第6話 初めての討伐
「えぇ!? こ、これ……これは……」
……まぎれもない、私……『百地美羽の姿をした』、私だった。
コスプレみたいな紫色のくノ一姿、背中に背負う刀に、金と銀のオッドアイ、そして銀と紫のインナーカラーのロングヘア。
それまで絵として映っていた百地美羽が、次元を一つ越え、映し出されている。
『これリアル美羽ちゃん!?』
『かわいい』
『ガチで美羽ちゃんじゃん! やばくね?』
コメント欄が爆速で流れる……これは現実だ、私は……百地美羽になっている。
左にコメント欄、右に私の姿、そして真ん中の画面には……今接近してきている怪物が映し出されていた。
や、やばい! ついコメント欄見てて油断してた! ど、どうすればいいの!?
『美羽ちゃん! 避けて!』
『危ない!』
コメント欄は指示で溢れかえっているが、私は頭が回らず、咄嗟に背中に背負っていた刀を抜き取り、怪物を切りつけた。
「ギャアアアアアアアア……」
怪物は斬撃を受け……消えた。
う、嘘でしょ……わ、私が……。
「ひ、ひえ……」
ダンジョン配信は結構観たが、いざ現実でモンスターを退治すると……怖いというか、気味が悪い。
こ、こんなことをダンジョン配信者は毎日やっているの? ……正気じゃないでしょ。
『美羽ちゃんすげええええええ!!』
『ガチでビビってて草』
『モンスター倒して苦い表情しててかわいい』
ふとコメント欄を見ると……大絶賛の嵐だった。
そ、そうだ、今は……配信中だ、信じられないけど。
と、とりあえず、私を映してるこのドローンカメラに向かって挨拶しよう……うん。
「こ、こんみうー……今回は、センテンドーさんからの提供で、センテンドーさんの新製品を体験させていただいてます……は、初めてのダンジョン配信ですが、よ、よろしくお願いします……」
緊張のあまり、言葉が詰まりそうだったが、何とか挨拶できた。
『センテンドーの依頼ってマジかよ、サグッター見たけど信じられねぇ、でもいっか!』
『最初はどうかと思ったけどかっこいいからヨシ!』
『がんばれ! 美羽ちゃん! ¥5000』
……コメントと投げ銭が勢いよく流れる……これは期待に応えないとね。
「い、いきます! うおおおおおおお!!」