1-2 流星群の約束
翌週の夜、大輝は少し緊張しながら指定された場所へ向かっていた。
待ち合わせは大学の裏手にある広い草原。
紗月と約束した「流星群を一緒に見る夜」がとうとうやってきたのだ。
普段はあまり人がいない場所だが、今夜は流星群が見られるという噂を聞きつけた人々がちらほら集まっていた。
その中で紗月の姿を探していると、彼女が大輝に気づき、手を振りながら駆け寄ってきた。
「来てくれてありがとう!ほら、あそこにいい場所を見つけたんだ。」
紗月は笑顔で大輝の腕を引っ張り、人混みを避けた少し高台になった場所へと案内した。
そこからは街の明かりがほとんど見えず、空を覆う無数の星々がはっきりと輝いている。
「すごい……こんなに星が綺麗に見えるなんて。」
大輝が感嘆の声を漏らすと、紗月は満足げに頷いた。
「でしょ?ここ、私のお気に入りの場所なの。大輝君にも教えたくて。」
「こんな素敵な場所、知らなかったよ。教えてくれてありがとう。」
二人は敷物を広げて並んで座り、夜空を見上げた。
時折、流れる星が光の軌跡を描くたびに、紗月は子どものように声をあげて喜んだ。
そんな彼女を横目に見ながら、大輝は心の中で不思議な感情を抱いていた。
「星って、遠いのに、こうやって私たちに光を届けてくれるんだよね。」
ふと紗月がつぶやいた。
その声にはどこか切なさが滲んでいた。
「何かあったの?」
大輝が尋ねると、紗月は少し驚いたように彼を見たが、すぐに笑って首を振った。
「ううん、大したことじゃない。ただ、星を見るとね、いろんなことを考えちゃうの。自分のこととか、これからのこととか。」
「これからのこと……?」
その言葉の意味を尋ねたかったが、紗月は言葉を濁して流してしまった。
それ以上踏み込むのは良くない気がして、大輝もそれ以上は聞かなかった。
流星が空を切り裂くたびに、二人はそれぞれの願いを心の中で祈った。
「大輝君は、何か願い事をした?」
紗月がそう尋ねると、大輝は少し照れくさそうに笑った。
「願い事っていうか……この夜がずっと続けばいいなって思った。」
その言葉に紗月は一瞬驚いたようだったが、すぐに優しく微笑んだ。
「そうだね、私も同じ。」
その一言が、大輝の心を不思議なほど暖かくした。
二人の間に流れる時間は特別なものに思えた。
そして、大輝は気づいた。
この気持ちは、ただの友情ではない――。
星空の下で語り合った夜は、やがて静かに終わりを迎えた。
紗月が手を振りながら帰っていく姿を見送りながら、大輝は心に決めた。
「もっと彼女のことを知りたい。」
それが恋だと気づいたのは、ずっと後のことだった。
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