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第1話 父のワープロと黒歴史

「お父さんって小説書いてるん?」


 確か、そんな風に尋ねた気がする。父のデスクに、小説らしき物語がびっしり書かれた紙の束があったからだ。

 ポンと置いていたからには隠そうともしていなかったのだと思うが、父はちょっと恥ずかしそうに笑って「そうだよ」と言っていた。


「書いてみるかい?」


 そう言って差し出したのは、大きなワープロだった。

 ワープロ、ワードプロセッサ。今で言う所の、文章を書くことだけに特化したポメラのようなものだ。

 その時すでにパソコンを手にしていた父は、ワープロを近々処分しようと思っていたらしい。娘の私が興味を示したので、これ幸いとおさがりとして譲ってくれたのだった。

 当時小学四年生だった私がローマ字などすぐに分かるはずもなく、はじめはカナ打ちでぽちぽちとやっていた。変換キーを押すとまだ学校でも学んでいない漢字がたくさん出るので、いちいち親に聞いたり辞書を引いたりして大変だったように思う。

 それでも、初めて書く小説は楽しかった。


 記憶が間違っていなければ、魔王軍に故郷の村を滅ぼされた主人公が、にっくき魔王を倒すべく旅に出る話を書いた気がする。なんともヘビーである。

 当時やっていたドラゴンクエストや、ファイナルファンタジーあたりのRPGに影響されていたのは言うまでもない。幼い頃に先鋭的な名作に触れると、あっさり染められるのだ。義務教育が終わるまでに触れた作品で好みが形成されるとはよく言ったもので、今の私はその時の作品達で形作られたといっても過言ではないのかもしれない。

 ――閑話休題。

 ちなみにその時の小説はフロッピーディスクで保存されてパソコンに移され、父が当時やっていたホームページに嬉々として載せられていた。――まごうこと無き黒歴史である。 


 A4サイズの規格に、数ページから十数ページの勇者のプロローグ。

 それが私の、初めての小説だった。

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