表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

喧騒の街離れ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

自律神経の調律の為に、明日は参拝したいです。

あぁ……向いてない……。昔はあんなに楽しかったのに、今はもう、体が追い付かない。冗談抜きで歳をとって、冗談抜きで心も変わった。充填しないと……。


精神的、肉体的な枯渇を満たす方法は、割と幾らでもある。物静かな喫茶店に駆け込む事も一つ。木々に覆われた森の中をぼんやりと散歩するのも一つ。神社の神様につらつらと話を聞いて貰うのも一つ。そして私が選んだのは最後の一つだった。

何も言わずに電車を乗り継いで、鳥居を一礼して、挨拶を済ませる。後は大丈夫。基本的にぼんやりしていても、叱られる事はない。

そうして澄んだ空気を肺に溜め込んで、どういう訳だが狂った神経系を調律する。満たされる。この場に居るだけで、何もかもを満たしてくれる。

「あぁ……うぅ……」

「おや、一週間ぶり。随分と疲れた顔をしているね」

呻き声を上げていると、するりとそよ風が頬を撫でる。居心地がいいなぁ……と思ったら、梅香の君が隣に座って、頬を撫でていた。今日も穏やかだった。もうそれだけでいい。それ以上求めない。

私は死んだ顔で梅香の君の顔を眺めると、静かに息を吐き出した。

「お分かりいただけます? 久方振りに大都会出たんですよ。私の目に二十人以上の人が行き交うと、そこで完全にキャパ……容量超えます。情報処理が全く追い付きません。声色も声質もまるで私とは異なる世界です。昔はあんなに大好きで通い詰めていたくせに、今は全然駄目です。それだけ歳をとりました」

あの場所では疲れ果ててしまった。けれども眠ろうとは思えなかった。どちからと言うと気絶に近い。意識が霞んで倒れ果てて、そのまま動けなくなる様な、あの恐怖。

不思議なものである。学生時代は毎日のように入り浸っていた。店を周り、買い物をして、遅くに帰ってきたのに。

「前に比べて、君は随分と口調も、声色も、品位も、心の有り様も変わった」

「それは……良い意味で……でしょうか?」

「勿論。前よりもずっと洗練された。良い歳の取り方をした」

ならば……良いだろうか……今のままで。無理に慣れない土地に染まる必要は無いだろうか。

「これからも、気を付けていきます」


久方振りに会ったあの子は、言動共に、かなり洗練されていた。

声色に乱れが少ない、浮き沈みもない。店員が客に話しかける様に、一定の真っ直ぐな音を飛ばす。

そして口調。前よりも一回り、綺麗な言葉使いを使うようになった。

変わらないのは姿形だけか。中身はかなり変わったね。勿論、いい方向に。

梅香の君が『良い歳の取り方をした』というのは、主に口調から察してます。


前ならきっと『分かります?』っていう言い方。

今は『お分かりいただけます?』です。

小さな違いですが、言い方が丁寧になってます。


ベテランの営業さんって、声の浮き沈みと緩みが少ないんです。必ず一定の、ブレの少ない話し方をするんですよ。

恋人とか友人に対する話し方、口調とはかなりの差があひます。

今の主人公ちゃんは、それに近くなっている。


つまり、慣れた人であっても、不快感を与えないよう、無意識に気を使っているという事。

何処に出しても、決して不敬な真似はしない。

いい歳の取り方とは、そういうことでは無いかと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ