最強な俺氏、変な学園に入れられました。
『ぼっち』 それはグループではなく単独で生活している者のこと。
この『ぼっち』は世間一般的にあまり良いようにとらえられていない。
なぜなら…なぜなら…あれ?どうしてなんだ?
☆
爽やかな日差しがベットで寝ている俺の顔を照らしてくる。
今日から春、つまり新生活が始まるわけだ。
そんな俺は今日から高校一年だ。
新しい出会い、新しい場所、そしてつまらない日々から解放される。
今の時刻は7時45分。登校にかかる移動時間は約10分。始まりのチャイムが鳴るのは8時30分。
そろそろ飯を食べなくては遅れてしまいそうだ。
そうしてベットから重い体を起こす。
高校生活はもう力を使わない。そう決めたんだ。
「だから俺は…ぼっちになる」
こうして裏の世界では人類の革命と呼ばれ、表の世界ではぼっちと罵られ、地味男を演じる
天照阿久斗の一方的で、ある意味刺激的な高校生活が始まるのだった。
☆
今日の朝飯は食パンをトースターで焼き、バターを塗ったものとソーセージと作り置きしていたサラダだ。
俺は両親が幼いころから他界しているため、中一から自炊している。もう慣れたものだ。
そしてものの5分程度で朝飯を食し、お茶を流し込み新しい制服に身を包む。
「よし。行くか。」
そう言い玄関のドアを開け、一歩一歩踏み出していく。
今から行く高校は何とも特殊な学校だ。
それは日本、あるいは世界で優れたものしか入れないといわれている学校だ。
ここで言う優れていると言うのはどんなことでもいい。
富、武力、知能、容姿、すべてに該当する。
ここで疑問だ。前髪は目を隠しており、なんの変哲もない黒メガネを装着し、服はなぜか暗いオーラとともに元気がないように見える男、そんな俺が入学できるのか。
それができてしまうんだよなぁ~。
なぜなら俺は…世界の最重要危険人物に登録されているからだ。
なので十分俺も特殊だというわけだ。
どうしてかって?それはあんまり俺の口から言いたくない。
でもこれだけは言える。すべての元凶は『天照機関』だということを。
☆
そんなことを考えていると早くも着いていた。
自分の携帯で今の時刻を見てみると8時18分と写されている。
これならまぁ遅刻することはないだろう。
そうして門を通り自分のクラスを確認するため下駄箱付近へと足を進める。
歩いているとそこにはもうたくさんの生徒がクラスを拝見しており正直邪魔だなと思いつつも人込みをくぐり抜け確認する。
掲示物に写されていたのは『1-A』の出席番号1番に自分の番号が載っていた。
今まで2~4番までしかなったことがなかったため少し驚いた。
これも新生活においての余興なのだろうか。
そんな無意味なことを考えていると後ろの方から女生徒の声が聞こえてくる。
「げ。なんか前の男子キモくない?」
「それ思った。まず容姿組じゃないことは間違いないよね(笑)」
「それな(笑)」
ふむふむまぁ俺の陰口が言われていることはまず確実だな。実際こんな容姿ではああ言われても仕方ない。
がしかし、陰口の代償として良い情報を手に入れた。
先ほど彼女らは「容姿組」と言っていた。
なのでこの学校にはクラスごとでジャンルが分けられているのだろう。
何個あるかはもちろんわからないがそう断定して大丈夫だろう。
まぁなんかめんどいから教室行くか。
☆
上履きなどの必需品は事前に購入済みなので上履きに履き替え、クラスへと移動していく。
クラスは4階あるうちの最上階、つまり4階だ。
見た感じ先輩などはいないようだ。すれ違うのも同じ黄色の上履きの生徒と教師の人たちしかいないからな。少し気が楽になった。初日からこの容姿なもんだからカツアゲとか面倒極まりないからな。
クラスに着くとそこは4人がすでに教室にいて、俺に続いて3人が教室の中に入っていく。
てか、え?俺含め8人だけ?ま、まぁとりあえず教卓に行き、自分の席を見に行く。
どうやら俺は一番左端の窓側の方のようだ。まぁぼっちには最高の席だろう。
席も判明したとこで朝のホームルームが始まるまで伏せていることにする。
なぜなら俺はぼっちだからだ。
伏せている際もちらほらと陰口が聞こえてきたが特に気にすることもなくは俺は寝るふりをしていく。
そしてチャイムも鳴り、担任の先生がやってきた。
「やあ!みんな僕は貝沼朝人!君たちの担任を務めることになった!一年間ともに頑張ろう!さっそくで悪いんだが、みんなには入学式に出席してもらうことになっている。だから廊下に並んでくれたまえ!」
顔は良いし、頭もよさそうなのになんだか天然ぽさが出ている。これがうわさの容姿組か?
まぁとにかく言われた通り廊下に出て入学式へと向かう。
てか思ったがやはり総人数は8人なんだな。
よく見ると俺含め男子が4人、女子が4人。そして俺以外全員が大変よくできたお顔をしていらっしゃる。
これはまさか俺は容姿組に?いやいやいや。なわけあるか。俺はばっちり変装できているし。
とにかく容姿組は絶対にない。断定はできないがないったらない!
そうこう考えているうちに体育館に着く。
ずらっと並ぶ椅子に順番通り座り、式の始まりを待つ。
俺らが最後の組だったようだ。
ざっと見た感じ1年生は100人程度。
少ないと思うが全員がそれぞれ何かの天才なんだ。仕方ない。
そう辺りを見渡していると
うん。
やっぱりこの同じ雰囲気、『天人』だな。
視線の距離は近くないので他クラスなのはわかる。
まぁちょっかいを出してくるようならコテンパンにしてやるからほっといていいだろう。
ここで髪は白髪、身長は190前後の校長らしき人がマイクを持ってステージの中央に立つ。
「よく来たな、諸君。君たちは世界最高難易度の試験を乗り越え選び抜かれた生徒だ。まずは自分を誇りに持つことだ。今年はより優秀な生徒がたくさん入学してくれており、私自身、大変誇らしい。若き獅子達よ、派手に生きなさい。以上だ。」
そう言い退出した。
なんだが凄く迫力のある人物だったな。要注意ではあるな。
「続きまして、生徒部の公文先生からです。」
そうアナウンスが入り、秘書を感じさせる女性がまたもやステージの中央に立つ。
「変わりまして、生徒部からです。本校では新1年生には最初に言っておかなければならない事が2つあります。まずはここのクラスについてです。」
お?
「本校のクラスわけには様々な意味があります。もう存じている生徒もいらっしゃるかと思いますが、容姿組、知能組、武力組、スポーツ組、そして最後に天才組の5組に分けています。
1年E組は容姿組、1年D組は知能組、1年C組は武力組、1年B組はスポーツ組、そして最後に」
おい、嘘だろ。
「1年A組は」
待て、待ってくれ。
「天才組です。」
あ…俺のぼっち生活が終わってしまった。
ただただ驚きと、絶望に苦しむ阿久斗だった。
☆
なぜだ。なぜなんだ。
あのクソジジイ、俺をこんな所に入れやがって。もっかい天人全員殺すぞ。
教室に帰る際に俺はこんなことをずっとボソボソと呟いている。
あぁ、俺のぼっち生活が…
天才組なんてただただ目立つだけだ。
1ミリも嬉しいと思わない。
許さん。
あのクソジジイ、許さんぞ!!!!