第39話 ピザ
「さ、行こう純ちゃんこっちこっちー」
「はーい、美羽さーん、待って待ってー!」
叫びすぎて吹っ切れた私たちは、スキップながら追いかけっこしていた。
これも周りに誰もいないからこそできることだ。
『2人とも壊れちゃった……』
『センテンドーランド、恐ろしい子……』
『お薬出しておきますね ¥5000』
コメント欄も盛り上がりが絶えず、私たちを心配する声もあるが、ダンジョン配信と比べて身の危険も無いからか、心が躍る。
「さて皆さん! 私たちは今、『Pizza House Express』に来ています! このお店の前には、ピザハウスとコラボしているアトラクション『トンデミーロ』も動いていますよ!」
私はドローンカメラに向かって、ピザハウスの紹介を行う。
この間ステマっぽいって言われたから、ちゃんと練習してきた。
「み、美羽さん……まさかトンデミーロに乗りたいって言うんじゃ……」
「……そのつもりだったんだけど、今は食事食事! 行こう! 純ちゃん!」
「はい!」
再び純ちゃんと手を繋ぎ、私たちはピザハウスへと走り出した。
『純様のいつもの笑顔! やっぱりこうでなくちゃ! ¥700』
『イノジュンニッコニコやんけ』
☆
「さて、ピザハウスに到着しました! 私は先ほど紹介したアトラクションとのコラボ商品、『トンデミーロピザ』を1ピース注文しました!」
「僕はこのピザハウス限定の商品、『FUJISANピザ』を注文しました!」
私は大きいソーセージが乗っかったピザ、純ちゃんは富士山をイメージしたピザを注文した。
純ちゃんのピザは、富士山をイメージしただけあって、雪化粧の部分がホワイトチーズになっていて、すごく美味しそう……。
「とりあえずいただきましょう、美羽さん」
「そうだね! いただきまーす!」
私たちは手を合わせ、ピザを手に取った。
ピザ食べるの久々だな……年齢も相まって、こういう想いモノ食べるの躊躇するようになったからね……。
私はジューシーなソーセージと共にピザを噛み締めた。
ソーセージから脂がじんわりと吹き出し、チーズのとろみが口の中に広がる。
たまにこういうの食べるとすごく美味しく感じるよね、ほんと。
『美羽ちゃんめっちゃうまそうに食うやん』
「やべぇ、ピザ食いたくなってきた」
コメント欄は所謂飯テロを食らったのか、空腹を感じる人で埋め尽くされていた。
「んん……このピザ……複数のチーズが口の中に広がって……とても美味しいです」
純ちゃんの方をふと見てみると、とても美味しそうにピザを頬張っていた。
そっちのピザも美味しそうだな……これだったら1ホール注文して、シェアし合えばよかったかな……。
「うーん……」
「じゅ、純ちゃん?」
ピザを食べている純ちゃんをまじまじと見ていた私だったが、純ちゃんも純ちゃんで、私が持っているピザをじーっと見つめていた。




