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「なろうラジオ大賞3」のための物語

そのサイコロは不思議の国から ―迷宮探偵・驚天動地郞のウルトラ推理―

作者: ヤギマルケイト

「その通り。凶器はこれですよ」

 探偵は高らかに言い放った。

 探偵・超次元ヶ原(ちょうじげんがはら)驚天動地郞(きょうてんどうちろう)。常人の想像を遥かに越えた超絶推理で謎に挑む。

 誰が呼んだか、その名も“迷宮探偵”。

「バカな。こんなものが……?」

 彼がつまみ上げたのは、小指の先ほどの小さなサイコロだった。

 被害者は後頭部を殴打されていた。

 部屋はがらんとして何もない。

 このサイコロを除いて。

「簡単なトリックですよ」

 ピンと指を立てる。

「被害者は、小さくなったのです」

「何……だと」

「『不思議の国のアリス』をご存じですか?劇中に、体が小さくなる場面があります。そう……殺された時、彼の体は小さかった。このサイコロが凶悪な鈍器と化すくらいね」

 集められた一同を見回すと、

「この事件を一目見た瞬間、僕の脳裏に言葉が浮かび上がったのです。『不思議の国のアリス』と」

 一人の少女に目を止める。

「どうしてでしょうね?有栖川(ありすがわ)さん」

「さぁ、分からないわ」

 青いエプロンドレス姿の少女は答えた。

「ただの偶然じゃないかしら」

「そうですよ。ここには被害者とサイコロだけだ。どうしてそんな言葉が突然出てくるんです」

「ですが宇佐木(うさぎ)さん。偶然でなかったとしたら?」

 えっ、と白いウサギの顔をした男は赤い目を丸くする。

「まさか……何かあるのか」

「そうか。そこにトリックのカギが」

「その通りですよ窓畑(まどはた)さん、知恵社(ちえやしろ)さん」

 帽子を山ほど抱えた男と猫みたいな顔の男は目を見合わせる。

「ゼロから生まれた言葉が示すものは事件の“真実”以外に考えられない。僕は確信しました。これは『アリス』に関わりのある事件なのだと」

「じゃあ、まさか我々の中にもそんな人物が?」

 体じゅうにハートのトランプを貼りつけた男は驚いた。

「いるのですよ。鳩幕(はとまく)さん」

 ざわつく一同。

 探偵は残る傍らの二人に目をくれた。

「というわけで鈴木さんに斉藤さん。お二人はお帰りになって構いません。あぁ念のため、捜査一課の本骨(ほんこつ)警部に連絡を」

「待って。彼らは無関係なの?」

「ええ。確かに不思議な方々ですが……」

 はっきりと言い切る。

「彼らは『アリス』に関わりはありません」

 さぁ、と促すと、斉藤と呼ばれた青い人物は、手にしていた懐中電灯のようなものを腹部のポケットにしまい、鈴木と部屋から出て行った。

 探偵は改めて、一同を見やる。

「さて。問題は誰が犯人なのか、ということですが──」



 探偵・超次元ヶ原驚天動地郞。

 今日もまた、ひとつの謎が迷宮の奥底へと消えていく。

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