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第4話 反対運動

『次は、大泉ダンジョン前、大泉ダンジョン前でございます』


 バス車内、私は目的の停留所の案内と同時に、停車ブザーを押した。

 あの後、迷った末、家から一番近いダンジョンへと向かう事にした。


「とりあえず、サグッターで告知しとくか」


 私はSNS……サグッターに告知文を投稿した。


『センテンドー社様からの依頼で、史上初、Vtuberがダンジョン配信!? 観てみてね!』


 ……ちなみにこれに対する返信は。


『……は? 何言ってんの?』

『Vtuberが顔出しすんの? つーか美羽ちゃんがダンジョン配信とかやめて欲しいんだけど』

『もうバーチャルじゃないじゃん、企業の依頼だからってそこまでする?』


 ……非難の嵐だった。

 当然だ、私だってそう思う、だが依頼料が振り込まれてしまったんだ、理解してくれ……。

 私は不安の中、腕輪……バーチャルチェンジャーの説明書を読んだ。

 ……読んだはいいが、意味不明だった……とりあえずダンジョンに入ったら試してみるか……。


 バスを降り、私はトボトボと不気味な塔へと足を運ぶ。

 ダンジョンへ入るためには、まず最初にダンジョンの前にある猟友会の建物で申請を行う必要がある。

 めんどくさいが、万が一のことがあった時のために住所や電話番号を登録していないと色々面倒なことが起きるらしい。

 ……猟友会の建物が見えてきたと同時に、何やら人ごみができていることもわかってきた。

 ただの人ごみではない、彼らは各々タスキを巻いて、横断幕を掲げていた。


「人の命を軽視する猟友会を許すなー!!」

「野蛮なダンジョン配信を推奨する、猟友会を許すなー!!」

「私たちは、使い捨ての駒じゃないぞー!!」


 横断幕には、「子どもに悪影響を与えるダンジョン配信をやめろ」と書かれていた。

 人ごみの先頭には、白黒写真を上げ、涙を浮かべる男女、メガホンで掛け声を上げる人がいた。

 ……彼らは所謂、「ダンジョン配信、ひいては一般人がダンジョンに入ることに反対する人たち」だ

 白黒写真を上げている人……彼らは恐らく、「ダンジョンで亡くなった人の遺族」だ。


 一般人がダンジョンに入ることができる法案が決まる以前から、こんな運動が各地で引き起っている……当然と言えば当然だ。

 今はこの運動も落ち着いては来ているが、まだまだ全国各地で起こっている、ちょうどここみたいに。

 私は人ごみを尻目に、建物へと入っていった。

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