第7話 真相?
登場人物
栗田聖羅 15歳 鈴鹿と静は高校での出会い
性格:???? 犯罪歴????
青森静 15歳 鈴鹿とは幼馴染
性格:天然女子 犯罪歴????
山並鈴鹿 15歳 静の世話係
性格:ドジっ子 犯罪歴????
ジョン・セロ 年齢???? 性格:???? 職業????
「ハア……」
深いため息をし、ドアにもたれ掛かる。
疲れた……体が重い……
もはや怒りもわかない、ただ疲れた……ここに来てから24時間以上尋問を受けている。
何を話したって、信じてもらえないし……ろくに睡眠も取らしてくれない……
「聖羅ちゃん……」
鈴鹿の声が聞こえ、めんどくさそうに顔を向ける。
目にクマが出来、顔色は悪く、涙目で、体が小刻みに震えて、今から死刑執行されるかのような暗い鈴鹿が立っている。
「写真……見た?」
活気のない声が聞こえた。
「……」
重たい体を無理やり動かし、机の上にある白いアルバムに向い、手に取り、開く。
爪をはぎ取られた写真や指や腕を切断されて苦闘の表情をしている写真や顔の皮膚を剥ぎ取られた写真など
中には、男性の生殖器を切り取られている場面や女性の生殖器の中に、先端が火で真っ赤な金属棒を入れられて苦痛に泣き叫んでいる様な場面もあった。
どれも悲惨で地獄の様だ。
「ず、ずいぶん過激な企画ものAVね……」
震える手でアルバムを閉じる。
「うっ、ウッ……私達もこうなるんだ……本当の事を言っているのに!!」
鈴鹿の涙が灰色のコンクリート床に浸み込んだ。
「日本国憲法、第11条の基本的人権はどうなってるの!? この国にはないの!?」
静は怒鳴り声を上げる。
そっか……あと一時間でこいつらの仲間入りか……今までは尋問だけだったけど、見兼ねて拷問か……
その事を考えると、激しい動悸に襲われる。
震える小さな右手を胸の上において、深く息をすって吐く。
少し気持ちが落ち着き、ようやく声が出せるようになる。
「でもこれで異世界なのは確定……」
「……うん、聖羅ちゃんの言うとおりだったね」
鈴鹿は涙を拭う。
「この国には、基本的人権は無いんだね……」
静は暗い顔をして言う。
「……異世界?」
無言だったセロは口を開いて、硬い顔で聖羅を見上げた。
「だって、話があんまりにも通じないし、それに、ドラゴンもいたから」
「ああ! それ、私も見た!」
静の声が急に明るくなった。
「……」
セロは再び頭を抱えこんだ。
確かに、あれだけ派手な事故があったのに、警察がそれを把握していないはずはない上、警察官はベレッタを装備していた! 日本は時代遅れのリバルバーを使用しているはず!
いや、そもそも、俺の上司が取り合って本来なら今頃本国にいるはず……だとしたら……異世界なのは確定なのか……
額から汗が垂れる。
「だったら、もう私達助からないんだね……」
静は無機質に言う。
「……」
誰も答えない。
「真相を言った所で話は聞いてくれないし、信じてもらえないし……」
聖羅はため息交じりに言う。
「でも、拷問が気持ちいいていう人もいるから、私それだったらいいな!」
静の明るい独り言が部屋中に響く。
拷問が気持ちいい? 何言ってるんだこいつは?
聖羅は眉間にしわを寄せる。
「……こういう時でも明るいね」
鈴鹿は活気のない目で静の方を向く。
「え? そう?」
静は首を傾げる。
聖羅の体は更に重くなり、壁にもたれ掛かる。
拷問は確定……逃げ道はない……
深いため息が出る。
両手で頭を抱え、うつむいているセロが見えた。
「……!」
突然、怒りが一気に湧いて来る。
そもそも全部こいつのせいだ!
セロの正面になるように向かう。
震える拳で机を激しく叩き、騒音が部屋中に響く。
「うつむいていたら助かるの?」
睨み付けるように言う。
「……」
うつむいたままだ。
「お前のせいだよね?」
「……」
「なんか言えよ!! アメリカのエージェントか何かだろ!!」
怒鳴り声を上げ、近くにあるパイプ椅子を蹴り倒す。
しかし、無反応だ。
「……!!」
パイプ椅子を掴む。
拷問される前に! こいつだけでも殺す!
叩きつけようと、パイプ椅子を持ち上げた
瞬間、セロは突然立ち上がる。
「……黒い本を持ってきてほしい!! 事件の真相を全て話す!! それ鍵なんだ!」
突然、壁の端にある監視カメラに向かって叫ぶ。
「え!? 真相!?」
鈴鹿は驚く。
「どういう事!?」
静は驚きながら聞く。
「……」
息を整えながら、取りあえず、パイプ椅子を下ろす。