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異世界Q.E.D. 〜異世界に迷い込んだボクは名探偵役のカノジョに助手役として指名される〜  作者: 散花
2nd questions Another Answer 勇者の成れ果てと迷子の妖精ともう一つの真相と
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それは憧れというモノ。1

 俺には憧れてやまないモノがあった。いや、あったはずだった。今は遠い昔……そう過去のコトとして、片付けてしまえばよかった。

コレは、それが出来なかっただけの、末路でしかない。



 ガキだった頃の俺は、町の中じゃそこそこ腕っぷしが強くて、身体的な動きも良く、それが故に俺以外の人間は全員弱い奴だと決めつけ、他人に突っかかっては喧嘩に明け暮れていた。

今考えると、その起こす行動全てが子供ガキの発想で、我ながら頭が痛くなる。

毎日、喧嘩や殴り合いを繰り返すうちに、この小さな町では俺に楯突くものは誰もいなくなり、その現象に飽きた俺は隣町に移動して、また同じことを繰り返していた。


 そんな生活を続けていたある日、一人の大人が話しかけてきた。

俺には、普段の行いから話しかけてくる奴なんていない。稀に居たとしても、気に食わない態度で煽ってくるからいつも即吹っ飛ばしていた。

そいつは、いきなりこう言った。

「君の力は素晴らしい。強いことは正義だ。」

と。

俺は自分の強さに満足したことはなかったし、強さに意味なんて求めたこともなかった。俺はただ、他人より出来ることが『喧嘩』しかなかっただけにすぎない。

「だから?」

と、俺は返した。

一呼吸置いて、そいつは言った。

「だから、君は弱いんだよ。」

ズドン、と言葉が。他人が発したその音に、まるで重さがあるような。そう認識させられるナニカを、その『弱い』という一言に感じた。

「……は?」

そいつから見たら、俺は動揺を必死に隠す風に見えていただろう。まるで強がりの、自分から出たとは思えない震えた疑問符。そして精一杯のガンつけ。

「お前、なに言って──」

一歩。

足を踏み出しただけだった。

それしかできなかった。


 その時、俺の頭の想像上では、踏み出した足で地面を蹴り、相手の懐に飛び込み、殴り倒した図が確かにちゃんと浮かんでいた。

だが、実際浮かんでいたのは自らの身体の方で。フワッと浮いたなんとも言えぬ気持ちの悪い感覚に混乱してる間、地面に叩き落とされ、その衝撃だけが襲ってきた。

「カハッ」

叩き落とされた衝撃が強く、地面から跳ね返り、もう一度身体ごと浮いた気持ち悪さは、今でも簡単に忘れられるものではない。その後再び地面に落ちた時の記憶はなかったが。



 なにやら話し声が聞こえる。

意識が戻り始めるのは、聞こえてくる話し声がだんだんと鮮明になってきてからだった。

「お前、本当にそいつ弟子にするのかよ」

「ここらの評判の悪さはピカイチだぞ?」

「ははは、そりゃ楽しみじゃねえか」

「何が楽しみだよ。下手すりゃ取って喰われるぞ」

「お前の評判も落ちかねない。俺らの仕事は評判ありきで成り立ってるんだ。わかってるのか?」

「大丈夫だって。こいつは俺が育てる」

(なに……言ってんだ、こいつら……)

そう口に出そうとしたところで、全身に電気が走るような痛みが襲い、出たのは情けない声のみだった。

「くっ…………」

その声に反応し、その場にいた人物達の視線が一斉にこちらを向いたのがわかった。

「お、起きたか。はは、悪かったな。思ったより軽くてよ」

ベッドに寝かされているだろう俺の髪をくしゃくしゃにしながら、そいつは俺の顔を見て、ニカッと笑った。あとの二人は少し離れたところで複雑そうな顔をしている。

「お前、今からオレの弟子な?」

「っ……は? ……ゴホッゴホッ」

あまりにも突拍子もないことを言われ、声を荒げそうになり、その勢いでむせる。

「あー、無理すんなよ。やっちまったオレが言うのもあれだが……」

その顔は本気で俺を心配しているようだった。

「いや、そりゃそうなるだろ」

後ろに見える二人のうち一人が呆れた様子で声をかける。

「えー? そうか? ……そっか?」

手前のそいつは、理解したのかしていないのか、馬鹿なのか、という風な返事をしている。


(あぁ、これは夢だ。次に目覚めた時にはちゃんと自分の部屋で目覚めるはずだ)

と、聞こえてる話し声もうっすらとしてきて、俺は遠のく意識に身を任せた。

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