第5話 人生オワタ
登場人物
栗田聖羅 15歳 鈴鹿と静は高校での出会い
性格:???? 犯罪歴???? チート能力????
青森静 15歳 鈴鹿とは幼馴染
性格:天然女子 犯罪歴???? チート能力:なし
山並鈴鹿 15歳 静の世話係
性格:ドジっ子 犯罪歴???? チート能力:なし
ジョン・セロ 年齢???? 性格:???? 職業????
息を吸い込んで吐くのが聞こえる。
「……言う必要ないだろう? だから、一生遊んで暮らせる金をやるからさあ、なあ?」
男は穏やかに言う。
怒りを我慢しているのが伝わる。
「ふーん、言えないんだったら、思い出せないね」
冷たく言う。
「……調子に乗るなよ! ガキが!!」
怒鳴り声は今までで一番大きかった。
「別に本の事は……無理やり吐かせればいいだけの話だからな!」
拳から骨の鳴る音が響く。
ほら言わん(言っていない)こっちゃない! ああ、怒らせた。拷問されるだろうな……ああ、可哀そうに……
「……って! 鈴鹿が言っていました!」
聖羅の大声が聞こえる。
そうそう、鈴鹿が可哀そう……鈴鹿?
「え!? 私!? 私のせいにした!?」
驚愕の声を上げる。
「そうだったの!?」
静の驚いた声が聞こえる。
「うう、そうなのよ! 言わないと、心臓を食べるって! 脅されて……うえーん! うえーん!」
聖羅の泣く声が聞こえる。
「ええ! 鈴鹿ちゃん! そんな人だったの!?」
静は驚いた眼で鈴鹿を見る。
「いやいや!! そんなことしていないし! しかも、うえーんて嘘臭すぎでしょ!!」
鈴鹿は必死に反論する。
「……何なんだ? こいつら?」
男の怒り何処に消え去っていた。
「さきほどは調子に乗り過ぎました。すいませんでした……」
聖羅は落ち込んだ声で言う。
「分かればいいんだ。これからは俺の指示に従うようにな? いいな?」
男は言い聞かせるように言う。
「はい、分かっています……」
チッ! 覚えてろ!
心の中で舌打ちをする。
「……それで、本は?」
セロは聞いてくる。
聖羅は話題が切り替わり、安堵のため息を吐く。
「その前に、名前は?」
静は聞く。
「……ジョン・セロだ。お前らは?」
3人はそれぞれ自己紹介をした。
「話を戻すが、本は?」
セロの方からチャックの開く音が聞こえた。
「実はその本、さっき拾って……」
聖羅が説明していると
水がジョロジョロと流れる音が聞こえた。
え? まさか……
思わず、会話が中断する。
「もしかして、しっこしている?」
静は躊躇なく聞く。
「いいだろ……どうせ、見えねえだろ?」
セロの落ついた声が聞こえる。
嘘でしょ……汚い……
聖羅は蔑んだ眼でセロを見る。
その時、下から亀裂音が響いた。
「え?」
亀裂はセロの尿が地面に当っている所から広がり、眩しい黄金の様な光が差し込む。
慣れない光が差し込み、その場にいた全員が目を覆う。
「眩しい!」
静の声が聞こえ、亀裂は一瞬で広がり崩れる。
「うわああああああ!!?」
眩しさで目を開ける事は出来なかったが、自分の体が支えを失い、落ちて行っているのが分かかる。
直ぐに、腕に衝撃が走り鈍痛が広がる。
「いたたた……」
腕が少し痛かったが、たいした事は無かった。
起き上がりながら、光に目が慣れて、目をゆっくり開ける。
目の前に、3本の足で支えられているテレビカメラがあった。
その後ろに、驚愕の表情を浮かべているカメラマンらしき人が、自分を見て硬直していた。
え? ま、まさか……
カメラ何の背後に映る風景を見て、顔色が真っ赤になって行く。
数百以上は確実にある座席の上に、驚愕の表情と恐怖に満ちて、口を開けて硬直している大勢の人がいた。
こ、こんなに人が!? 何かの集会!? いったい何の!?
動揺し、震えながら後ろを振り向く。
後ろを見ると、瓦礫が小範囲に広がっていた。
その中に、倒れている純白の短い被り物と白色のローブの姿で、首に黄金の十字架をぶら下げている老人がいる。
その顔の上にセロの股間がちょう乗っているのが見えた。
この服装! ど、どこかで……ま、まさか……
全身の血の気が引いた感覚がする。
テレビに映っていたある人物と非常に似ている。
だが、本能的に想像を拒否する。
しかし……
「法王様!!」
何処から悲鳴のような声が聞こえた。
「オウ! ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
セロは長い叫び声を上げ、股間を抑え、脂汗をかきながら周りに転がる。
誰かの叫び声で、確定した瞬間だった。
「ロ、ローマ法王……」
聖羅は震え声でつぶやく。
理解はしたくなかったが、理解してしまった。
ローマ法王の顔にち〇こを……
「グフ!」
ヘビー級のボクサーに腹を殴られたかのような気分だ。口から血が噴き出し、膝から崩れ落ちる。
「あれ? テレビで見たことあるような……?」
静は倒れて白目を向いている法王を見下ろす。
「ま、まままままままさか、こここここここれれれっててて!!」
鈴鹿の顔はみるみる死体の様に青ざめて行く。
「この人、顔濡れている……汗かな?」
静は首を傾げながら言う。
それは! しっこだああああああ!! グファ!
聖羅は90キロ近いヘビー級のボクサーのボディプレスを食らった。
「てめぇ!!」「クソ野郎!!」「変態野郎!」
数十人以上のSPらしきスーツ姿の人達が、普通の怒りではまず出ないような鬼の様な表情で聖羅達に罵声を発せながら向かってきた。
「この変態野郎が!!」
セロはSPに顔を蹴られる。
「これテレビカメラ!? 今映っているのかな!?」
静はのんきにカメラを覗き込んでいた。
「人生……オワタ……」
鈴鹿は力なく床に手を突き、震え声でつぶやく。
聖羅は燃え尽きて白くなっている。
何処から終了のゴングが鳴り響いた。