表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/63

聖女テイラーの登校


始業式当日。

学年が上がる者は、式が始まるよりも早めに登校することと、事前に知らせがあった。

テイラーはいつもより入念に、身だしなみを整える。

――どの攻略対象に告白されても、大丈夫なように。


鏡の前で、前髪を左に流したり、スカートのヨレがないか確認をしながらゲームのオープニングを思い出す。


「最初って、主人公が普通科と貴族科を繋ぐ中庭で、うたた寝をしちゃって、ノエルに起こされるところから始まるのよね。」


背中にゴミなどが着いてないか確認しつつ、ゲームのストーリーの順序を思い浮かべていく。


「ノエルに教室まで連れて行ってもらって、『君は普通科だろ?あとはこちらで案内するよ。』のセリフのあとに、どんな見た目の攻略対象に声をかけられた?って選択になるのよね……」


▶『太陽の光を反射するような銀の髪に、空よりも深い青色の瞳の青年【アーリヤルート】』

『水色の髪をなびかせて、蠱惑的な笑みを浮かべる青年【ノアルート】』

『落ち着いたワインレッドの髪色で、太陽のような笑顔の青年【カイルルート】』


「ゲームでも、転生しても、一周目は無難に王子だったから、次はノア……いや、カイルも捨て難い……でも、好感度を上手く調整できれば、ヘーレーも加わるのよねーっ!」


うきうきと今から出会える攻略対象たちに思いを馳せながら、時間を確認する。


「やばっ!もうこんな時間!?ノエルが中庭を通るのが、式が始まる前なのよね!急がなきゃ!!」


―――

少し駆け足で、中庭にたどり着く。

まだ生徒の数は多くなかった。

よいしょ、っとゲームのパッケージにも写っていた、桜によく似た木の下に腰を下ろす。


「(あとは目をつぶって、ノエルが来るのを待つだけ……)」


生徒が増えだしたのか、話し声が多くなる。


「私は職員室に寄るから、少し待ってなさい。」


「(お、一緒に教室行こうってことかな?やるなー!わたしも早く攻略対象たちとイチャイチャしたいなー!)」


そう思いつつ、目をつぶっているだけのつもりが、いつの間にか本気で寝ていたらしい。

鐘の音を聞いて飛び起きる。


「えっ!ウソ!?ノエルどころか、誰も起こしてくれなかったの!?」

やだ、最悪!とぼやきながら、教室に走るテイラー。

教室の扉をスパンと開き、クラスの空気を完全に無視して叫ぶ。


「ノエルが全然来ないから、攻略イベントが始まったのか全然わかんないじゃん!……(じゃなかった)ごほん、すみません!道に迷ってました!テイラーです!聖女してます!よろしくです!」


静まり返る教室。

クラス中の視線が、テイラーに向く。

思っていたことが、全部口から出ていたが、攻略対象たち以外興味ないからいいか。と、開き直るテイラー。

目当てのキャラたちを、目だけで探す。

視線より少し上のあたり、ゲームのテキストに書かれていた『銀色の髪』『水色の髪』『ワインレッドの髪』とついでに、ノエルだと思われるシルエットを見つける。


「(なんでノエルがここにいるのかは、わからないけど、とりあえず)ちゃんと攻略イベントが解放されてるわね!」


テイラーは、これから起こるであろう攻略イベントの数々に期待を膨らませる。

……見つけた『銀色の髪』『水色の髪』『ワインレッドの髪』がものすごい剣幕で、自身を睨みつけていることにも気付かずに。


―――


授業と授業の合間の時間。

攻略対象たちに話しかけに行こうにも、モブの生徒たちに足止めを食らう。

「テイラーさんってお呼びしていい?」

「浄化魔法が使えるって本当!?」

「学生寮から通ってるの?」


明るく返事をしていくが、意識は攻略対象たちに釘付けだった。

どのキャラを攻略するか、つい選り好みしてしまう。

それから気になったのは、黒髪の美少年。


『えっ!?あんなお人形さんみたいに綺麗なキャラいたっけ!?モブにしてもビジュ良すぎっ!!』

隠しキャラ?二週目限定キャラだったり?


……何よりもまず、イケメンたちに囲まれているノエルと知り合うことだ。

ノエルと友達になれば、必ず接点ができるはずと彼女をジッと見つめるテイラー。

ノエルと目が合ったと思った矢先に、黒髪の少年で視界が遮られてしまった。


『うわっ!後ろ姿も美形なのズルすぎる!今回、落とすのはあの子にしようかなーっ?』


そのまま見続けていると、アーリヤとノアがその背で、黒髪の美少年の姿を隠してしまった。


『うぅん、やっぱりノアも捨て難い……』


ばちりとカイルとも目が合う。


『えっ!?カイルから声掛けてくれたりする!?』


立ち上がろうと、身体が僅かに揺れる。

それに反応してカイルが視線を元に戻してしまった。


『攻略対象たちが、チラチラとわたしを見ている。――もしかして、既に逆ハーエンドのフラグが立ってるとか!?』

きゃー!どうしよう!わたしは、まだ誰の好感度上げるか決めてないのに!

いや、全員上げる気ではいるけれど!!

初手ってやっぱり大丈夫にしたいわ!


途中から会話が途切れ、不思議そうな顔をし出す他の生徒たち。

攻略キャラたちの険しい視線の意味など全く考えず、脳内で一人、騒ぐテイラーであった。



星、評価、レビュー、感想を教えもらえますと大変、喜びます!

励みにもなるので、どうかよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ