ホワイトバード
昼食を終えてリビングで遊ぶ4人
そんな時急な来客が…!?
「おい、どこへ行くつもりだ?」
「決まっておろう、ここでは無いどこかじゃ」
大柄な強面の男が、白く大きな翼を生やし頭上にリングを携えた金色の短髪の女性へ話しかける
「でもその傷で飛んでいけばきっと街へつく頃には出血で倒れてしまうぞ」
女性は少し笑ってから真剣な顔持ちへと戻り歩いて窓側へと向かいながらまた話し始める
「平気じゃ、わらわは天使じゃぞ?
お前のような人の子よりよっぽど頑丈に体ができてるわい
世話になったの、またの」
そう言うと天使と名乗った女性は翼をはばたかせて窓を突き破り外へと飛び出して行った
「あーあぁ…
たく…せめて、扉から出ていけよな…
アイツ本当に大丈夫だろうか、心配だな…」
-血の池宅
「よしっ、そこだ!」
「あぁ、また負けてしまいました…」
「ご主人格ゲーだけは本当にうまいにゃあ」
「課題とかやらなくて大丈夫なのかしら
まぁ、私は何にも被害ないからいいけどね」
私と雪さんが格ゲーを楽しみ、ねこときょむ子はそれを見る感じになっている
そして、私は既に雪さんに10連勝しておりそろそろ可哀想になってきた
「雪さん、私もやっていいかしら?」
「ええ、構いませんよ
どうぞ」
雪さんはそう言うと少し悔しそうな顔をしながらきょむ子にコントローラーを渡す、前から思っていたが意外と負けず嫌いなのかもしれない
「出たな、きょむ子
お前相手ならもう手加減はしないぞ」
「えぇ、私も全力でいくわよ
覚悟はいい?」
私がサムズダウンしながら首をかっ切る仕草をして宣戦布告すると、きょむ子は突如真面目な顔持ちになり少し強くコントローラーを握りしめた
壊れるだろ、やめろ
「じゃあ対戦開始よ…
レディーファイっ!」
「よっしゃあ、行くぞ!」
「どっちも頑張れにゃ〜」
「きょむ子さん…私の仇を…!」
-対戦はすぐに終了し、その後も5回対戦が行われた
私の完封負けだった
「クソー!」
私は地団駄を踏みながら床を踏み抜いた
「なんで〜床まで壊れやがって〜!クソっ、抜けない!」
「ぷぷぷ…草」
「今日もすごかったですきょむ子さん!」
「ご主人みじめだにゃあ…
後、毎週床破壊してるけど妖術で治すのあたしなんだからやめて欲しいにゃあ…」
私は勢いそのままにぶちギレ続ける
「ゲームに勝つ奴が悪いんだ!ここの家主は私だぞ!
家に招いてやってるんだから少しくらい手加減しろ!」
呆れながらねこが首を振る
「にゃあ、どこまでも救いようのないご主人だにゃ…」
「うるさーい!」
足を引き抜いてもう一度別の場所で地団駄を踏んだ時、
ガシャァン!!
と家中に聞こえるような大きな音が聞こえた
「ご主人…もうこれ以上は本当に…
ってあれ?床壊れてないにゃ」
急な出来事に少し呆然としながら何もせずその場に立ち尽くす
「泥棒かしら?」
行き着いた答えはそれだった
「とにかく見に行ってみるにゃ
多分隣の和室から聞こえたにゃ」
私達の方が強いに決まっているが一応おそるおそるゴキでも探すようにゆっくり廊下へ出て扉の前に立ち…
そして開ける!
ガチャッ
-そこに居たのは窓を突き破って家へ侵入してきた翼に怪我を負った女性だった
よく見ると頭上にリングもある、恐らく天使だろう
倒れたまま起き上がる気配は無い
「げっ、泥棒よりタチ悪いじゃん」
「にゃ〜…
窓まで治さないといけなくなったにゃあ…
泣きそうにゃ〜…
みんなしてあたしをいじめるにゃあ…」
驚いて無言になる雪さんときょむ子、それに自分の仕事が増えて泣きそうになっているねこ、そして突然の来訪者にどう対応しようか悩む私
とりあえず私は声をかけてみることにした
「あの〜、大丈夫ですか〜」
顔だけ起こして天使の女性はこちらへ話しかけてくる
「大丈夫じゃよ〜
わらわは天使のユリスじゃ
見ての通り怪我をおったせいで上手く飛べなくて天界に帰れないので、暫く泊めてもらえると嬉しいんじゃが」
私はこの状況で自己紹介をした上で泊めてくれと頼んでくる精神の図太さに驚いた
しかし、天使に恩を売っておくといい事があるとどこかで噂に聞いた事があるので私は極力優しくすることにした
「えぇ〜怪我してしまったんでしょう?
ベッドに空きがありますからどうぞゆっくりしていってください!」
その時きょむ子とねこは私を部屋の隅へ連れていき小声で話し始める
「えぇ〜ご主人マジかにゃ…」
「こいつ天使と言っているけれど見た目しか証拠ないわよね、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、恩を売って悪い事は無いし
それに偽物だったとしても恐らく有翼人種辺りだろう、その場合は卵とか産むはずだからそれを売ってお金にしよう」
「にゃるほど…その手はありだにゃ…」
「私は反対よ!なんであんな怪しいヤツ…」
私はいさめるようにきょむ子を落ち着かせる
「まぁまぁ、とりあえず一日泊めてみて様子を見よう?
ヤバそうならいつでも追い出せばいいからさ、ね?」
少し不服そうだがきょむ子も泣く泣く飲んだようだ
「まぁ、家主のあなたがいいって言うならいいけど…」
「どうしたんじゃ?
やっぱりもしかして泊めてもらえんのかの?」
少し心配そうに常にこちらの様子を伺っていたユリスは声をかけてくる
即座に私はまたユリスの元へ戻り泊めてもいいと伝えた
「本当かの!
恩に着る!ありがとうの!」
ユリスが翼と腕で包み込むようにハグしてくる
正直とても気持ちがいい、この中で眠れるぐらいだ
「はいはい、そこまでそこまでー!
早く傷の手当するわよ!」
きょむ子がそこへ割り込んできてユリスを連れて部屋から出ていく
その背中に私は声をかける
「よろしくねー!ユリス!」
「こちらこそ、よろしくのー!」
返事は直ぐに返ってきた
-こうして我が家に住人がまた1人増えた
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