表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の約束  作者: あまねこ
第3章 試練の先に
9/16

3-1 新しい日々

紗月と大輝は「今を大切に生きる」という約束を胸に、新たな日々を過ごし始めた。


限られた時間を恐れるのではなく、その瞬間瞬間を楽しむこと。


それが二人の選んだ道だった。


翌日から、大輝は積極的に紗月を誘い、彼女が笑顔になれるような計画を立てた。


小さなカフェでの昼食、街の小さな美術館巡り、そして夜はいつもの公園で星空を眺める――そんな穏やかでささやかな時間が二人の心を満たしていった。


「こんなに毎日が楽しいなんて、思ってなかった。」


美術館の出口で、紗月はふとつぶやいた。


その声にはどこか安堵の色が混じっている。


「そりゃあ、俺が一緒にいるからだろ?」


大輝は冗談めかして笑い、紗月も「もう、大輝君は本当に調子がいいんだから」と笑い返した。


その表情は、どこか前よりも柔らかく、穏やかだった。


しかし、大輝は気づいていた。


紗月がふとした瞬間に見せる影のある顔。


その影が、彼女の体調や未来への不安から来るものであることを。


ある日、大輝は紗月を自分の家に招待することにした。


彼女の気持ちを少しでも楽にしてあげたいという思いからだった。


実家を出て一人暮らしをしている大輝の部屋は、広くはないが、彼なりに整えられていた。


「なんか、大輝君らしい部屋だね。」


紗月は部屋を見渡しながらそう言った。


その言葉に、大輝は「それ、褒めてる?」と少し照れ臭そうに笑った。


「うん、褒めてるよ。なんか安心する。」


紗月のその言葉に、大輝は心がじんわりと温かくなるのを感じた。


彼女が自分のそばでリラックスしているのを見て、少しでも力になれているのだと思えた。


「ここ、俺の秘密基地みたいなもんだからさ。辛くなったらいつでも来ていいんだぞ。」


「ふふっ、秘密基地かあ。じゃあ私もメンバーにしてもらおうかな。」


「もちろん大歓迎だよ。むしろ君専用にしてもいいくらいだ。」


紗月は大輝の言葉に、どこか照れたように笑った。


だがその笑顔の奥に、わずかに寂しさが滲んでいるのを大輝は見逃さなかった。


「……紗月、無理してないか?」


唐突にそう尋ねると、紗月は一瞬動きを止めた。


しかし、すぐに笑顔を作り直して首を振った。


「大丈夫だよ。本当に。むしろ、毎日がこんなに楽しいなんて、最近では考えられなかった。」


その言葉に嘘はないのだろう。


それでも、大輝はその裏にある彼女の不安や恐れを感じ取っていた。


夜、紗月を家まで送る帰り道、二人はいつものように星空を見上げた。


澄んだ空気の中で、無数の星が輝いている。


「星ってさ、不思議だよね。昔の人たちも、同じ空を見てたんだよね。」


紗月がぽつりとそう言うと、大輝は頷いた。


「そうだな。何百年も前の人たちも、こうやって星を見て、いろんなことを考えてたんだろうな。」


「私も、ずっと星を見ていたいな……」


紗月の声は小さく、そしてどこか切なかった。


その言葉の意味を深く考えたくない気持ちと、真っ直ぐに向き合わなければならないという思いが、大輝の胸の中でせめぎ合った。


「大丈夫だよ、紗月。これからもずっと一緒に星を見よう。」


大輝の言葉に、紗月は静かに頷いた。


しかし、その瞳には、一瞬だけ涙のような輝きが見えた。

読んでいただきありがとうございます!

もし楽しんでいただけましたら、ぜひ星5つでレビューをいただけると嬉しいです。

感想が次の創作の大きな励みになります!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ