表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/63

聖女テイラーの今世


孤児院育ちであるテイラーには、幼い頃から二つの人生の記憶があった。

一つは悪役令嬢パトリシア・ブルックスに残酷な仕打ちを受け不登校になったが、

王子に説得され卒業パーティに出向き、顔を溶かされた記憶。

最終的にパトリシアは、被害にあった人々から嘆願書が寄せられ斬首刑に処された。

その場にテイラーもいた。

その後は王子と婚約し、王妃になった。

子宝にも恵まれて、天寿をまっとうした記憶。


二つ目は、現代と言われる異世界で暮らしていた記憶だ。

記憶の中の知識によるとこの世界は、

『浄化魔法を発現させた孤児院出身の少女が、魔力操作を習う一環で学園へと編入して、魅力的な男の子たちと恋愛フラグを乱立していき、結ばれる相手を一人選ぶ。』

みたいな、いわゆる乙女ゲームだった。

隠し要素で教師や『黒き瘴気』の原因である魔王、全員の好感度をある程度の高さで維持すると、逆ハーレムルートが解放されるなど、

あまりにもありきたりな設定が満載で、題名さえ覚えていない。


一回目でわたしと結ばれた王子や、いじめてきた悪役令嬢の名前が、

ゲームで攻略した王子の名前と、悪役令嬢の名前も一致していた。

ここがゲームの中の世界だと裏付けていた。


学期初め前日。

学園の寮から通う者は、既に自室を与えられ荷解きを済ませていた。

テイラーもその一人であった。

聖女という立場のおかげで一人部屋を与えられた彼女は、目をきらめかせ、拳を力強く上に掲げていた。


「明日は始業式。一回目の記憶もあるし、ゲームの内容や好感度上げの条件も思い出した。今回は顔を溶かされる前に、“被害者ですよっ”てアピールして、さっさとパトリシアを退場させちゃうぞ!」


そのままボフンとベッドに倒れ込む。


「目指せ!イケメンたちに愛されまくる逆ハーエンド!」


甘え上手な小悪魔系天才魔道士ノアや、頼りになるみんなの兄貴系騎士団団長候補のカイル。

ツンデレ隣国王子のヘーレーや、一回目の人生で優しく気遣ってくれた正統派王子のアーリヤ――

果ては、大人の色気たっぷりのペイジ先生や、孤高の一匹狼の激重感情持ち魔王イライジャまで!


「前回は、ゲームの中っていう記憶がなかったから王子しか落としてなかったんだよね。

次は騎士団候補のカイルいってみたいなあ!

あっ、小悪魔魔道士のノアも捨て難い……でも、また強くてニューゲームできるとも限らないから、やっぱり逆ハーレム狙いたいなあ!」


テイラーは期待に胸を膨らませ、どうやって攻略対象たちと親密になっていこうかと空想していた。

想像の中で、彼女はすでに攻略対象に蝶よ花よと甘やかされるお姫様であった。


「たしか、始業式の直後に王子アーリヤルート、魔道士ノアルート、団長候補カイルルートが解放されて、その時に一年生なはずの悪役令嬢パトリシアからの妨害が始まるのよね……卒業パーティの時に好感度が三分の二以上の攻略対象が二人だっけ?いれば逆ハールート突入……だったわよね?」


テイラーは、うつ伏せになり足をバタバタと動かす。

頭の中で大まかな流れを思い描き、攻略対象の好感度条件をシミュレートする。


「好感度って見えるのかな?……とりあえず、親友キャラ兼サポートキャラのノエルと知り合わなきゃ。」

「ノエルって、モブ女子より少しかわいいぐらいだったのよね……見分けつくかな?」

枕を抱えながら仰向きになる。

これからバラ色の学園生活が始まる。

そう信じてやまないテイラーであった。




“一回目の記憶がある”


――しかし、テイラーは気づいていなかった。

一回目を経験した魂と、二回目を経験する魂が違うことを。

彼女は一回目の記憶を“見ただけ”てあって、魂には、顔が爛れた痛みと恐怖は刻まれていなかった。


星、評価、レビュー、感想を教えもらえますと大変、喜びます!

励みにもなるので、どうかよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ