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アマデウスの謎  作者: 伊吹 由
第1章 始まり
7/147

第6話  謎のメール

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 慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2


      「アマデウスの謎」 


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前回までのあらすじ


2012年12月。

リナの携帯に、妹を誘拐したという電話が届く。


1つ年下の後輩・慎吾と共に、実家に戻るリナ。慎吾はリナがお金持ちの娘と知って驚きを隠せない。


羽鳥家に関わる面々が集まる中、【誘拐犯】から電話がかかってきた。1週間以内に1億を用意しろという。


リナは電話がかかってきた場所を突きとめたが・・・警察に捜索させるも、相手はすでに逃走した後だった。


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     第6話  謎のメール  


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慎吾は書斎の奥の本棚から、興味のある本をたくさんあるのを見つけた。経営書や数学書、物理学の本には無関心だが、哲学や歴史、古代文明の本には大いに興味を示す。


形而上学  神は死んだ  デカルトの間違い  ソクラテスの弁明

アメリカ独立戦争  中世ヨーロッパ史  ローマ帝国  マヤ文明  

近代日本史  三国志  古代4大文明  邪馬台国  ムー大陸 ・・・


これらのキーワードは、史学部の慎吾にとって非常に魅力的だった。

その中の1つの本を手にした慎吾は、書斎の中央にあったフカフカのソファーに腰掛け、それを読み始める。


応接間で、羽鳥家に関わる面々が【誘拐犯】とやりとりをしてる事など知らずに・・・。



本を読み始めて、30分が過ぎた頃・・・。


ガチャッ


書斎のドアを開き、中に入ってくる人物がいた。


慎吾「あ、リナ先輩」


本を開いたまま立ち上がった慎吾が、入ってきたリナに声をかける。


リナ「来て。みんなに紹介するから。さっき言った通り私に合わせてよ。

    ヘタな事は喋らなくていいから」


慎吾「は、はい」


慎吾は本を閉じて、元にあった場所へと戻そうとした。

その本のタイトルが、リナの視界に入る。


リナ「【失われたマヤ文明】? あんた、そういうの好きよね~。

    絶対私が読まない本だわ・・・」


慎吾「えぇ。マヤとかインカとか・・・

    そういうミステリアスな文明大好きなんです。


    生きているうちに絶対マチュピチュとか行きたいですね」


しばし【誘拐事件】という現実から逃避していた慎吾が笑顔で応えた。


リナ「はいはい。私は、そこらへんにある数学書の方が興味深いけどね」


数学書が集中的に置かれてある本棚を指さすリナは、部屋の奥にある机を一瞥いちべつして書斎を後にした。



リナの後ろをついていく慎吾は、広い応接間に通される。


皆の「こんな時に」という空気を無視してリナが口を開いた。


リナ「こちら、慎吾君。箱根大学の後輩で私の彼氏。

    デート中に誘拐犯から電話が来て、怖くて実家まで着いてきたもらったの」


慎吾「あ・・・ どうも・・・」


慎吾は小さく頭を下げた。リナの母親が真っ先に口を開く。


瞳「まぁ・・・リナを1人にするのも確かに危ないし・・・

   ようこそ・・・と、言いたいけど、状況が状況だし・・・


   正直、今はどう接すればいいかわからないの」


目を真っ赤にしながらも家のちょうとしての言葉をかけた。


慎吾「あの・・・ 皆さんの邪魔にならないようにしますので・・・」


瞳「今日はもう、箱根に帰る事は出来ないでしょう・・・

   2階のお客様用の部屋があるから、そこに泊まりなさい。


   美也さん、案内してあげて」


新城「はい、奥様」


羽鳥家の家政婦・新城美也は慎吾の前に立つと、マジマジと慎吾の顔を見つめる。


新城「リュック、お持ちしましょう」


新城は慎吾の背負っていたリュックに手をかけた。


慎吾「あ、いいです。荷物は自分で持ちますので・・・」


新城「あら、そうですか。じゃぁこちらへ・・・」


そのまま慎吾は、2階の部屋へと連れて行かれた。



階段を上りながら新城は独り言のようにつぶやく。


新城「まさかリナお嬢様が彼氏を連れて訪れるとはね~」


新城は雛子が誘拐されたという事実に不安を募らせながらも、慎吾に興味を持っていた。


慎吾「・・・ ・・・」


後ろを歩く慎吾は、ひっかかる事があったので、思い切って新城に聞いてみる事にした。


慎吾「あ、あの・・・ 1つ聞いていいですか?」


階段の途中で立ち止まる新城。くるりと振り返り慎吾の顔を見る。


慎吾「あ・・・」


緊張する慎吾の表情を確認した新城は、にっこりと笑った。


新城「えぇ、どうぞ。答えられるものなら。こんな時ではありますが・・・」


そういうと、また背を向けて階段を上り始める。


慎吾「あ・・・ リナ先輩の・・ お父さんは・・・?

    確か、羽鳥コーポレーションの社長・・・でしたよね?


    いつから母親が社長に・・・?」


またしても階段の途中で止まる新城。

   

新城「それは答えられない質問だわ・・・」


背を向けたまま新城は慎吾に言い放ち、また階段を上っていった。


慎吾は聞いてはいけないものを聞いたかと思い、ばつの悪そうな表情を浮かべる。


(慎吾「り、離婚でもしたのかな・・・?」)


昔から新聞を熟読する慎吾。羽鳥家の社長・・・すなわちリナの父親が、社長を退しりぞいたというニュースは聞いたことがない。 


慎吾「あ・・・ じゃ、じゃぁ1階の書斎にあった本って・・・

    差し支えなければ借りる事は出来ますか?


    さっき読んでいた本が気になって・・・ 

    あ! 明日までに返しますから!」


質問を変えて何とか取りつくろうとする慎吾。


新城「あら? 質問は1つ・・・そう言ってなかったかしら?」


慎吾「あ・・・」


新城は慎吾が困る姿を楽しんでるかのような口調で声をかけた。


新城「あの書斎は、来客者にも開放してますから。

    滞在中は自由に出入りして本を借りても構いませんよ。


    もちろん借りた本は、ちゃんと返却してくださいね」


慎吾「あ、ありがとうございます!」


慎吾はきびすを返し、階段を下りていく。


新城「あらら・・・ 部屋へ案内中だってのに・・・

    リナお嬢様の彼氏は落ち着きのない人ばかりね」


書斎へ向かう慎吾を見ながら、少しばかりあきれた表情を浮かべた。



・・・ ・・・。



井上「もうすぐで、警視庁から捜査官が来るそうです」


羽鳥家の警備主任・井上は携帯を切った後、皆に伝えた。


リナは妹の携帯に登録されている電話番号やメールアドレスを、いつも持ち歩いているノートパソコンにダウンロードする。


(リナ「少しでも手がかりが欲しい・・・」)


それらのDATAを確認するも、有力と思える手がかりは全くない。

【誘拐犯】の大胆ながらも緻密ちみつな犯行を、改めて思い知らされるだけだった。



・・・ ・・・。



12月13日(木)午前1時過ぎ。


リンゴーン・・・


重低音の呼び鈴が家中に響いた。


井上「私が対応します。おそらく警視庁の方でしょう」


2分後、応接間に2人の捜査官が現れた。


色あせた茶色のコートを脱いだ男・・・後藤源治郎、54歳。

短髪に借り上げた白髪交じりの頭髪・・・側頭部に大きな傷を持つベテラン捜査官。


そして後藤の後ろに続いてきた男・・・藤岡二三弥ふみや、34歳。

銀縁眼鏡の奥から鋭い眼光を放ち、アタッシュケースを右手に持つ若い捜査官。


視界に藤岡が入った瞬間、リナの目が大きく見開いた。


リナ「な・・・」


一瞬藤岡と目が合うも、リナはすぐに視線をそらす。


(リナ「何故あの男が・・・? 部署が変わったはずなのに・・・」)


後藤は真っ先に瞳の方へ向かい頭を下げた。


後藤「お久しぶりです・・・」


瞳「えぇ・・・」


素っ気ない返事を返すだけの瞳。


後藤「出来れば他の者を回したかったのですが・・・

    なにぶん4年前の事件を担当したという理由で私が指揮を執ることに・・・


    まさか再び誘拐事件が起ころうとは・・・」


瞳「あなたが来ると聞いていたから心の準備は出来ていたわ・・・

   今は・・・ 雛子の命が最優先。1週間あれば1億ぐらいは用意できます」


後藤は過去にも羽鳥家の誘拐事件を担当した警視庁捜査第一課の捜査官だ。


瞳「確実に・・・確実に雛子を生きて抱きしめられるようにして下さい!」


後藤「承知しております・・・」


警備主任の井上は、もう1人の捜査官・藤岡に声をかけた。


井上「何故あなたまで? 確か今は、コンピュータ犯罪捜査官になったはず・・・」


かつて後藤と同じ捜査第一課の捜査官だった藤岡。後藤と共に4年前の誘拐事件を担当している。その事件後、警視庁特別捜査官であるコンピュータ犯罪捜査官へと昇進していた。


藤岡「えぇ。今日はただげんさんについてきただけです。

    なにぶんWBCでの事件ですから・・・」



 ※ WBC Wing-Bird-Corporation=羽鳥コーポレーション



藤岡「必要になる場面があるかもしれないと、上が私をよこしただけです。

    まぁ、出番がなければすぐに帰りますよ」


藤岡は小さく笑って顔見知りの井上に声をかけた。

そしてその視線をリナに移す。


リナはけして藤岡と視線を合わせようとはしない。


(藤岡「まだ・・・ 根に持っているか・・・」)



後藤「では・・・ 事情聴取を始めます。

    ここにいるのは、これで全員ですかな?」


軽く挨拶を済ませた後藤が、応接室にいる連中に声をかけた。


井上「いえ。あと1人・・・・ その・・・」


言葉を選ぶ井上だったが、リナが迷わず声を出す。


リナ「私の彼氏がいるの。2階の奥の部屋に」


後藤「ではその彼氏さんもこちらへ来るようにお願いします」


瞳は小さく新城に声をかけ、慎吾を呼びに行かせた。しばらくして慎吾が再び現れる。


後藤は先ほどまで慎吾がいた書斎で、1人ずつ事情聴取すると皆に説明した。


慎吾「なぜ、1人ずつ・・・?」


後藤と藤岡が書斎に入って準備している間、慎吾はリナに尋ねる。


リナ「バカね。捜査の基本よ。

    供述に食い違いがないかもチェックしているの」


慎吾「えぇ? まるで僕らの中に犯人がいるみたいじゃないですか!?」


リナ「そんなんじゃないって。これはマニュアル的なものよ。

    そんなに1人で事情聴取受けるのが怖いの?」


慎吾「こ、怖いですよ・・・ あぁ、僕、何を喋ればいいんだろう・・・」


書斎の奥から現れた後藤は


後藤「まずは・・・リナ君。君からだ」


誘拐犯と最初のコンタクトを取ったリナを指名した。


リナ「あら・・・口裏合わせる時間はないかもね」


そう言うと、リナはスタスタと書斎へ向かう。


慎吾「あ・・・ リナ先輩・・・」


慎吾は困った表情を浮かべた。



書斎に入ると、入り口の横に藤岡が立っていた。

リナはけして彼と視線を合わそうとはしない。


藤岡「まだ根に持っているのか?

    君の命を救ったというのに・・・」


藤岡は小さな声をリナにかける。


リナは完全に藤岡を無視して、書斎の中央にあるソファへと足を運んだ。

そして後藤の向かい側に静かに座る。


正面に座ったリナを見て、後藤がやや申し訳なさそうに口を開いた。


後藤「まさか、またこういう形で・・・」


リナ「気にしないで。今日起こった事を全て話すから」


藤岡と違い、後藤には協力的な姿勢を見せる。


リナは慎吾とラーメンを食べている時に妹からの着信があった事。

それが誘拐犯で、家に戻ったら部屋が荒らされていた事。


そして妹の携帯を自分の部屋で見つけ、ひばりヶ丘の実家に慌てて駆けつけた事を端的に話した。


その際、妹の携帯のGPS-DATAを探った事は秘密にする。


リナ「で、これが妹の携帯。ママがべたべた触っちゃったけどね」


リナは証拠品の1つである、妹の携帯も後藤に渡した。


後藤「では、これは鑑識に回しておきます」



・・・ ・・・。



10分後、リナは書斎から出てきた。


慎吾「あ、リナ先輩。ど、どうでした? 何を聞かれました?」


リナ「今まであった事を聞かれただけよ。

    いい? GPSの事だけは黙っておいてよ。


    それ以外は大丈夫だから」


次に書斎に向かったのは瞳。しかし瞳はわずか2分で書斎を出てきた。


慎吾「リナ先輩のお母さん、出てくるの早いですね」


リナ「おかしいわね・・・」


リナは視線で母親を追う。瞳は2階の手前の自分の部屋に入っていったかと思うと、すぐにまた出てきた。その手にはノートパソコンが抱えられている。


そのパソコンを見たリナはすぐに母親の元へかけよった。


リナ「ママ。何故ノートパソコンを?」


階段を降りながら瞳が口を開く。


瞳「最近、何か変わった事はないかって聞かれて・・・

   そういえば、数日前に文字化けしたメールが届いたって話したの。


   宛先不明のね」


リナの目つきが急に鋭くなる。


リナ「まさか・・・。

    送信者不明のメールが、ウォールをくぐりぬけてきたの!?」


瞳「えぇ、2通だけね。

   ウィルスメールでもウォールをくぐり抜けただけで奇跡的・・・


   と言いたいけど、ただのトラッシュメール。

   セキュリティに問題はないわ」


※ トラッシュメール = ごみメール


WBCは4年前にセキュリティソフトを販売している。


ソフトをインストールした企業や大学、個人ユーザーのネットセキュリティはほぼ完璧で、どんなウィルスもどんなサイバー攻撃も跳ね返してきた。


このようにネットワークの安全を保つソフトを、通称ファイアウォールと呼ぶ。


まれにWBCのファイアウォールをくぐり抜ける強力なサイバー攻撃もあったが、くぐり抜けた時点でそれらのファイルはすでにゴミ同然になっており、害を与えることはなかった。


ハッカーの間で、WBCのセキュリティを破ってハッキングできた者は「神」とまで言われるようになり・・・全世界の腕に覚えのある連中は、そのファイアウォールを破らんと日々サイバー攻撃を仕掛けている。


しかし未だにそのファイアウォールを破るハッカーは現れていない。


ローマ皇帝ハドリアヌスはイングランド北部に進出し、100kmを超す防御壁「ハドリアンズ・ウォール」を作ったが・・・その名前にちなんで、いつしかそのファイアウォールは、ハドリアンズ・ウォールと呼ばれるようになった。


このウォールは2年前のバージョンアップを最後に、そこをくぐり抜けた者さえ未だ1人もいない・・・ はずだった。


リナ「なのに、くぐり抜けてきたメールがある・・・」


リナは瞳の手からノートパソコンを奪い、すぐに起動する。


瞳「な、何を?」


リナ「ごめん、ママ。すぐ終わるから・・・ 早く起ち上がって!」


リナは即座に慎吾に声をかけた。


リナ「慎吾! すぐに書斎に行って! 

    ママは5分後に来るからその間、僕が事情聴取受けますって!」


急に声をかけられた慎吾がびっくりする。


慎吾「え!? え? 今すぐ? 心の準備が・・・」


リナ「いいから急いで!」


慎吾「は、はひ・・・」


慎吾はすぐに書斎へと向かい・・・捜査官2人がいる中へと入って行った。



入り口の横に立っていた藤岡が、眉をひそめて声をかける。


藤岡「君の順番ではないはずだが・・・?」


銀縁眼鏡の奥から、鋭い眼光を慎吾に突き刺す。


慎吾「あ・・・えっと・・・。

    リナ先輩のお母さんは、5分ぐらいで来るそうなので・・・


    よかったら先に僕の事情聴取を済ませて欲しいな・・・・って」


だんだんと声が小さくなっていく慎吾。思わず藤岡が笑い出した。


藤岡「はっはっは。何をそんなに慌てている? まるで不審者だぞ」


笑いながら藤岡は、後藤に声をかける。


藤岡「どうです? 源さん。

    リクエストに応えて、彼の供述を先に取るってのは?」


部屋の中央のソファで2人のやりとりを見ていた後藤は,小さなため息をついて


後藤「ま・・・ 5分もかかるなら、君を先にでいいかな。

    よし! こちらへ来たまえ!」


慎吾を呼び寄せた。


慎吾「は・・・はひ・・・」



・・・ ・・・。



リナは起ちあがった母親のパソコンのメールソフトを開いて、文字化けしたメールを探した。すぐにそれは見つかり、差し込んだUSBメモリへとコピーする。


高速でキーボードを叩き、メールの出所を探ろうとしたが・・・それを見ていた瞳が声をかける。


瞳「メールの出所を探るつもり?」


リナ「ひょっとしたら・・・ 誘拐犯かも・・・」


数秒の沈黙の後、瞳が口を開いた。


瞳「仮にそうだとしても・・・ 私も出所を探ったけど掴めなかったわ。

   ウォールをくぐり抜けた時に、完全に破壊されたみたい・・・」


リナ「・・・」


母親の言う通り、リナもメールの出所を特定できないでいる。


リナ「これが唯一の手がかりかもしれないってのに・・・」



・・・ ・・・。



後藤「じゃぁ【誘拐犯】から電話のあった午後11時16分・・・

    君はこの書斎にいたと?」


慎吾「えぇ・・・・」


後藤「リナ君の妹の携帯に電話をかけたのは・・・君ではないのかね?

    皆がいる前でタイミング良く電話がかかってくるのは不自然だぞ?」


慎吾「そ、そんな・・・ 僕はここで【失われたマヤ文明】を読んでいたんです」


後藤「ならばその本はどこにある?」


慎吾「えっと・・・あ、2階の部屋に持って行きました・・・。

    ちゃ、ちゃんと許可は取りました! ホントです! 信じてください!」


真実を言えば言うほど、怪しく聞こえてしまう。

後藤はけして慎吾を追い詰めるつもりはなく、あくまでもマニュアル通り供述の矛盾点をついただけだが・・・


ことのほか慎吾の反応が怪しく映ってしまう。


後藤「君は署に連行した方がよさそうだな」


慎吾「ちょ、ちょっと待ってください・・・」



2人のやりとりを腕組みをしながら見ていた藤岡は他人事のように笑っていた。慎吾が馬鹿正直に話せば話すほど、ドツボにはまっていく姿があまりにも滑稽こっけい


腕組みをした両手をポケットに突っ込み、ニヤニヤしながらしばらくその様子を見つめていた。


慎吾「ほ、ホントに僕、リナ先輩の妹を誘拐なんかしてませんよ」


泣きそうな表情で後藤に訴える慎吾。その慎吾を助ける「音」が鳴った。



リリリリーン・・・  リリリリーン・・・



慎吾と後藤を挟んでいるテーブルの上・・・


後藤がリナから押収した「妹の携帯」が突然鳴り響いたのだ。

後藤も慎吾も突然のコールに驚きを隠せない。


それ以上に驚きを隠せない人物がいた。

タイミング良く書斎に入ってきた瞳だ。


その音を聞いた瞬間、先ほどの恐怖がよみがえる。

娘に銃を向けた人物からの電話なのか・・・ それとも・・・?


後藤は手袋をはめた手で携帯を取り、瞳に差し出した。


後藤「出てください・・・ 冷静に・・・」


涙目の瞳は、震える手で携帯を受け取った。



着信【非通知】



先ほどの【誘拐犯】とは違う着信表示・・・


瞳はゴクリと唾を飲んだ後、通話ボタンを押した。



瞳「も・・・ もしもし・・・」




             (第7話へ続く)

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次回予告


疑いの晴れた慎吾は、ほっとする以上に深刻な事態を察する。

リナは母親のパソコンから得た唯一の手がかりが、トラッシュメール(ゴミメール)2通だった。


果たしてこのメールは犯人の情報へと繋がるのか・・・?


慎吾は家政婦の新城美也から、衝撃の事実を聞くことになる。


次回 「 第7話  手がかり 」

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