大切な人は誰?
「鍵だ!」
かすれて薄い私の声。その鍵をしっかり握ってまた戻る。さすがに慣れた私が怖い。
「よいしょと」
くる時は何時間もかかった感覚だったのに、すぐつく。そして京が水道水を私にかける。
「ありがと。京」
「・・・」
返事が無い。
「うわあ!」
京と陸がびっくりする。京が指であっちあっちと言わんばかりに私の後ろを指さす。
「何を。きゃあ!チハヤちゃん!」
やめて。怖い。来ないで。私を殺さないで。なんせチハヤちゃんは日本刀を持っているのだから。チハヤちゃんが私に刀を投げる。私に刺さりそう。
「陸さんといるほうが幸せなんでしょ。僕は姉ちゃんのためになって死ぬよ。」
京に刀が刺さった。チハヤは消えた。そうだよ。分かってるじゃん。私は京より陸が・・・。いや。死なないで。陸が京の代わりにしんでよ。っえ。陸?私、私は・・・!そうだ。陸何て好きじゃないんだ。京の方が大切なんだ!血が流れて倒れこむ京。涙がぽろぽろ落ちる。
「陸さん。下におりてて。」
陸はスタコラサッサと下に降りた。
「京。ごめんなさい。」
「・・・俺さ。姉ちゃんの事大好きなんだ。」
「っえ!」
「でも陸さんの事が姉ちゃんは好きで。いつもそんなアピールをしてた。」
「・・・」
「虐待を受け。いじめを受け。でも姉ちゃんは"兄弟だから"じゃなくて1人の人間として接してくれた。そんな姉ちゃんが、好き。」
「小学生の恋ってさ甘いもんじゃん。ダカラいつも抑えてた。でもここに来てただ姉ちゃんに生きて欲しいと思ったんだ。そして本気で俺は姉ちゃんが好きなんだって分かった。姉ちゃんのためたら死んでもいいって思うぐらい。」
「京。私」
「だけど陸さんが好きなんだよ。姉ちゃんは。でも、一回だけでいい。俺の事好きだって言って!嘘でもいいから。生きて良かったって思える様に。」
「京好きだよ!すきだよ!」
ウソじゃない兄弟としてじゃない。
「あり・・・・・」
「京ううううううううううううううううう!」
その後今日が目を覚ますことはなかった。私は大切な人を失ったことでいつよりも悲しくなった。涙が流せない程の悲しみ。人は暗黒化というだろう。もう、死にたいって思ったけど京が守ってくれた命だもの。死なない。絶対!