地獄?の始まり
...おつかい頼まれ2時間、まだ目的地につかないんだけど...
足は棒のようになり、今にも倒れそうなくらいフラついている。
...水がない...今は大丈夫だけど、もう少ししたら喉が渇ききって死んじゃう...
と言うか今どこ...?知りたい...
「...富士見...!?」
富士見ってクソ長野のいらない山梨であるべき領土じゃん...ママ、もう許さないぞ...
...って、大きな声を出したら口の中が砂漠のようになってしまった...喉が渇くの早い...と言うかなんか吐き...
「うぷっ」
...ああ、もうおしまいだ...
こんな中、虹を出しちゃったら死んじゃう...
...意識が朦朧となっていく...
そんな私が最後に考えたこと、それは...
「自販機置けよ、クソ長野...」
目が覚めた先は、病院だった。
あれから何時間が経ったんだろうか...窓の外は暗くなっている...
...と言うかなんだこれ、マスク?
取ろうかな...
『取るな』
「へっ?」
ちょっと待って、今知らない人の声がしたよね...
何しようとしてんの...ナンパ?...あり...えないか。虹出したやつを拾う奴なんていないよな...
そこに看護師が来た。
「目を開けましたか。あなた、お名前は?」
「...渡辺愛です」
「年齢は?」
「12歳です...」
「OKです。」
なんかチェックされた。なんでって思ったんだけど、そうだ。私意識失ってたんだ。
「ちょっとおでこ触りますね〜」
...ちょっと隣に知らない男性がいるのでやめて欲しいんですが...
そう言おうと思ったけど、言う勇気がなかった。
「OKです。帰ってもいいですよ。ですが今日のうちは家で休ませてあげてください」
『わかりました』
...え?何?知らない人の家に連れてかれるの?嫌だよ?
『行くぞ』
え?ちょ...
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「あの...一つ質問いい?」
『なんだ?』
「あんた誰?」
『ああすまん、自己紹介を忘れていた。俺の名前は3号』
「だっさ」
『そんなこと言うな。ダサいのは認めてるけどな』
「認めてるんかい」
...ガチでなんなのこいつ。
『まあ話を戻すぞ。一応俺は悪魔をやっている』
「悪魔!!?」
『静かに。今深夜1時だぞ』
...こいつ悪魔なの?厨二病?
「ここってどこなの?」
『君の嫌いなクソ長野にある富士見』
「!!!」
...なぜそれを...?
『ずっと君を監視してたからね、よくクソ長野って言葉が聞こえていたんだ』
「このロリコンめ」
『断じて違う』
いやずっと監視してるならロリコンだろ...変態ってことを隠してるんだろ?
『話を戻すぞ。俺はお前が言ってたクソ長野って言葉が嫌いだったんだ』
「スンマセン」
『今更謝っても遅い。もう呪いはかけてあるからな』
「???」
呪い??? この世にそんなものがあっていいのか...?
「呪いの内容って...?」
『6年間長野県から出れなくなる呪い』
「は?」
思わず声が出てしまった。なんでクソ長野に閉じ込められなきゃならんの?このクソ悪魔が...
『ここにずっといるのもなんだし、お前の家を紹介するぞ』
「は?」
...急展開すぎて追いつけん。どう言うこと?
まあ一旦まとめよう。
熱中症で倒れる→病院に運ばれるがそのまま退院→ロリコン悪魔にクソ長野から出れない呪いをかけられる→新しい家を紹介すると言われる(今ここ)
...いやまとめてもよくわからんわ、何が起きてんの?
『着いたぞ』
そんなことを考えていたら、家の玄関の前にいた。
「どこだよここ...」
『まあまあ、中に入ろうぜ』
...積極的なロリコン悪魔だなぁ...
...うーわ、めっちゃ綺麗。築何年だよこれ。
『築13年だぞ』
「心読む能力でもある?」
『悪魔だったら誰でも持ってる』
逆らわないほうがいいな、こりゃ
『逆らっても大丈夫よ、自分が悪魔じゃなくなるだけだから』
「どういうこと?」
『まあまた今度言うさ。とりあえず今は家の紹介だ。』
ああそっか、新しい家にいるんだったね私。
『今いるのは松本市水汲。駅からは徒歩2分だぞ』
すっげえ難読地名だな...
『やっぱムカついたか?』
「涼しい...なんで?」
『長野の地形がやっぱ関係してくるな』
...地形?
『ほら、山梨の山は甲府とかの盆地を囲む感じで山とか田舎があるから暑い空気が逃げにくいけどな、長野は盆地とかデカい街が縦にあってその横に山があるから通気性が良くなって涼しくなるんだよ』
「...」
『簡単に言うと山梨は暑い空気が逃げなくて長野は逃げやすいってこと』
なるほど。長野って地形的に結構涼しいのか。富士見はあれだったが...
「ちょっと松本まで...」
『田舎で深夜1時にバスが走ってるところなんてあると思うか?』
え?今深夜1時なの?そりゃあ走ってないか...
『まあでも家具買うことになるから松本には行くぞ。まだソファーも何にもないけどな...』
「おい」
どうやって寝ろと?床で?いやでもいっつもマットレスコンクリと同じくらい硬いから別にいいか...
...もしかして、いやもしかしなくても。私の親って毒親っていうやつ?
今日の件もあるし、お出かけはいつも行かずに勉強ばっかだし、学校行かせてもらえないし、誕生日プレゼントは毎回私の嫌いなゴーヤ5本だし、私が行ったことある市町村なんて北斗と富士見と韮崎だけだし...逆になんで気づかなかったんだよ...
『家は今のうちに見ておけ。俺は先に寝る』
「いやお前も住むんかい」
いやまあ1人じゃダメだよな。1人の子供なんて危なっかしいだろうからねぇ...
...それにしても疲れた。あんまり人と話さないのが悪いわ、これ。陰キャだからな...なんとかなるもんなの?
今度からはちゃんと人と話そう...おやすみ...
プチ知識:家は長野県松本市水汲196−1のナチュール水汲Bだよ!