いざ、お店へ。
マキは同い年の16歳。
電話の内容は、叔母が経営しているスナックに人手が足りず、自分も働いているのだが一緒に働くつもりはないか?というものだった。
時給は1200円。
ド田舎のスナックなので今思えばパチンコ屋くらいの時給だったけど、当時700円で働いていた私にとってはほぼ2倍というかなり魅力的な数字だった。
水商売についての知識はほぼなく、
お酒飲みながらオッサンと話してお金を貰う、
というざっくりしたイメージがあるだけ。
ただドラマの影響でなんとなく危ない仕事、未成年はしてはいけない仕事、くらいの認識はあった。
でもマキもいるし、マキの叔母さんのお店だし、まぁなんとかなるでしょ!
何より時給1200円、さらに日払い。
お金ない毎日から解放される〜♪
と、超楽観的にふたつ返事でOKしました。
早速明日の晩から勤務開始ということで、
この日は初出勤の為の洋服を買いに出かけました。
といっても量販店で白のブラウスと薄ピンクのミニのタイトスカートだけ。
そして初出勤の日、時間は20時〜0時の予定です。
少し早めに出勤してママと初対面して、
基本的な仕事内容を教わりました。
THE!水商売!って感じのママを想像していた私。現れたのは、
THE!水商売!って感じのママでした。予想的中。
まぁ典型的な場末のスナックのママって感じ。
パーマのかかった茶髪のセミロングの髪に、
黒地にド派手な花柄がプリントされたワンピースを着て、少し離れていても漂ってくる香水、酒焼けなのか低いガラガラ声。
「うちは地元のお客がほとんどだしタチの悪いお客はいないから安心して!」とガハハと笑ってました。
店内は薄暗く、赤茶のテーブルに濃いグレーの革製の椅子のカウンター8席に小さめのボックス席が2席の小さな箱で、ところどころに飾られた妙なデザインの花瓶に飾られた生花と、所狭しと並べられたボトルがなんともいえない場末感を醸し出していた。
当時は場末とかも知らないし、このお店しか知らないわけだから今思えば、って感じですが。