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ゼムナ戦記  伝説の後継者  作者: 八波草三郎
第三話

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剣王(7)

 廃都ガルナ・ベイに降下したリューンたちは崩れかけのビル群に隠れながらの戦闘に入っている。


 最終的にマップには三十四の敵機が浮かび上がったが、上空を飛び回りつつ砲撃を加えようとした追撃部隊も今は着地して遮蔽物の影から砲撃してきている。潜伏個所から開いた空に向け、アルタミラ機とフランチェスカ機が通過するアームドスキンを狙撃したからだ。リューンが飛び上がり様に斬り裂いて撃墜した機体を含めると七機に及び、敵機は三十機を割っている。

 相手の狙撃が侮れないと知ると上空を飛んで的になる愚を覚り、同じく着地して遮蔽物を利用する戦術に切り替えてきた。


「いくぜ」

 カウントダウンして飛び出したジャーグが駆け抜けてブレードを振り下ろす。

「避けな」

 ジェットシールドで受けた敵機と組み合う背中へビームを放つ。リューンは即座に躱し、腹部を撃ち抜かれた相手は爆炎を撒き散らした。


 アルタミラは既に彼の扱いに慣れてきている。この乱暴な戦術を当然のように受け入れて、トリガーを絞るのにも躊躇いが無い。だが、フランチェスカはまだ恐々と砲撃するのでワンテンポ遅れる時がある。


(なんだかパイロットとも思えねえようなほんわかした女だもんな)

 光沢の強い茶色の髪を少し長めにした美人の顔を思い浮かべる。

(どんな経緯でこんなことやってんのか聞こうとは思わねえが、いまいち向いてるようには思えねえんだがよ)

 アルタミラと親しいので、そちら絡みなのかとは思う。彼女のような気の強い女性は反骨心も強いだろうと分かるから引っ張られているだけかもしれない。


 どちらにせよ戦術は変わらない。リューンが動き回って、二人が狙撃する。その前提でこの廃都市戦に持ち込んだのだ。

 敵部隊もデータリンクしているがそれは各機のカメラ映像による認識だけで、三機が動き回れば振り切れる。撃墜時に発生するターナ光である程度の位置は推測できようが、集まってきた頃にはそこには居ない。

 反して、リューンたちには上空にプローブがある。敵機の位置を把握しつつ、少数で孤立したアームドスキンに狙いをつけて移動している。物量差を埋めるには十分な素地ができあがっているのだ。


「このまま時間稼ぎしてもいいが、そいつは芸が無いな」

 アルタミラに問い掛ける。

「プローブの存在を覚られる前に減らしときたいね。でも、まだ二十は居る。一つ間違えば厳しくなるよ」

「無理せず各個撃破しましょうよー」

 消極的な意見もあるが、時間を掛ければこちらの戦術からプローブを察知される可能性が高い。生命線(データリンク)が絶たれると条件は同じになってしまう。

「敵を背負いたくねえな。フィーナ、都市の端のほうで狙点になるような高いビルがあるのはどっちだ? 今、敵影が薄いならそこがいい」

「すぐ出す。お兄ちゃん、南のほう!」

「よし、移動すんぜ。二人はこうしてくれ」

 彼の話す基本戦術に二人は眉根に皺を寄せつつも頷いた。


 リューンはフィーナのナビに従いつつジャーグを走らせる。僚機は狙点に移動してタイミングを待っている。今の彼は単独行動だ。


「そこ曲がったら二機。背中向き」

 妹の明確な指示に彼は即座に反応する。

「おら、こっちだ!」

「敵機発見! 銀色だ!」

「しゃべってる暇なんてあんのかよ!」


 駆け込んだリューンは敵機のかざすジェットシールドにブレードを打ち付ける。蹴りを入れてビルに食い込ませると胴体の真ん中を貫く。

 もう一機の砲撃をしゃがんで躱し、跳躍して上空へ。追ってきた相手と斬り結んだと見るや、機体を横滑りさせる。走ったビームが頭部を撃ち抜き、もう一撃が胴体に直撃して爆散させた。


「来るよ! 正面! 左後方!」

 飛び上がれば標的にされる。途端に四機が迫ってきた。

「迂闊だぞ、銀色!」

「いいのかよ?」


 飛び上がり際の一機にバルカンファランクスを浴びせるとまともに受けて落ちていく。その僚機は牽制のビームのあとに斬り込んでこようとするが、更にジャンプしたジャーグがブラインドにしていた一撃が胴体を貫いた。


「上手いじゃねえか」

 狙いの正確さに舌を巻く。

「当然だね。うちで一番狙撃が上手なのはチェスカだよ」

「そうかよ。意外なもんだ」


 彼の後方へと飛び上がってきた二機のうち一機も姿を現した瞬間に撃ち抜かれた。


(こいつは思ったよりやれそうだぞ)

 閃光を裂いて接近し、もう一機を斜めに斬り裂きつつリューンは思う。


「そろそろ慣れたろ、チェスカ。遠慮せずにぶっ放せよ?」

 少年は笑み混じりに告げる。

「私は歳上!」

「堅えこと言うなよ」

「君のそういうとこ、苦手なの!」


 嫌われたが狙いは正確だ。銀色のアームドスキン目指して集まってくる敵機が次々と餌食になっていく。狙点を見極めた数機がそちらに向かうが、アルタミラ機の狙撃で撃墜される。二人が互いにガードし合っている限り守りも固い。


「読めたぞ、レジスタンスどもが!」

 どこからか飛んできた共用回線からの声は勝ち誇った響きを含んでいる。

「これでお終いだ!」

「そうかよ!」


 空に向けて走った光芒は、プローブを撃ち抜いてバラバラにしてしまう。


「よし、奴らの目を潰したぞ!」

 戦況を引っ繰り返したつもりらしい。


(遅えんだよ)


 リューンの駆るジャーグは、ビームの発射位置に向けて飛び降りていった。

次回 「あら、ずいぶん仲良くなったのね」

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