第94話 最上階
「……もうすぐ最上階です!」
「うん!」
非常階段を上がる間、モンスターは現れなかった。
き、気味が悪いな……最上階、一体何がいるんだろう?
しばらく上がっていくと、階段は終着点になり、最上階へとつながる扉が目の前に
「はぁ……はぁ……ここが、最上階の扉?」
へとへとの中、扉の場所だけはなんとなくわかった。
「美羽さん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫……こんなところでへこたれてる場合じゃないもん!」
こんなところでぶっ倒れてる場合じゃないよね!
早いところ決着をつけないと!
「それじゃ、行きますよ! 視聴者の皆さん! ようやっとラストバトルです!」
『行け! イノジュン! 美羽ちゃん!』
『純様、美羽さん頑張って! ¥10000』
純ちゃんがアピールすると、声援と共に投げ銭も多く来た。
それまで息切れしていた私も、そのコメント欄を見て、自分を叩き起こした。
「行こう純ちゃん! 早いとここんなところ出たいし!」
「そうですね! 行きましょう!」
お互いに決意をした私たちは、気合を入れ、目の前の扉を蹴破った。
蹴破ると、中は機械のコードで埋め尽くされていた。
そこから電気が漏れ出ていたㇼ、火花が散っていたり……。
先程まではザ・廃墟と呼べるものだったが、今度は打って変わって荒廃した未来の建物のような印象を受けた。
「うわぁ……なんかさっきと違ってサイバーチックだね」
「そうですね……」
何が起こるか分からなかったが、私たちは慎重に中へと足を踏み入れた。
モンスターの影も無く、まるで誘導されているかのように前へと進んだ。
無意識に前へと進む中……目の前に巨大な階段が見えた。
「純ちゃん……前来た時、この建物にあんな階段あった?」
「いえ……」
その階段は周りの風景とは明らかに浮いていた。
レッドカーペットが敷かれ、松明のかすかな光がそれを照らしていた。
なんていうか……未来都市の中に突然中世ヨーロッパの要素が割り込んできたみたいな感じだ。
『なんか……ステレオタイプのRPGみたい』
『80年代のゲームでありそう』
『周りの風景と合ってなさすぎる』
コメント欄も、その異様な風景に困惑していた。
あの上に……何があるのだろうか?
息を飲み、お互い委に深呼吸をし、私たちは上へと昇った。
……終点まではそれほど長くは無かった。
階段を上り切ると、まるでオペラやバレエの会場のような巨大なホールが広がったのだ。
どうやってこんな部屋を? という疑問はあったが、ここはダンジョン……恐らく何でもありだ。
……舞台の上、そこには……直にはあった事はないが、顔を観れば誰でも知っている人物が、玉座のような椅子に座って待機していた。
あれは……。
「大森……社長?」




