4-2 受け継がれる想い
紗月が旅立った日々から、季節がゆっくりと移ろいでいった。
秋が終わり、冬が訪れ、街は白い雪に包まれていた。
大輝は紗月のいない生活に慣れることができず、それでも少しずつ日常を取り戻そうと努力していた。
大学のキャンパスでの生活も、どこか空虚に感じていた。
いつも隣にいた紗月の声や笑顔がない講義の時間は、ただ時間が過ぎるだけのように思えた。
それでも、大輝は彼女との約束を守るため、前を向いて進むことを決意していた。
ある日、大輝は紗月の母親から一通の手紙を受け取った。
それは、紗月が亡くなる前に書き残していたものだった。
「大輝君が落ち着いたら渡してほしいと、紗月が言っていたの。」
紗月の母親は優しく微笑みながら手紙を手渡した。
その場で読むことをためらいながらも、大輝は静かな場所を求め、紗月との思い出の公園へ向かった。
ベンチに腰掛け、そっと封を開ける。
紗月の優しい筆跡で綴られた文字が、彼の目に飛び込んできた。
「大輝君へ」
大輝君、これを読んでいる頃には、私はもうこの世界にはいないのかな。
それを考えると少し寂しいけど、最後にこうして大輝君に気持ちを伝えられることが嬉しい。
私はね、大輝君と出会えて本当に良かった。
星が好きだった私だけど、君と一緒に星を見たあの日から、星空がもっと特別なものになったんだ。
病気になって、最初は未来なんて考えられなくて、ただ怖くて仕方なかった。
でも、大輝君がそばにいてくれたことで、限られた時間の中でも幸せを感じることができた。
ありがとう。
心からそう思ってる。
でもね、大輝君。
私がいなくなっても、君には笑顔でいてほしい。
私が好きだった君の笑顔、きっとたくさんの人を幸せにするはずだから。
どうか、私のことを悲しい思い出にしないで。
夜空を見上げるたびに、私が君を見守っているって思ってほしい。
そして、君は君らしく、輝く未来を歩んでほしい。
君と過ごした日々は、私にとって宝物だよ。
ありがとう、大輝君。
そして……さようなら。
紗月より
手紙を読み終えた大輝は、涙が止まらなかった。
紗月の言葉は、悲しみ以上に大きな温かさを彼に与えていた。
彼女の想いが、大輝を支え続けていることを感じた。
夜空を見上げると、あの日のように星が瞬いている。
紗月の手紙を胸に抱えながら、大輝は誓った。
「紗月、君が教えてくれたこの星空の下で、俺は必ず前に進むよ。君が笑って見守れるような俺でいるから。」
星々は静かに瞬き、その輝きが紗月の返事のように感じられた。
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