最強な俺氏、初日から美女に話しかけられるようです。
長めです!
ふざけるな。
教室に着き、席に座り先生の話を聞く時間になった。
天才組??俺はもう力は使わないと決めたんだ。
『天才組のぼっちくん』とか異名ついたらどうすんだ?!もういっその事変装やめる?いやいや、それはバカのやることだ。俺が変装といたら中学の時みたいに…ああ!!もう考えるだけでウザすぎる。
やっぱりあの時にじじぃは始末しておくべきだったな。
とりあえず作戦を練ろう。
ぼっち。いや、陰キャは辞めないでいこう。
やっぱり力を抑えるには俺が根っこから地味になりきることが最優先だからな。
テストなども程々で…後は体育祭も地味にして…あとはあとは…って考えていると貝沼先生の話も終わっていた。
そして俺の目の前に1人の女生徒がスタスタと来て、
「ねぇねぇ、君…放課後ちょっと時間ある?」
目の前の人は絶世の美女と言わんばかりの女生徒。モデルなんかじゃ物足りないくらいの人物だ。
なぜ俺が話しかけられる?
「あ、はい…なぜ僕なのか伺ってもいいですか?」
「それも後で話すから…お願いね」
「はい…」
そう言って彼女は俺の列の1番後ろに着席しに行った。
なるほど、1番後ろなのね。ふーん、じゃねぇわ!!
おかしいだろ。陰キャだぞ?ぼっちだぞ?あなたのような人が俺に話しかけるのはおかしすぎる。
うん?さては『天体』か?
天照機関にいた時代では『天人』になれない物は『天体』として名付けられていた。
もしその『天体』だとすれば危険人物だ。
なぜならその『天体』を脱出させたのは紛れもない俺だからだ。
しかしそれなら俺もオーラで感じ取れるはず。
それまでに俺の『解放』は正確に人体の隅々まで感じ取ることができるからだ。
人類の革命と呼ばれた俺を舐めてもらっては困る。
だから『天体』の可能性は低い。
となるとほんとに分からないぞ。
まぁ今日はこれで下校なようなのでいいだろう。
早く要件を聞いて帰るとするか。
ここら辺の街並みも見ておきたいしな。
都会は恐ろしいったらありゃしない。
「今日の日程は以上だ!みんな!これから1年悔いなく頑張っていくぞ!」
はーい。
☆
クラスのみんながチラホラと帰る頃、俺は彼女の元へと向かう。
「で?どうするんです?」
「と、とりあえず学校を出ましょう。」
「分かりました。」
そう言い俺達もクラスを後にする。
「私のこと、あなたは知らないわよね?まぁとは言っても私もあなたの全てを知っている訳ではないのだけれど。」
などと言う。
本当に分からない。ということは彼女は俺の事を前に見たことがあるということか?いや、仮に見られていたとしてもそんな目立つようなことはしてないはずなのだが…ていうか全て知られていたらたまったもんじゃないない!!怖いこと言うなぁ。
「えっと、ほんとに心当たりがないのですが一体どなたなんですか?あなたは。」
「まぁその反応が普通よね。あなたが覚えているのか分からないのだけれどあれはそうね、1ヶ月前くらいの時だわ。」
1ヶ月…俺がここら辺に中学卒業までいた所から引っ越したばかりの時期だ。
なんかしたっけ?
とりあえず相づちを返しておく。
「私が文房具を新調しようと思って文房具屋さんに行って帰っていた時の出来事よ。あなたと全く同じ背丈と容姿の男の子が迷子になっていた男の子を助けていたの。それで手を繋いであちこち親の元へ行っていたのだろうけれどなかなか見つからない様子だった。それでも彼は絶対にその子を1人にせず、日が暮れるまで探していたわ。その優しさに惹かれて気づくと私はずっと着いていってしまっていたわ。私は母子家庭で親も仕事をしてるから晩御飯の支度の為に帰ったけれど続きを見ていたかった。」
…あぁ。確かにそんなことあったわ。
子供の前だとどうしても『天体』達を逃がした時のことと重ね合わせてしまう俺の悪い癖がその時も出てしまった。
結局男の子の母親も交番に来ていたため先に交番に行っていた俺に連絡来て、親元へ届けることができた。
その日はそのご家庭で食事をご馳走してもらい、大変暖かい空間を楽しめることが出来た。
俺には生まれつき物騒な厄介事にしか携さわっていないためとても楽しかった。そう、まるで家族ができたかのように。
うん?てか待てよ?さっき…
「なるほどあの時の事ですか、理解しました。ですが、さっき惹かれた?とおっしゃいませんでした?」
「え、ええ。確かに言ったわよ?」
もじもじしながらそんなことを口にする彼女、今までたくさんの美女を見てきてその誰にも可愛いと思わなかった俺が不覚にも可愛いと思ってしまった。
こいつ、やるな。
「いやいやいや!おかしくないですか?!ぼ、僕なんてこんな髪だし、メガネだし、だらしないですし。あなたみたいな美人さんが僕に惹かれるだなんて…」
「び、美人?!や、やめてよ。そんな美人だなんて…ふふっ。嬉し。で、でも!女の子って言うのはどんな容姿でもやっぱり優しい方が好きなんだから、そんなに自分のことを責めないの!それに…」
そう言い何をするかと思えば俺の長い前髪をかきあげ、
「あなたもこうすれば十分かっこいいと思うわ。というかほんとにかっこよすぎて気がおかしくなりそうだわ。」
「ちょちょ!」
俺は少しの力で彼女の手を握って額から離す。
やばいやばい、ていうかもうバレてきてる、俺の顔が。
「そ、そんなことないですから!とにかく今日は買い物したり、引っ越したばっかりなんでここら辺を見回りたいんです!要件は以上です?」
「なんだ。そんなことなら私が同行してあげるわ!ここには長いこと住んでいるから安心して案内できるわよ?」
手を後ろに回し、首を90度くらいに傾げる。
彼女の長い黒髪と緩やかなボディがマッチしており、何よりも豊かな胸が強調されていた。
男子キラーだな。こやつ。
「わ、分かりました。お願いしてもいいですか?」
メガネを中指で立て直し、こちらからもお願いする。
「はい!わかりました!」
そう言って俺たちのよく分からないデートっぽいのが始まるのだった。
しかしこの後彼女のせいで少し力を使うことになるとはこの時は考えもしなかった。
☆
俺の所持金は3000円、今月の生活費や遊び代は5万円。月初めと言うこともあり3月末の作り置きの食材で今は1円も使っていない。家賃等はじじぃが一括で払ってくれているみたいだ。こういう時はほんとに助かる。こういう時は。
まぁしかし『天照機関』を潰してからは俺がじじぃの従者として働かなければならなかったのでガードマンや執事等をミスなくこなしてきたからこれくらいはしてもらいたいものである。
「君?大丈夫?」
「あ、はい!大丈夫です。そう言えば2人きりでいるくらいの仲ではあるのにお互い名前知らないですよね。」
「そうね、それはまずいわね。」
そう。今日は自己紹介もなかったためお互い名前を知らないのだ。
「じゃあ僕から。僕は天照阿久斗。最近東京に引っ越して来たばっかりなんだ。同じクラスとしてこれからよろしくお願いします。」
「阿久斗くん…うん?天照?あの天照グループの天照?!」
あ、やべ。
「い、いやいや。そんなわけないでしょ。ただの偶然だよ。よく言われるけどね。」
嘘は下手だが多分大丈夫だ。
「そ、そうよね!もし天照グループの親戚とかだったら私タメ口きいてたもの!私は西城亜美花。恐らく知能とスポーツで天才組に入れたと思うわ。天才って響きあんまり好きじゃないけれど。」
いや、多分その2つは間違ってはいないけどもうひとつあるはずだ。もちろん容姿。
「あーそういう言い方しないとダメなのか。自己紹介って得意じゃないんだよなぁ。えっと僕は…僕は…」
俺はなんて言えばいいのだろう。
まぁ適当に男っぽいの言うか。
「知能と武力とスポーツだと思います。頑張りましたから。天才という響きが嫌なのは同感です。努力が実ってない人もたくさんいると思いますし、でもこれだけは言えますよ。」
「うん?」
「才能は確実に努力を凌駕します。これは絶対です。実際僕の周りはそういう事がありましたから。」
「ま、まぁそれはそうね。間違っていないわ。その言い回しだと過去に何かあったのでしょうけど…聞かない方が良さそうね。」
「はい。その方向でお願いします。」
…なんだか暗い空気になってしまった。いかんいかん!こんな美女と2人なんだ話題を変えなくてわ。
「じゃ、じゃああそこのクレープでも_____」
どうですか! と言いたかった。
でも彼女はこちらを見て震えている。
どうしてだ?
しかしこちらを見ていると言っても俺の頭の上を見ている。
俺の身長は175。割と高い方だ。
それを見上げると言うことはなかなかの巨漢だ。
そして俺も振り返るとそこには…
スキンヘッドの刺青野郎がこちらを覗いていて、
「彼女さん貰うぜ?小僧」
とおっしゃっている。
よし、これはいかんな。
叩きのめしてやろう。