2-2 紗月の決意
大輝と紗月の間で紡がれた、星空の下の告白。
それは二人を強く結びつけたようでありながら、どこか脆さも孕んでいた。
翌日から、大輝は彼女との時間をさらに大切にしようと努めた。
紗月の病について具体的に尋ねたい気持ちもあったが、それを言葉にすることがどれほど彼女を傷つけるか分からず、あえて触れないようにしていた。
「今日はどこに行く?」
「星が見えない昼間だって、いろんな場所を一緒に楽しめるんだよ。」
紗月と過ごす時間は、一分一秒が特別だった。
大輝は彼女の笑顔を見たい一心で、いろいろな場所へ連れ出し、時には講義をさぼってまで二人で過ごした。
それでも、彼女の笑顔の裏にある隠しきれない影が、時折彼の胸を締め付けた。
一方で紗月の中では、ある思いが日に日に強くなっていった。
それは、大輝と過ごせば過ごすほど、彼を巻き込みたくないという葛藤だった。
ある夜、二人はカフェで向かい合っていた。
カップの中のコーヒーが冷めていくのも気にせず、紗月はぼんやりと窓の外を見つめている。
「紗月、最近元気がないように見えるけど……大丈夫?」
大輝が心配そうに声をかけると、紗月は少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。
「大丈夫だよ。ただ、ちょっと考え事をしてただけ。」
「何か俺にできることがあるなら、何でも言ってほしい。俺、紗月のためなら……」
その言葉に、紗月は大きく首を横に振った。
そして、どこか悲しげな表情で大輝を見つめる。
「ありがとう。でもね、大輝君。私は、君にこんなことをさせる権利なんてないんだよ。」
「そんなことない!紗月が何を抱えていようと、俺は君と一緒にいたいんだ。それは俺の気持ちなんだよ。」
紗月はその言葉に何も言い返せなかった。
ただ、カフェの窓越しに見える星空をじっと見つめていた。
大輝には見せないように、彼女の手は震えていた。
その日の帰り道、紗月は大輝の家までの道を一緒に歩いた。
夜風が冷たく、紗月は少し体を縮こませながら大輝の横を歩いていた。
家の前に着くと、紗月は立ち止まり、意を決したように大輝に向き直った。
「ねえ、大輝君。私、あなたのことが本当に好き。でも……」
「でも、何?」
大輝は彼女の瞳をじっと見つめた。
紗月はその視線に一瞬たじろいだが、震える声で続けた。
「でも、私と一緒にいるのはやめたほうがいいと思うの。」
「どうしてそんなことを言うんだ?」
「私の時間は限られてる。それを知っているのに、君を巻き込むのは正しいことじゃない。君には、もっと未来があるから……」
紗月の言葉は、涙に滲んで途切れ途切れになった。
大輝はその場で彼女の手を握りしめた。
「紗月、それは君が決めることじゃない。俺が決めるんだ。未来がどうなるかなんて、誰にも分からないだろ?」
彼の言葉に、紗月は返事をすることができなかった。
彼の強い手の温もりが伝わってきて、それ以上自分の意思を押し通すことができなかったのだ。
しかし、彼女の胸の奥には、まだ決して譲れない「ある決意」が残っていた。
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