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アマデウスの謎  作者: 伊吹 由
第4章 世界の命運をかけて
127/147

第126話  反撃開始

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2


       「アマデウスの謎」 


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前回までのあらすじ


2008年。

リナ、そして父親の魁斗かいとが、謎の組織に狙われた。


イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。


2012年、女子大生となったリナ。誘拐された妹を追って、1つ下の後輩・慎吾と共に実家へ戻る。誘拐犯が警視庁捜査官の藤岡だと突きとめるも、彼等のアジトで捕まってしまった。


しかし殺されたはずの魁斗が現れ、皆を救出。


藤岡の属する秘密組織【Unknown】。彼等は、宇宙から降り注ぐ宇宙線に、特定の周波数をあて・・・地球上の人間のほとんどを抹殺する、恐ろしい計画を遂行しようとしていた。


リナとリゼットはモーツァルトの楽曲をピアノで演奏する事で、特定の周波数を遮断しようとしたが・・・ グランドマスターと宇宙服姿の藤岡が現れ、慎吾達は宇宙線を浴びてしまう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第126話  反撃開始


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2012年12月22日(土)、午前0時16分。

東京タワー東側、とある建物の地下150m。

(慎吾達が宇宙線を浴びて・・・ 8分)



ビャリラリラーン!!


勢いよくリナが鍵盤を叩くと・・・激しい音が部屋中に鳴り響いた。


ダリラリビャリラリダリラリダララーーン!!!


さらに高速で鍵盤を叩き続ける。


老人「ぐ・・・ っく・・・」


グランドマスターは、何かの衝撃に耐えているように足を踏ん張る。


リナ「・・・ ・・・」


赤い眼鏡の奥・・・白目をむいたままリナは、さらに加速度を増して鍵盤を叩き続けた。


老人「ぬ・・・ うぅ・・・ っく・・・」


少しずつ・・・グランドマスターは後ろへ退しりぞいていく。


慎吾「・・・ ・・・」


その様子を見ていた慎吾。リナの弾くグランドピアノから、青白く光る波のような物が立て続けにグランドマスターを襲っているのがわかる。そしてそれは、リナの後ろにいた魁斗、少し離れた位置にいる雛子や安田にもハッキリ見えた。


魁斗「音の・・・ 衝撃波・・・?」


雛子「音・・・? 光ってる・・・?」


慎吾「光の音だ・・・」


青白く光る波は、グランドマスターを包み込む球体を攻撃し続け・・・


老人「ぐぁ!!」


やがてその1つが球体を突き破り、グランドマスターは・・・5m程吹き飛ばされた。


ティロティロリン・・・


一転してリナは、軽やかな音の演奏を始める。


魁斗「・・・ ・・・」


リナのすぐ後ろにいる魁斗。娘の突然の行動を理解出来ないが・・・状況を見る限りグランドマスターに【音】で攻撃を与えたようだ。


安田「・・・ ・・・」


安田は時折、ドア付近で姿を見せる藤岡を相手に応戦しているが・・・やはりグランドマスターや慎吾、リナ達の方が気になる。


藤岡「・・・ ・・・」


一方藤岡も・・・廊下側から魁斗達を銃で狙いつつ・・・慎吾とグランドマスターのやりとりを見ていた。


(藤岡「あの連中は・・・ 本当に超能力があるのか・・・」)


今まで半信半疑だったグランドマスターの力。今更ながら、信じないわけにはいかない光景だった。



ティロティロティロ・・・ピリャリン・・・ピリャリン・・・


慎吾「・・・ ハァ・・・ ハァ・・・」


今、リナの弾いているピアノ。


(慎吾「リズム・・・? なんだか・・・」)


その音は、慎吾の心臓の乱れていた動悸を正常に戻していく。


そして・・・


(慎吾「なんだか・・・ 体が軽くなってきたような・・・」)


リナの奏でる音は、即効性のヒーリング効果も与えていた。


慎吾「・・・ ・・・」


ゆっくりと慎吾は立つ。


慎吾「スゥー・・・」


深呼吸をすると・・・


慎吾「唵!!」


パワーストーンにを送り込んだ。再び光の剣が表れる。


慎吾「・・・ ・・・」


そして、壁際で態勢を整えているグランドマスターを見た。


老人「・・・ ・・・」


リナの方を睨み付けるグランドマスター。


老人「ふ・・・ 【アロンのメシア】・・・ そして・・・」


その視線は慎吾の方を向く。


老人「【イスラエルのメシア】。2人揃ったというわけか・・・」


左手で杖をくるりと持ちかえると・・・円月刀が表れた。


慎吾「・・・ ・・・」


心なしか、さっきのそれよりも大きく見える。


老人「光と闇の戦い・・・ ここで決着だ・・・」


ダリラリラァラアーーーン!!!


グランドマスターの歩みと共に、リナがピアノを弾いて【攻撃の音】を奏でた。


老人「奔!!」


正面から来る衝撃波の1つ1つを、円月刀の刃先を飛ばしながら打ち落とす。そして・・・


慎吾「唵!!」


老人「ふん!!」


横から来る慎吾の攻撃を、円月刀で直接受け止めた。


デロデロデラリラィラリルラ!!!


リナの【音】の攻撃に対し、グランドマスターは光の壁を出現させてバリアを張る。


ダリラリビャリラリダリラリダララーーン!!!


リナはさらに強い【攻撃的な音】を奏でた。


ピキピキピキ・・・


グランドマスターのバリアにヒビが入ると同時に・・・


慎吾「せい!!」


慎吾は光の剣を横から水平に切りつける。


老人「おっと・・・」


それを円月刀でいなし・・・


老人「ふん!!」


正面から慎吾に突き刺そうとする。


慎吾「っく・・・」


間一髪背後にジャンプし、それをかわした・・・その瞬間。


老人「奔!!」


円月刀を慎吾の方へ振り抜き、刃先だけを飛ばす。さらに


ダリラリビャリラリダリラリダララーーン!!!


バリアを破ってきた【音】を、杖で全ていなし・・・


老人「スゥ・・・」


深く息を吸った後


老人「力の差を思い知れぃ!!」


杖を思い切り振り切ると、大きな円月刀の刃先がリナを襲った。


ダリラリラァラアーーーン!!!


リナは高速で鍵盤を叩くが・・・ それを突き破って刃先は襲ってくる。


そして・・・


勢いは弱まったものの、その刃先はグランドピアノごとリナを切り刻んだ。


魁斗「ぐっ!!」


リナの後ろにいた魁斗は、物理的な衝撃を受け、思わず尻餅をつく。


リナ「・・・ ・・・」


グランドマスターの攻撃を受けたものの、直前の音のバリアのおかげで、体の数ヶ所に切り傷をおっただけで済んだ。


リナ「・・・ ・・・」


リナの白目はジロリとグランドマスターを睨み付ける。


老人「スゥゥゥーー・・・」


さらに深い深呼吸をしたグランドマスター。


老人「奔!!!」


かけ声と共に・・・ 杖の先から3mもあろうかという円月刀が出てきた。


老人「この大きさでは・・・防ぎきれまい・・・」


慎吾「・・・ ・・・」


その円月刀を見て唖然とする慎吾。


(慎吾「霊能力は・・・ 自らの命を削るはずなのに・・・」)


あれほど大きな武器を具現化すれば・・・霊能力の消費も大きいはず。


(慎吾「彼の・・・ 霊能力は無尽蔵なんだろうか・・・?」)


老人「奔!!」


円月刀を、リナに向けて振り抜いた。その刃先は勢いよく飛び出し・・・リナを襲う。


ダリラリラァラアーーーン!!!


音で防ごうとするが、刃先はそれらを蹴散らしリナに向かって行った。


慎吾「唵!!!」


横から現れた慎吾が、光の剣をバットのようにしてその刃先を打ち返そうとするが・・・


慎吾「ぐぐぐ・・・」


グランドマスターの攻撃の方が上で、徐々に差し込まれていく。


(慎吾「だ・・・ダメだ・・・」)


またしても心臓の動悸が不安定になり、力が抜けていく慎吾。


タリラリラララーーン!!  ダリラリラァラアーーーン!!!


それを救ったのがリナの【音】。慎吾を後押しするように援護し・・・グランドマスターの攻撃を横へいなした。


ドッカーーン!!


部屋の側壁は大きな衝撃を受け、壁がはがれ落ちる。


老人「くっくっく・・・。よく防いだ。だが・・・」


左手の杖をくるりと回すと・・・


老人「奔!!!」


今度は先ほどよりも大きい、5mはあろうかという円月刀が表れる。


老人「これは2人がかりでも・・・防げまい・・・」


慎吾「な・・・・」


グランドマスターの霊能力の底が全く見えない。


老人「胸が苦しそうだな。宇宙線の症状もあと・・・15分で表れる」


慎吾「・・・ ・・・」


老人「お前達に勝ち目はない。宇宙線よりも早く・・・

    あの世に送ってやろう・・・」


慎吾「・・・ ・・・」


背後から聞こえる【声】に、慎吾は耳を傾けていた。


慎吾「わかりました・・・」


パワーストーンを前に出し、


慎吾「唵!!」


今ある霊能力の全てを注ぎ込む。若干大きめな光の剣が表れた。


老人「くっくっく。それが・・・限界のようだな・・・」


慎吾「これで・・・ 決着をつける・・・」


老人「面白い。負けを覚悟したか・・・」


慎吾「負けるのは・・・ あなただ・・・」


老人「ふ・・・。余の辞書に、【敗北】の2文字などない・・・」


ゆっくりと大きな円月刀を振りかぶると・・・


老人「奔!!!!」


慎吾、そしてその背後にいるリナに向けて振り降ろした。


5m近くある円月刀の刃先が・・・慎吾とリナを襲う。


慎吾「・・・ ・・・」


そして慎吾は・・・





           (第127話へ続く)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回予告


慎吾とリナによる、光の剣と光の音のコラボレーション攻撃が・・・グランドマスターに襲いかかる。


そして・・・


とうとう霊能バトルに決着の時が訪れた。


次回 「 第127話  決着の時 」

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