがやってきて診察を始めます


「父上の様子はどうなんだ!?」

「申し訳ございません、まだ何とも・・・」


泣き崩れる王妃に寄り添うアルフレッド、みんなが諦めかけたその時です


「ちゃんと患者を診なさい!急がないと手遅れになります!」


声を上げたのはルーンでした


「焦って見落としては医者失格ですよ!出来る限りのことを全力でします、急ぎなさい!」


あっけにとられたみんなを引き戻し指示を出します


「あなたとあなたは処置の準備をしてください、あなたとあなたは王様と同じ血液型の人から輸血用の血液を分けてもらってください、あなたたちは患者を処置室へ連れて行ってください、私が処置をしますのでお手伝いをお願いします」

「はい、先生!」


医師たちがバタバタと指示通りに動くとルーンも処置室へ向かい、会場を出ようとしたときに振り返りました


「アル、王様のことは私に任せて。会場のほうはお願いね」


と微笑んで出て行きました


「母上、父上は大丈夫です。気をしっかり持って会場のみんなに挨拶をお願いします。後は私が引き受けますので」


頭の中でこの間のルーンの言葉が響いていました


(じゃああなたに何かあったら私が守るわね)


ルーンは王様の容態が安定するまで城と自宅を行き来する日が続きました、街の中を歩いていると王様の安否を心配する民衆に声をかけられることもありました


「あの・・王様の容態はどうですか?私たちにも何か出来ることはありませんか?」


最初うちは驚いていたルーンも必死に聞いてくる人たちに答えるようになっていきました


「い・・今は落ち着いて眠っています、このまま容態が安定してくれれば時期に目を覚まされますよ」

「本当ですか!良かった」

「あのさ、元気になったらこれを王様に食べさせてあげたいのだが、どうだろう?」

「えーっと・・意識が戻られたら喉を通りやすい物を用意してもらう予定ですので、お城の方へ届けていただければと思いますが・・・」


今まで人に囲まれることが無かったルーンは対応にてんてこ舞いです


「とにかく!意識が戻られたら報告されると思いますのでご安心ください!」


そう言って一目散に逃げ帰ってしまいました

王様の容態が安定し、後は城の医師たちに任せることが出来るようになりました。アルとルーンはようやく落ち着いて話が出来るようになったので二人で中庭へとやってきました。


「ルーン、父上を救ってくれてありがとう。君は医者だったんだね」

「ええ、小さい頃に母が病に倒れてしまって、母を治してあげたくて医術を学んだの。残念ながら母を助けることは出来なかったけれど、別の苦しんでいる人を助けることが出来るようになったわ」


ルーンはどこか寂しそうでした


「そうか、お陰で私の父上は助かったわけだ」

「まだ意識が戻っていないから油断は出来ないけどね」

「いや、君が居てくれなかったらあの場で亡くなっていただろう。ルーン、君は約束を守ってくれた、今度は私の番だ」


さっきまで静かだった城内が急に慌しくなりました


「どうした!何があった!」

「王子!王様の意識が戻られたそうです」

「行こう、ルーン」


王様の意識が戻ったことを聞き、二人は急いで寝室へと向かいました


「父上!」

「ああ、アルフレッド心配をかけたな」


力弱く答える王の隣には涙を流して微笑む王妃の姿もあります


「本当ですよ」


ルーンは前に進み出て脈を測りながら声をかけます


「体調のほうはいかがですか?」

「調子は良さそうだよ。さっき妻から聞いたよ、君が助けてくれたそうだね。ありがとう」

「いえ、私は目の前にいた患者を救っただけですから」


そう言って一歩下がると続けました


「食事は当分の間飲み込みやすいものを用意するように伝えてあります。毎食後に必ず薬を飲んでください。調子がいいからといって無理に動かれますと身体に障りますのでご注意いただきますようお願いします」

「ああ、わかった・・・」


王はあっけにとられていたが、吹き出しました


「流石はアルフレッドが選んだ相手だ。ルーンさん、まだまだ頼りない息子だが、これからも傍で支えてやってくれないだろうか」


突然の王の言葉に顔を見合わせました


「はい、喜んで」


ルーンは満面の笑みで答えます


「そうだ!急いで結婚の知らせを出そう!」


嬉しさのあまり慌てだすアルをルーンがなだめます


「アル、その前に王様の意識が戻ったことを街に知らせないと!みんな心配しているわ」

「そうだったな、急いで知らせを出そう!」

「もうアルったら、落ち着いてちょうだい。慌てなくても誰も逃げないわ」


そのやりとりをみていた王や王妃、兵士にいたるまでが笑いに包まれるのでした

結婚式は盛大に執り行われ、国中の人から祝福されました。今まで気味悪がられていた魔女も、日を負うごとに王妃ルーンとして街の人々に受け入れられ、ルーンも人々のためにと自らの知識を用いて薬を作り、苦しむ人々を救うために力を注ぐことで他国との協定を 確立していくことができたのです。

あくまでも子供に書いた物語なので変な部分もあると思いますが気にしないで頂けると光栄です

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