第62話 資料
「それで……今回はどんなご用件で?」
「え!?」
私が声を掛けると、下山さんは目が覚めたかのように大慌てしはじめた
「え、あ、そ、そうですよね!? えーっと、確かここに資料が……あわわわわわ……」
下山さんは資料をカバンから取ろうとして……盛大にそれをぶちまけた。
もう、手間がかかる人だなぁ……。
「手伝います」
「あ、す、すみません……」
この人本当に大丈夫なのかな?
拾った資料をふと見てみると……どうやら新作のゲームの資料のように見えた。
これ……部外者が見たらまずいやつじゃないの?
「あ、あの……これ、私が見て大丈夫なやつですか?」
「し、しー!! 静かに!!」
「え、すみません……」
え? やっぱりまずい資料?
「じ、実は……今日お伝えしたい事は……『社長の今後の経営戦略について』なんですよ」
「経営戦略?」
「はい……あ、あの……そ、そそそそそ、その……この間、社長がダンジョン関連商品の宣伝を盛大にしたじゃないですか」
「そ、そうですね」
あのバカでかい飛行船のやつか。
それとこの資料と何の関係が?
「そ、そそそそそ、それで……この資料、よく読んでください」
「はぁ……」
私は渡された資料を一枚ずつ読んでみた……。
中身はVRを使ったMMORPG……結構昔に流行ったライトノベルでよく見られた形式のゲームだ。
プレイヤーは専用の武具を身に纏い、ゲリラ的に表れるダンジョンを探索して報酬を得る、そしてその報酬で様々なものを開発することができ、集落を発展させる……そんなゲームだった。
……あれ?
「これ……」
……今現実に起きている事と似ている?
「そ、そそそそそそ、そうなんです! これ、今起きてることと似てません?」
確かに、今起きてることとこのゲームの内容……若干似てる気がする。
でも……。
「偶然ちょっと似てるだけでは?」
「い、いいいいい、いや!! そんなことないですよ!!!」
「え、すみません……」
「あっ……」
下山さんが急に怒鳴るように否定したため、私はつい謝ってしまった。




