ここは男性専用車両
思い付きのコメディーなのでお手柔らかにお願いします。
ついに男性専用車両が出来た。
男たちは大はしゃぎだった。
「やっと俺たちの楽園が出来たぞ」
「もうこれで文句は言わせないぜ」
ある日物好きな動画制作者が男性専用車両を潜入取材した。
車窓に顔を向けて座るサラリーマンの集団。どうやら鉄道オタクらしい。
週刊誌のえっちぃグラビアページに見入るおじさんの群れ。
酒臭い息を振りまいたり、鼻毛を抜いてる男性多数。
そこになぜか一人の女性が
彼女はキャッと叫ぶと出入り口付近に身をひそめる。
「おいここは男性専用車両だぞ」
「お嬢ちゃんは自分の巣にお帰り」
どっと起きる笑い声。
「あの私、まだ男なんですが」
「けっ。なーんだ期待して損した」
あちこちの席から「ちぇっ」という声が聞こえる。
「なんだお前らは未練たらたらしいな。男性車両を心待ちにしてたんじゃなかったのかよ」
長めの無造作ヘアで目元が引き締まったスーツ姿の男が現れた。引き締まった立ち振る舞いをしている。
「だれだお前は」
「ああ、俺はただのサラリーマンだよ」
「そのサラリーマンが何の用だ」
「人の眼がないからってやりたい放題じゃねえの。男の風上にも置けないな」
「うるせえ。俺たちの勝手だ。ここは俺たちの楽園なんだ」
「黙れ。ここは公共の場だ。お前らの好き勝手が誰かに迷惑をかけてると思わないのか」
「文句出てないもーん。知らないもーん」
サラリーマンは、先ほどのトランスジェンダーに近づいて訊いてみた。
「どう思う」
「ここの人たち怖い。紳士じゃない」
「ほらみろ。お前たちは男の皮を被った子供なんだよ」
「うるさい。男の空間で何をしようが勝手だ」
「気弱で大人しい男はこの時間を苦行だと思って耐えてるんじゃないのか」
「そんな男は男じゃないだろ」
「いや、お前が気づかないだけでいるよ」
後日この撮影動画はアップされた。
悪態をついた男たちは自らを恥じて徒歩で通勤している。




