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ユメ。

夢をみる。


繰り返し、繰り返し、同じ夢を。





真っ白な世界


視界を埋め尽くす、雪


これは夢なのだと、感覚的にわかる。



辺りを見回してみても誰もいなくて、なんの音もしない。


まるで、なにもかもが静止した空間にいるようだ。


自分だけが、時間の流れから切り離されているような感覚に襲われる。




ふと、顔をあげてみると、キラキラと輝いたものが降ってきていることに気がついた。


すごく、綺麗。


まるでそれは――――――――――――――――





ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ



目覚ましのお決まりの耳触りな音で目が覚める。


ああ、また同じ夢をみていたのか。


まだ寝たいと思いながらも、ベッドから体を起してカーテンをあける。


季節は初夏。


雪などとは無縁の季節だ。


あの夢は昔からよく見ているが、ここ最近は頻度が増している気がする。


雪国出身というわけでもないのに、よくわからない。


まあ夢というのはそもそもよくわからないものなのだから、あまり深く考えないようにしよう。


そう思いつつ、大きくのびをして壁に掛けてある時計を見る。


すると時刻は



8時20分を回ろうとしていた



ん・・・・・・・・?


目覚まし、昨日の夜ちゃんとセットしたよね??


そして私、ちゃんと起きたよね・・・・・???



遅刻だ・・・・・・!!!!!!!!


まだパニックになっている頭をどうにか動かして大急ぎで支度をする。


えーっとえーっと、とりあえず制服をきて、今日は終業式だからネクタイつけて、そんでもって、お弁当はいらなくて


いつもなら考えられないようなスピードで制服に着替えて、鞄をひっつかむ。


階段をすざましい勢いで駆け下りて、玄関に向かう。


途中で朝食を促すお母さんの声が聞こえたけど


ちょっと今日は無理!ごめん!


急いでローファーに足を突っ込んで


いってきます!


家から学校までは、自電車で約10分


そしてHRがはじまるのは30分


携帯をみると時刻は8時25分


まだいける!!・・・・・はず。



―5分後―



キ―ンコ―ンカ―ンコーン


予鈴をBGMに私は階段を駆け上っていた。


高校2年、女子。帰宅部。


正直しんどいです。


でも皆勤かかってるから!


階段から教室までダッシュ


そして最後の予鈴が鳴り終わるか終らないかというぎりぎりのラインで教室に滑り込んだ。


「せ、セーフ・・・・??」


息も絶え絶えにそう呟くと


「大塚!なにやってんだお前は!!」


担任からの見事な怒声。


「す、すいません・・・。あの、これってやっぱりちこ「あたりまえだろうが。」」


ええ?!まさかの食い気味で死刑宣告?!


「2学期最後の日ぐらい、まともに学校にこれないのか!毎度毎度滑り込みで!あと5分はやく起きればいいだろうが!」


そ、その通り・・・・・。



「終業式は45分からだ。それまでは各自自由にしているように。」


そういって担任は教室をでていった。



あー・・・皆勤があ・・・・・・。


へこんでいると後ろから声をかけられた。


「朝から大変だったね、唯。」


声にはすこし笑いを含んでいた。


「わ、笑い事じゃないよー真帆ちゃん。」


半べそをかきながら振り返る。


「ま、唯は家から近いんだから、5分早くおきりゃいいってのは私も賛成。」


相変わらずサバサバ系女子はかなり要点を得ているアドバイスをくれた。


「が、がんばります・・・。」




終業式中、ふとあの夢のことが頭に浮かんだ。


普段なら起きている間は考える事なんて少ないのに。


目線は話している校長先生にとめたまま、考える。


時間の流れなどないような、一面雪景色の世界。


とても綺麗で、どこか懐かしいような感じさえする。


私はどこかで、あの場所に行ったことがあるんだろうか・・・・?


試行錯誤していると、後ろにいる真帆ちゃんから話しかけられた。


「唯、夏休み中の予定は?」


「んー、特にないかなあ。なんせ帰宅部だし。」


「そういえばそうだったね。」


そういってお互い笑い合う。


「真帆ちゃんは?なにかあるの?」


「私は路上ライブやるってきめてるんだ。」


「す、すごい!」


真帆ちゃんの弾き語り、何回か聴かせてもらったことがる。


すごく綺麗で、でも真帆ちゃんらしい世界観もあって、すごく 素敵だってた。


「やる日、メールするからさ、暇だったらきてね。」


「もちろん!絶対いくよ!」


話していたら少し声が大きくなってたみたいで、先生に注意された。


なんか私、今日怒られてばっかりだな・・・。


そう思いつつ前を向く。


真帆ちゃんには、音楽で生きていきたいっていう夢がある。


その夢にむけて、努力している。



夢 か。


いったいこの世界のどれだけの人が夢を叶えているのだろうか。


そして 敗れていってるのだろうか。


きっと数えきれない。



真帆ちゃんは 強いな


私には できない










終業式も終わり、夏休みが始まる。


校門のまえで真帆ちゃんと別れてから、ゆっくりと自転車をこいで家にむかった。


途中、せっかくまだお昼前なんだし、すこし遠回りして行こうとおもって


いつもとは違う道に入ってみた


見馴れた住宅地を通りすぎ


しばらく真直ぐ走っていると


見慣れないお店を見つけた。


周りには何軒か一軒家があるのに


そこだけ違う時間が流れているようなお店の雰囲気だ。


引きつけられるようにその店に近づく、自転車から降りて、まじまじとみてみる。


店の名前もどこにも書いてなく、チョコレートのような形をしたドアのガラスからかろうじて見える店内をのぞくと


アンティーク雑貨屋さん・・・・・かな??


ドアノブに掛けられている木の板には金細工でOPENと書かれている


よし、せっかくだしはいってみよう。



ドアをあけて店内に入ってみると、たくさんのステンドガラスが視界に入ってきた。


すごい・・・・綺麗・・・・。


普段目にするようなものから、いったいこれは何色なんだろうというものまで、種類が豊富だ。


でも、なんで店員さんとかいないんだろう・・・?


店内をぐるぐる見て回っていると


すこし外れた所にドアをみつけた


なんだろ このドア?


店内をもう一度見回してみる


やっぱり店員さんはいない


あけて みようかな


おそるおそるドアノブに手をかけた


その時


「おい ここは客が入るとこじゃねえぞ。」


うしろから男の人の声がした。


驚いて後ろを振り向くと


すごく綺麗な顔をした人が目に入った


切れ長の細い目


鼻はスッと高くて


肩までつきそうな髪はハーフアップにしている



え 女の人.....??


でもこれ男用の着物だよね.....??


頭のなかが?で埋めつくされる



《おや、これはあの子ではないのか?》


突然足元から声がした


またまた驚いて下をむくと



いぬ......?


にしてはおっきくないか?


またまた頭のなかが?で埋めつくされる。


《言っておくがわしは狼じゃぞ。犬とまちがえてくれるな》



おおかみ.........?


っていうか


しゃべってる??!!!!


もう頭は大混乱だ


すると男の人が


「ちょっと蒼さん。だめじゃないっすか。近所の人にはシベリアンハスキーですって言ってるんだから。」


こいつあほなのか


動物愛護団体をなんだと思ってんだ


頭が冷静にツッコミをはじめた


っていうかまずなんで犬がしゃべってるんだ


どうかんがえてもおかしいでしょ


え もしかして最新の技術?


いやいやだったら絶対ニュース沙汰でしょ!


《やかましい。だいたいわしはいやじゃと言ったではないか。なぜ犬のフリなどしなきゃいけないのじゃ。満足に遠吠えもできんではないか。》


いやいやいや


そんなことしたら近所からのクレームどころじゃない


警察沙汰ですよ



「だってそれは蒼さんほねっこ一年ぶんで了承したじゃないですか。」


安っ


ってかもうそれ犬じゃん


《小娘。今わしに対して無礼なことを考えたじゃろう。言っておくが狼はそういうのは敏感じゃからな》



狼って意外とナイーブなんですね


「あ そういやこいつがいるの忘れてたわ。」


そう言って男がこっちに近いてくる


私の目の前でとまり


少し屈んで私に目線を合わせる


「お前、同じ夢を何回もみないか?」


夢......??


なんでこいつが夢のことを??


「どうやらみるみたいだな。」


「....なんでわかるの?」


おどろいて尋ねる


「ま だてに長く生きてねえからな。」


男は笑いながらそう言う


長くって


どうみても20代なんだけど


「どうしてあなたがあの夢のことを知っているの?」


だって


誰にもいったことないのに


「わたしは「おーっとそれ以上は言うな。」


突然口を塞がれた


は!?


「職業柄ってやつだよ。あと、その夢のことはこれからも人に言うな。」


なんなのいきなり!?


「職業柄って、どうみてもただのステンドグラス職人じゃないですか?!」


ん?どうみてもっていうのはおかしいか。着物だし。


「本職はちげーんだよ。そろそろ客がくるからそこに座ってみてな。」


そう言って木の椅子を指差す


「いきなりなんなんですか?!私もう帰りますから。」


回れ右をして出口にむかおうとすると


「夢のこと。気になるんじゃねーのか?」


男が後ろから声をかけてきた


ふりむくと 男は薄く笑みをうかべている


む むかつく......!!!!


「教えてくれるんですか?」


ぶっきらぼうに答える


「ま 口で説明するよりみたほうがはえーよ。客も来たみたいだしな。」




すると


ドアのあく音がした。



「いらっしゃいませー。」


男がやる気のない声をだす。


すると人がこちらに近づいてくる気配がした


その男いわくお客さんは


40代前半ほどの小太りな男性だった


「お客様、今回はどういった御用件で?」


男が尋ねる


「あのぅ.........ここにきたら記憶をけしてくれると聞いたんですが......」




いまこの人 なんて言った.......??














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