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【第二章スタート】アンタッチャブルな彼女  作者: ゆま
第一章 最後の夏休み
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06別荘のバーベキュー

 そこは思った以上に大きな建物と庭を持ったペンションができそうなくらいの別荘だった。

 リビングルームから続いているウッドデッキに大きな日よけが張られている。

 その下でコック姿の桜田母が出迎えてくれた。

 ほかにか家族はいないのか……

 

 「ようこそお越しくださいました」

 「立派なお宅ですね~びっくりです。あの、これよかったら地の食材です。」

 母はかき集めてきた食材を渡す。

 「鹿肉が無かったのでほかのジビエ肉ですが……鳥と鹿かけ合わせて牛になった肉です、オホホ……」

 え、え、母よまさか法律をおかしたのか?この物語が公開できなくなるぞ!

 「あと山女と……」

 「あらいいですね、山女!今日のお魚はそれにしましょう」

 見るとバーベキューセットをはるかに凌駕した据え付けの立派な鉄板とテーブル、その前にちゃんとした椅子が三つ並んでいた。

 「そちらにおかけになって」

 これはネットで見たことがあるぞ、薄暗い店内でシェフと客が鉄板を挟んで対峙し、丁々発止と会話と料理を楽しむ大人の空間、鉄板焼きコースだ!

 

「今日のお品書きです。一部変更があります」

「え~かわいい~」

 いつの間にか桜田娘はメイドのような恰好をしている。

 妹は大喜び。俺も思わずガン見してしまった。

 「こちらがお飲み物のメニューです」

 英語のメニューの下に小さく日本語が書いてあるからなんとなくはわかる。

 「え~いいのかしら~ビールとかワインとかカクテルまで、お母様が作られるの?」

 「はい母の趣味ですから」

 「え~スゴ~い」

 「未成年の方にはノンアルコールドリンクもご用意しております」

 なんか急に子ども扱いされた気分だ。

 「このシャンパンもノンアルコールですか?」

 「はい」

 妹よジュースにしておけ。

 「ビールお願いしてもいいかしら~」

 「はい」

 「帰りは夏輝、運転お願いね」

 「ほどほどにしとけよ。俺はノンアルのビールで」

 「夏輝さん、いいチョイスです!母のスペシャル、コクウマノンアルビールですね」

 まさかビールの醸造までやっているのか?

 

 奥に引っ込んでいた桜田母が食材を持ってやって来た。

 「お持たせしました。さー焼きますね」

 エビやイカ、ホタテなどのシーフードを手際よく炒めると皆にふるまう。

 桜田娘も飲み物を持って戻ってきた。

 「それではいただきまーす」

 「おいしいこのエビ、プリップリ!」

 「味付けもいいわね~」

 「なるべく塩を薄くしてスパイス、ハーブで素材の味に一味加えています。」

 

 「そうだ夏樹さん、そのノンアルコール一口飲んでこれを足して飲んでみてください、母が作った隠し味です」

 そう言うと桜田娘は俺のそばにやってきた。

 「まず一口飲んで……そしてこれを足して飲んでみてください」

 言われるがままに……味なんて分かんないけど。

 「違うでしょ?なんか味の深みが増したというか、ビールの味に限りなく近づいた芳醇なコク」

 「え、ビール飲んでるの?」

 やばい声に出てしまった。

 「あ、いえ、これは母の感想で……」

 赤くなってうつむいた顔が意外とかわいい。

 「オニー……お兄様はまだビールの味は知りませんものね」

 「じゃああたしもお試し」

 母はこういう時はぐいぐい来る。

 「某N〇Kでやってたんですけどね、そこからどこのメーカーがいいか探し出すのが大変だったけど。きな子、こっちはもういいから椅子をそちらに持って行きなさい」

 「はーい。お邪魔します、夏樹さん」

 遠慮なく俺の隣に椅子を持ってきて腰掛ける。

 近い、近いぞ。料理ではないいい香りがするー。


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