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【第二章スタート】アンタッチャブルな彼女  作者: ゆま
第一章 最後の夏休み
5/19

05いざ別荘へ

 その日はすぐにやった来た。

 前日から妹は何を着て行こうか大騒ぎし、母は食材集めに奔走した。

 「心芽~そのかっこじゃ汚れたら大変よ」

 母の心配をよそに妹は精一杯着飾っている。

 そう遅くなったが俺の妹、心芽と書いてココロメと読む、中三である。

 「だって別荘にお呼ばれしてるのに野良着のような恰好して行けないじゃんね~」

 「オニーももっと白馬の王子様のようなカッコしていかないときな子ちゃん振り向いてくれないよ~」

 「いや別にいいから。着替えに学校のジャージ持ってけよ~」

 「あれだけはイヤ!」


 ◇


 「じゃあな」ちょっと寂しそうなおやじを置いて母の車に乗りこむ。


 ~~~~ 松任谷由実:サーフ天国、スキー天国 ~~~~

 

 母の車もおやじと同じ時代の曲ばかりが流れる。

 人間新しいものを求めなくなったらおしまいだぞ。

 と思うのだが妹はすんなり受け入れている。

 赤ん坊の時から聞かされているのは俺も同じなのだが。


 「今日は暑くないからエアコン切りましょう」

 開けられた窓から高原らしい風が吹き込んでくる。

 俺はこの香りが好きだ。きっと何かの木が出している香だろう。

 

 やがてこのあいだ事故りそうになったわき道に入ると昼でも木々で薄暗い。

 森の冷気が支配している。それが車内に流れ込んできた。

 ぽつぽつと別荘があるが人気は無い。

 

 「このあたりだと思うんだけど……」

 適当に曲がる母、相変わらず適当、勘を頼りに生きている人種だ。

 と、視界が開けて前方に建物が見えてきた。

 

 白いノースリーブのドレスを着たジョシが手を振っている。

 妹以上にバーベキューに不似合いな恰好をした桜田娘だ。

 桜田娘の誘導でいくつもある駐車場の一つに停める。

 

 「今日はよろしくお願いします」

 「皆さんようこそお越しくださいました」

 「きな子さん綺麗~」

 「心芽さんもおしゃれですよ」

 「その服、やはり東京で買われたのですか?」

 「これはですね~実はネット通販です」

 「え~っ、通販ってサイズわからなくて不安じゃないですか?」

 「母が直してくれるんです。私ノッポで痩せてるからぴったりのサイズってなかなか無いんですよ~それがこのあいだ買ったのはすごいダブダブで直しきれないって言われっちゃんて……」

 ふむ、今日の桜田娘はのっけからよく喋るバージョンのようだ。

 「心芽さんはどこに買い物に行かれるんですか?」

 「え、えーと……私も最近通販が多いでしょうか」

 妹よ気取ってないで正直にしま〇らだと言え。

 とか話しながら俺たちは別荘の門をくぐった。

 

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