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アマデウスの謎  作者: 伊吹 由
第5章 回想
136/147

第135話  回 想(7)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2


       「アマデウスの謎」 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

前回までのあらすじ


2008年。

リナ、そして父親の魁斗かいとが、謎の組織に狙われた。


イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。


2012年、女子大生となったリナ。誘拐された妹を追って、1つ下の後輩・慎吾と共に実家へ戻る。誘拐犯が警視庁捜査官の藤岡だと突きとめるも、彼等のアジトで捕まってしまった。


しかし殺されたはずの魁斗が現れ、皆を救出。


藤岡の属する秘密組織【Unknown】は、全世界の人間を抹殺する恐ろしいテロを計画。慎吾は組織のTOP、グランドマスターを倒し・・・リナの守護霊がヒロであると告げた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第135話  回 想(7)


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~ 第92話「ラストゲーム」より ~


12月20日(木)、0時6分。目黒基地内。


ロシアンルーレットをクリアした慎吾とリナ。藤岡はリナに、ウィーン大学とザルツブルグ・モーツァルテウム大学のサイトに侵入するようもちかけた。侵入出来なければ妹と母親を殺すと脅されたリナは、しぶしぶそれを了承する。


藤岡「今から君に別室を用意する。

    そこで、ゲームクリアに励んでもらおう」


リナに向けて声をかける藤岡。


慎吾「別室に!?」


慎吾はやや焦った表情を浮かべて、声を出した。


(ヒロ「ミスターシンゴ・・・」)


リナの守護霊であるヒロ。これまで霊が見える慎吾を通じて、2人のピンチを救ってきたが・・・


後ろに立っていた覆面男2人が、リナの両腕を抱え、席から立たせる。

    

慎吾「リ・・・ リナ先輩・・・」


リナと離ればなれになるという事は・・・ 優秀なスパイであるヒロとも、離ればなれになるという事だ。


(ヒロ「ミスターシンゴ。落ち着け・・・。君なら・・・

     どんなピンチも切り抜けられる・・・」)


姿は見えねど、声だけは聞こえてくる。


(ヒロ「周りをよく見て・・・ うまく対応して欲しい」)


ヒロは慎吾の心配をしていた。これまで、あらゆるピンチの場面で慎吾とリナを助けてきたつもりだが・・・慎吾の元を離れなければならない。


慎吾「・・・ ・・・」


この時慎吾は・・・自分の事よりも、リナの事を心配していた。


(慎吾「僕がいなければ・・・ ヒロさんの声を・・・」)


まだ体に力は入らないリナは男らにされるがまま、席を立つ。この部屋に入った時にかぶらされた、脳波をはかる装置を頭から外されると・・・そのままどこかへ連れて行かれた。


(慎吾「ヒロさんの声を・・・ 届けられない・・・」)


その様子を見届ける藤岡。


慎吾「・・・ ・・・」


そして何も言えない慎吾。


藤岡「さて・・・」


リナが部屋を出て行ったのを確認すると


藤岡「ミスターボンド。君ほどの人材・・・

    なるべく、心も体も壊したくはない・・・」


不適な笑みを浮かべて、慎吾に視線を突き刺す。慎吾はゴクリと唾を飲み込んだ。


藤岡「君には聞きたい事がいくつかある。


    出来れば、拷問抜きでな・・・」


慎吾「・・・ ・・・」


ここで慎吾は、ようやく自分の危機を感じ取る。


何故ならここには・・・  ヒロがいないからだ。



・・・ ・・・。


~ 第95話「希望」より ~


12月20日(木)、19時32分。目黒基地内。


とある一室に監禁されたリナ。両大学のサーバに侵入を試みるが・・・どうやってもセキュリティを突破出来ない。


リナ「・・・ ・・・」


もはや万策尽きたと思われたその時、リナに一筋の光を照らすものがあった。


ド~ ミ~ ソ シ~ ドレド~ ♪


ザルツブルグ・モーツァルテウム大学のサイトから、懐かしい曲が鳴り響く。


(ヒロ「・・・ ・・・」)


リナの背後でそれを聴いていたヒロ。何かが頭をよぎった。


(ヒロ「・・・? ケッフェル.545・・・ 何かが・・・?」)


何かが、頭にひっかかる。


(リナ「・・・ ケッフェル.545 ・・・」)


父親の魁斗と、母親の瞳は・・・この曲をきっかけに付き合ったと聞いた。


(ヒロ「・・・ 待てよ・・・」)


弾き慣れたはずのモーツァルト。その楽譜を頭で思い浮かべ・・・


(ヒロ「そうか・・・ メールだ! あの暗号を解くキーだ!!」)


このモーツァルトの曲が、リナの母親に届いたメールの暗号を解く鍵だと確信した。


リナ「・・・ ・・・」


この曲を聴くと・・・ 嫌でもヒロと父親を思い出す。


(リナ「ヒロ先生・・・ パパ・・・


     私・・・ どうしたら・・・」)


このまま5時間が過ぎれば・・・ 母親と妹も失い、天涯孤独の身となる。絶望的な状況で、とうとう涙をこぼしてしまった。


(ヒロ「リナ!! リナ!! 頼む・・・ 少しでいいから・・・

     俺の声・・・届いてくれ!! リナ!!」)


リナ「 !? 」


突如、背後に気配を感じた。


(ヒロ「リナ・・・?」)


リナ「・・・ ・・・」


部屋の中には、もちろん誰もいない。背後にある扉をじっと見つめる。


(ヒロ「リナ!!」)


リナ「・・・ ・・・」


何かを感じるが・・・リナにはそれが何なのかわからない。


立ち上がり、扉の所へ近づくと・・・ 扉に耳を当てた。


リナ「・・・ ・・・」


扉の向こうに・・・ 何者かがいるような、いないような・・・そんな気配を感じる。


(ヒロ「リナ・・・ 俺はこっちだ!!」)


リナ「な・・・ 何・・・? だれか・・・ いるの・・・?」


胸騒ぎが起こり、徐々にそれが大きくなっていく。


リナ「・・・ ・・・」


扉の向こう・・・ 誰かがいると確信した。覆面男でもなければ、藤岡でもない・・・。


リナ「慎吾・・・?」


向こうを確認したいが、扉を開くことは出来ない。


(ヒロ「リナ!!! 頼む・・・ 気づいてくれ!!」)


リナ「・・・ ・・・」


再びパソコンのところへ戻り、ずっと表示されている慎吾を映し出すカメラ映像をチェックする。


リナ「・・・ ・・・」


ベッドの上に横たわる慎吾。そして、横にあるメディカルモニタでは・・・心電図に動きはない。


(リナ「何か・・・ 何かが・・・」)


リナの頭の中で、何かが交錯する。


(ヒロ「リナーーーーー!!!!」)


霊のヒロが、あらん限りの声を上げた。


リナ「 !? 」


再び背後から気配を感じ、後ろを振り返るが・・・ 扉が見えるだけで、何も代わり映えのしない室内のまま。


(ヒロ「K.545だ!!!」)


リナ「誰!?」


確かに聞こえた。扉の向こうに・・・ 誰かがいる。そう、リナは確信した。しかし厳重なロックがかかっている扉は、開ける事などできはしない。


リナ「・・・ ケッフェル.545・・・」


(ヒロ「そうだ!! それだ!!!」)


慎吾を介さず・・・ヒロの言葉が、初めてリナに通じた。


リナは両手で頭を抱えながら・・・パソコンから流れてくるモーツァルトの【ピアノソナタ第16番】(K.545)を集中して聴きいる。


(リナ「何・・・? この曲に・・・ 何かあるっていうの・・・?」)


(ヒロ「ある!!! そうだ!!」)


目を閉じ、妹が誘拐された日の事を思い出す。そして今に至るまでの事を振り返り始めた。


リナ「・・・ ・・・」


必死にあらゆる場面、あらゆる状況を思い出すリナ。


(リナ「・・・ あった・・・」)


そして、母親に届いたメールの事を思い出した。


リナ「・・・ ・・・」


ゆっくり目を開き・・・ 室内に設置されているカメラの位置を確認する。


リナ「・・・ ・・・」


カメラは2台。リナはテーブルの上にあった、鉛筆を握りしめ・・・カメラに見えないように、用紙に何かを書き始めた。


リナ「確か・・・」


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どんな数字も一度見たら忘れない・・・リナがかつて「数字依存症」と読んでいた特殊能力。実際はヒロと共に、湾岸警察署の7階から落ちた時に頭を強打し、それがサヴァン症候群となって得た能力だ。


リナ「まさか・・・」


そしてリナは・・・暗号を解き、父親が生きているという事実を知るに至った。



・・・ ・・・。


~ 第105話「神に選ばれし者」より ~


12月21日(金)、午後2時47分。墨田区某所。


スカイツリー近くのとある建物の中。【Unknown】のTOPであるグランドマスターが現れた。出迎えたのは藤岡。



部屋に入ったグランドマスター。窓際のベッドで横たわる女性を見つけた。


老人「・・・ ・・・」


ベッドの所へ歩くことはせず・・・部屋の入り口付近で、じっとベッドの方向を見つめ続けた。


(老人「女・・・?」)


モーツァルトの霊が乗りうつっていると聞いていたが・・・グランドマスターは、リゼットの背後に立つ女性の霊を見た。短めの髪を後ろで縛り、赤いドレスを着けている。そしてその目は・・・青みがかかっていた。


老人「・・・ ・・・」


藤岡「彼女がリゼット・トウシェク。

    今月初め、モーツァルトの霊が乗り移ったと言われる女性です」


老人の後方で、藤岡は説明する。ベッドの方へ案内しようとするが、老人は立ち止まったままだ。


(老人「なるほど。あのモーツァルトの・・・姉というわけか・・・

     彼女もまた、弟に負けず神に選ばれし天才・・・」)


女性の霊・・・モーツァルトの霊を睨み付けたグランドマスター。


藤岡「どうしました? 確認するのでは?」


老人は首を縦に振った。


老人「もう確認したよ。なるほど、実に興味深い・・・」


藤岡「 ? モーツァルトが見えたという事ですか?」


今度は首を横に振る。


老人「いや・・・。 神の子を見ただけだ・・・」


藤岡「 ? 」



・・・ ・・・。


~ 第111話「霊能力」より ~


12月21日(金)、19時4分。東京農工大、地下施設。


魁斗が藤岡の手から助け出した次女・雛子が勝手に大学の地下施設から抜け出した。このままでは、再び【Unknown】に捕まってしまう可能性がある。


慎吾「ぼ、僕が・・・ 僕が雛子さんを連れてきます!」


突如親子の会話に加わった慎吾に、リナは怪訝な表情を浮かべた。


リナ「慎吾・・・?」


リナは父親の苦悩を理解していないようだ。


慎吾「リナ先輩のお父さんは、ここに残って・・・ 

    【Unknown】のテロ計画を阻止しなければなりません。


    僕はここにいても、役に立たないですから・・・

    僕が雛子さんを連れて戻ります!!」


すぐに部屋を出て行こうとした慎吾。その肩を・・・


魁斗「ま、待て・・・」


魁斗が捕まえる。


慎吾「止められても・・・ 僕は行きます・・・」


魁斗「相手は【Unknown】。目的の為なら、人も平気で殺す。

    君だけでは危険だ。私も・・・」


慎吾は即座に首を横に振った。


慎吾「リナ先輩のお父さんがここを離れたら・・・

    テロ計画が実行され、人類のほとんどが死にます・・・


    大丈夫! 僕、こう見えても・・・

    スパイ並の能力がありますから」


魁斗「しかし・・・」


男2人の会話を聞いて、父親の心情を察したリナ。


(リナ「そうか・・・ 雛を助けたいけど・・・ 

     世界人類の命運もかかっている・・・」)


リナもまた、しばらく迷った表情を見せた。


(リナ「かといって、【Unknown】相手に・・・

     慎吾だけで行かせるのも・・・」)


今の状況を冷静に考える。


(リナ「あいつらだって、警察無線を傍受している可能性は高い・・・

     このままだと・・・雛は危険。


     でもパパが【那由他】の前を離れたら・・・

     人類全体が危険・・・」)


人の命を天秤にかけるような状況に・・・羽鳥親子は陥っていた。


(リナ「いや・・・ 道はある・・・」)


まだ言い合う男2人。リナは父親に向けて声をかけた。


リナ「パパ!! 私と慎吾で雛を助けに行く!

    パパはここに残って、安田さんを待って!」


(ヒロ「ダメだ!! リナはここを離れてはいけない!」)


慎吾「ダメです!」


間髪入れず、慎吾が大声を出した。


リナ「な・・・」


予想外の慎吾の反応に、リナはとまどう。


(ヒロ「万が一の場合、リナは・・・いや、俺は・・・

     ヤツらの計画を止めるため、ある行動を起こす」)


もし宇宙線が危険な状態で降り注ぐようならば・・・ヒロはある周波数の音を世界に発信する予定だった。


(ヒロ「それには、回線が必要不可欠なんだ。

     だから・・・リナはここを離れてはいけない!!」)


慎吾「リナ先輩も、ここに残ってください!

    僕、1人で行きます!!」


リナ「な・・・ 何言ってるのよ・・・

    1人じゃ危険よ・・・」


強気の発言をする慎吾に、リナの方が気圧けおされた。


(ヒロ「リナ! ここに残るんだ!」)


慎吾「リナ先輩は・・・ 残らなければいけないんです!」


ピアノを演奏できるリナは、ここに残り・・・万が一の時は、宇宙線を止める為にピアノを弾く必要がある。ただしそれを知っているのは・・・この場にいる者の中ではヒロだけだ。


リナ「・・・ ・・・」


首を横に振るリナ。


リナ「意味・・・わかんない・・・。

    ここはパパがいれば十分でしょ。


    私は行くわよ。妹が危険なんだもの・・・」


その事を理解しないリナは、妹を助けに行こうとする。


魁斗「ダメだ! お前達だけで・・・

    【Unknown】と遭遇するかもしれない・・・


    そんな場所へ行かせるわけにはいかない!!」


そして魁斗もまた、娘のために譲らない。


しばらく言い合う3人だったが・・・


(ヒロ「ミスターシンゴ! 1人では心もとないかもしれないが・・・

     君だけでリナの妹を連れ戻して欲しい」)


慎吾「・・・ ・・・」


(ヒロ「リナもミスターカイトも・・・ 

     【Unknown】の計画を止めるために、必要不可欠!


     ここに留まらせるんだ!」)


慎吾はポケットに入れていたパワーストーンを突如右手に握りしめた。


それを前に突き出すと・・・目を閉じ、深呼吸する。


リナ「・・・ 慎吾・・・?」


魁斗「・・・ ・・・」


羽鳥親子からしてみれば、慎吾の突然の行動はあまりにも不可解。


(慎吾「丹田たんでんに・・・を集中し・・・」)


※ 丹田 = ヘソの下あたり。気力が集まり、体全体に伝わる波動の流れが集中する場所とされる。


慎吾「唵!!」


突如目を開くと、ため込んだ氣をパワーストーンに流し込む。すると慎吾の両手から、2mもの長い光の剣が表れた。


慎吾「・・・ ・・・」


それを自分の目で確認する。


(慎吾「ひ・・・ 久しぶりだけど・・・ うまくいった・・・」)


剣の先を上に向け、周りにぶつからないよう軽く振り回す。


魁斗「な・・・」


突然目の前に表れた不思議な発光体。剣の形をしたその正体を、IQ180の脳は処理しかねる。


リナ「・・・ ・・・」


リナもまた、久しぶりに慎吾の霊能力を目の当たりにして・・・


(リナ「以前よりも・・・ 凄くなってない?」)


言葉が表に出てこない。無口になった親子に向かい、慎吾が口を開く。


慎吾「ぼ、僕は・・・ こういう力を持っているんです・・・」


(ヒロ「おぉ・・・ ミスターシンゴ・・・」)


リナの背後に立つヒロもまた・・・慎吾の能力に驚かされる。


魁斗「サ・・・ サイキックか・・・?」


※ サイキック = 超能力者


リナ「パパ・・・ 慎吾は【霊能力】ってのを持ってるのよ・・・」


魁斗「れ・・・ 霊能力・・・?」


しばらく慎吾はその光の剣を振り回し・・・ やがてパワーストーンの中へ、それは入り込むように消えていった。


慎吾「僕が・・・ リナ先輩の妹さんを探しに行きます」


魁斗「・・・ ・・・」


未だに魁斗の脳では、何が起こったのか・・・科学的な根拠を説明できないでいた。


慎吾「僕は・・・銃や刃物を持った連中も相手にした事があります。

    細心の注意をはらい・・・


    必ず僕が雛子さんを連れ戻します。

    だからお2人は、ここに残ってテロ計画を止めてください」


リナ「・・・ ・・・」


慎吾の必死さが伝わると同時に・・・ 


(リナ「慎吾なら・・・」)


と思い始める。さらに


(リナ「私は・・・ ここに残らなければいけない・・・」)


(ヒロ「そうだ・・・」)


不思議と、今、ここに残らなければという気持ちが芽生えてきた。


(リナ「雛を助けたいのに・・・」)


慎吾「大丈夫! 僕なら必ず・・・ 妹さんを連れてきます!!」


そう言うと慎吾は、パワーストーン片手に部屋の出口に向かった。


リナ「・・・ ・・・」


慎吾を止める事は出来ず、かける言葉も出てこない。魁斗もまたそうだった。


部屋を出る際、チラリとリナの方を向く慎吾。


(慎吾「これで・・・ いいんですよね?」)


(ヒロ「あぁ、上出来だ。君なら1人でも・・・リナの妹を連れ戻せる。

     頼んだぞ!」)


リナの後ろに立っているであろうヒロに対し頷いた慎吾。そのまま部屋を出て行った。


リナも魁斗も、慎吾が出て行くのを無言で、ただ見つめるだけだった。


魁斗「・・・ ・・・」


倒れるように魁斗は椅子にこしかけた。


魁斗「リナ・・・ お前の彼氏は・・・」


放心状態のまま、リナに声をかける。


リナ「慎吾は・・・ 彼氏じゃないってば・・・」


リナもまた、慎吾の強気な態度がひっかかり、元気なく応える。


魁斗「あぁ・・・ そうだったな・・・

    それにしても・・・すごいな・・・ お前の彼氏は・・・ 」


リナ「・・・ ・・・」


魁斗「彼なら・・・ 雛子をきっと・・・」


リナ「えぇ・・・」





           (第136話へ続く)

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次回 「 第136話  回 想(8) 」


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