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たいして読まれないだろうしタイトルなくてもいいよね  作者: くろのわーる
田舎の村編
7/37

7本目



 翌日、朝早くから狩りに行く準備に追われる俺と父の姿があった。


「アガトッ!矢はあるだけ持って行くぞ!」


 父の指示に従い、『無限収納』に矢を収める。


 どうして朝一からこんなにも慌ただしくしているかというと原因は昨日のゴブリンにある。

 俺は初めてのモンスターに経験値ヤッホーなんて思っていたが父は違うことを思っていたらしい。


 昨日は本来、生活の為の狩りに出ていたのだ。その為、危険を犯さず、いつも通り森の浅い場所で狩りをしていた。


 そして、それが問題だった。


 俺が前世の記憶を取り戻してから1ヶ月と1週間。それまで狩りに出ても全くモンスターに出会うことがなかったのに昨日は20匹ものゴブリンに遭った。


 つまりはゴブリンが森にコロニーを造り、繁殖しまくり森の入り口まで溢れている可能性が出てきたのだ。


 この村の戦力は狩人の父と仮免許中の俺の2人しかいない。


 ヤバイ!これはゴブリンの巣殲滅テンプレの匂いがする。なんか燃えてきたかも。


 そんな深刻な顔をした父を不安気に母さんが見ている。


「アリー、今日の帰りは遅くなるかもしれない。夜はしっかりと戸締りするんだぞ」


 父さんの真剣な物言いに頷く母さん。実は村の人達や母さんには下手に教えて不安にさせるとよくないからと父の判断で伝えていない。まあ、村の人達はともかく母さんにはバレバレだろうけど。


「アガト、準備が出来しだい出発するぞ」


 父に促されて俺も昨夜考えてセットしたスキル構成を確認しておく。



名前:アガト

属性:《無》

職業:上村人『Lv:6/30』

SP:0


STR:32

VIT:32

INT:32

MND:32

DEX:32

AGI:32

LUK:32


《スキル》

1.『弓術Lv:4/10』

2.『索敵Lv:4/10』

3.『隠密Lv:4/10』

4.『解体Lv:3/10』

5.『体術Lv:2/10』

6.『回復Lv:2/10』

7.『無魔法Lv:3/10』

8.『集中Lv:2/10』

9.『健康体Lv:5/10』

10.『無限収納』



 念のため、使うかもしれないスキルをセットして、わずかしか残っていなかったSPも使い切った。


 俺は父に準備完了と伝えると父と母は抱き合い。挨拶を交わしていた。


 俺も弟と軽く挨拶でもしておこうかなと思い、カイトを見ると相変わらず、寝惚けているようでなんかムカついたので殴っておく。


 挨拶も終わり、父と共に弟の泣き声をバックにして出発するのであった。





 俺と父は足早に森を目指すと普段の半分程の時間で森に着くことが出来た。


「アガト、ここからはいつも以上に気を引き締めて行くぞ」


 頷く俺を父は確認すると颯爽さっそうと森を駆け抜け始めた。


「(速いっ!)」


 木の根や朽ちた倒木等、お世辞にも足場が良いと言えない森を駆け抜ける様は熟練の狩人どころではない、まさにこの森は俺の庭だと言わんばかりの勢いだ。


 これが本気になった父さんなのかとちょっと憧れてしまう。


 そんな父に必死に追い付こうと思った矢先、父は急に走るのをやめて立ち止まる。

 父の視線の先にはゴブリンの集団が見える。


 ゴブリンの集団の数は6匹。


 警戒中のゴブリンだろうかと思っていると父があの集団を「殺るぞ」という。


 俺の動きに合わせろと父の背中が語るのでいつでも合わせられるように弓を構える。


 狙いを定めつつ、父の射撃開始を窺うと2本の矢を器用に指に挟み、狙いをつけている。


 なかなかの高等技術に驚きながらも父に遅れないように神経を研ぎ澄ます。

 父の動きに見事反応した俺を他所に父は2射目にアーツ『早射ちクイックショット』を発動してあっという間にゴブリン3匹を仕留めて見せた。

 俺も負けずに初撃を放つと同時に無属性魔法『マジックアロー』を発動させ、さらに『早射ちクイックショット』を放ち、3匹を仕留めた。


 ゴブリン集団の掃除が終わると父がぼそっと俺に聞こえるように「なかなかやるな」なんて言う。

 俺も負けじと心の中で「お前もな」と言って、放った矢を回収して行く。

 ついでにゴブリン達の死体は『無限収納』に収さめていく。これは他のゴブリン達に見つかり、警戒されたり騒がれることを防ぐ為だ。




 それからいくつものゴブリン集団を見つけては相手が気付く間もなく、悲鳴をあげさせる前に2人で素早く始末しては森の奥を目指していった。



 森の奥へと進むにつれてゴブリンの集団が増えてきたこともあり、今は歩いて森を進んでいる。

 歩くこと約1時間、途中に何回も一方的な戦闘を繰り返し、ひたすら進んで行くと森の一部が拓けた場所に出ようとしていた。


 しかし、その広場にはおびただしい数のゴブリン達がひしめき合うようにして存在していた。


 まさにその光景は朝の出勤時の満員電車・・・これは少し言い過ぎたかもしれない。


 ただ、確実に村の人口の20倍はいるだろう。


 この光景に父は最悪の予想が当たってしまったと言わんばかりに苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 俺?俺は経験値にしか見えません。


「アガト、今から作戦を伝える」







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